月~水曜は学校教育について書いていますが、先日(R5.8.6)からVoicyという音声メディアで受けた質問に対して、私なりの答えを書いています。興味のある方は、令和5年8月6日、7日、8日のブログも御覧ください。
「何故、アメリカのような学び方(学習を受ける側の自由や自律に任せた学び方)が日本では難しいのか」という質問に対し、私は、「現在行われている一人の教師が教える一斉授業形式だと、アメリカのような学び方を取り入れると不具合が発生するから難しい」と答えました。そして、考えられる不具合として、「教師の指導力が低下する可能性がある」「学習を忌避する傾向が強まる」「周囲から学級崩壊していると見られる(同調圧力が発生する)」の三つを挙げました。
まず、「学習を忌避する傾向が強まる」の続きから書きます。
一人がトイレに行くと、次々とトイレに行く子が出てくる…これは、「幼いから自分を律する事ができない」という事が大きな原因ではないか、と私は考えています。そしてそれは、「みんなと同じ事をしたい」という気持ちと、「勉強したくない」という気持ちを、自分で抑える事ができないからではないか、と私は考えています。この中で、最も問題だと私が考えるのが、「勉強したくない」という気持ちです。
児童労働や少年兵に関するドキュメント番組を視聴すると、出てくる子供たちに「今、何をしたいですか」と問うと、ほぼ必ず「学校に行って勉強したい」と言います。これが日本の子供たちだと、同じ質問に「遊びたい」「好きな事をしていたい」と答えます。これは仕方ないと思います。辛い児童労働や戦争よりは、学校で勉強する方が楽しいですが、より楽しい事(ゲームをするとか、趣味に没頭するとか)があるなら、それをしたいと思うのは当然の気持ちですから。
だから、授業を抜け出してサボる機会があれば、それを活用しようと考えるのは当然なのだろうと思います。大人だって、「サボれるならサボりたい」と考える人は多いでしょう。それを大人がしないのは、「ここで勉強しておかないと、後で大変だ」と予想ができるからです。これは子供も同じで、そういう先読みができる年齢の子は、自分を律する事ができる可能性が高いです。
しかし、子供たちが幼くなった事で、そうやって自分を律する事が出来ない子が増えました。だから、「アメリカのような学び方」を取り入れると、「学習を忌避する傾向が強まる」と私は思います。
最後に、「周囲から学級崩壊していると見られる(同調圧力が発生する)」についてです。
学級がうまくいっているかどうか…学校内では多くの場合、それは学級が落ち着いているかどうかで判断されます。そして、落ち着いているかどうかは、教師の指示が通り、授業がコントロールされているかどうか…で判断される事が多いです。つまり、授業中に立ち歩きが許可され、子供たちが自由に立ち歩いている学級は、それだけで「ヤバい学級」と判断される可能性が高いという事です。
もちろん、管理職の判断や学校としての方針で、「ヤバい学級」への対応は変わってきます。前回(R5.8.8)触れた築地久子先生の学校では、自由に立ち歩く児童がいても問題とはならなかったでしょう。
しかし現在、子供たちが自由に立ち歩く状態の学級を見れば、多くの教師は「この学級は大丈夫なのか?」と感じるはずです(私も感じます)。そして、それがその担任のやり方だと分かったとしても、「もっと落ち着いた学級(=立ち歩きの無い学級)にした方が良いのでは…」と考える教師は一定数います(私は、「あ、そうなんだ。なら大丈夫だね」と考えるでしょう)。かくて、同調圧力が発生します。
実際、令和5年度は、私の学級でトイレに行く子が多い様子を見て、「トイレは、授業中には行かない事を徹底した方がいいですよ」とアドバイスしてくれた方がいました。他の学級と比べると、私の学級が落ち着いていないと判断されたから、その様なアドバイスをする気持ちになったのでしょう。
以上、長々と書いてきましたが、「現在行われている一人の教師が教える一斉授業形式だと、アメリカのような学び方を取り入れると不具合が発生するから難しい」と私は考えていますが、不可能だとは思っていません。自分としても、もっと力量を高めて可能性を高めていきたいと考えています。
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