忘己利他

書道をやっています。大切な仲間に恵まれ、ふれあい、共に楽しむために・・・

染まらない

2017-05-26 22:30:28 | 書道


「墨悲絲染」


人は環境や周囲から受ける影響などによって
善くも悪くもなるということ。
昨日に続き、Yzさんからいただいた染紙で。

「墨」は、磨る墨ではなく人の名前で「墨子」。
白い糸はいろいろな色に染めることが出来ると同様に、
物事には多くの選択肢があり、
環境次第で人は善にも悪にもなることを
墨子が嘆いたという故事から。

周りと同じようにしなければならないのは・・・
どうでしょう?
「朱に交われば赤くなる」とも言うけれど、
画一的な要素、みんなと同じは、面白くない。

人と違うこと、個性を発揮することが、
魅力となることも多いはず。
いくつものの選択肢が広がり、
多様性が受け入れられる社会であることが肝要。

私の周りでも、善いことも悪いことも一緒につるんで、
大した成果をあげられない人々が多いけど、
「おーい、自分を持てよ」と言いたくなる

「私は染まらない」
少し距離を置いて、回避



だけど白髪染めは欠かせない私です・・・

墨染の紙

2017-05-25 11:03:14 | 書道


おほけなく うき世の 民に おほふかな

わがたつ杣に 墨染の袖



Yさんからいただいた、墨染紙。

あえて暗めの紙を選んで、慈円のうたを書いてみた。


身のほどをわきまえないことだが、
このつらい世の中を生きる人々の幸せを祈りながら、
この法衣の袖を人々に掛けましょう。
比叡山で僧侶となり、
法衣に袖を通すことになったわたしなのですから。


戦で荒んだ平安時代の末期、
仏法の力で人々を救おうとする僧侶の歌です。


今の時代、
人々を救い導いてくれる人はいるのだろうか?

私利私欲だけが渦巻いているよね。

我は咲くなり

2017-05-13 23:11:01 | 書道


(天与の花を咲かす喜び 共に咲く喜び )
(人)見るもよし(人)見ざるもよし
されど我は咲くなり

武者小路実篤のことばです。

 天の神から与えられた才能が花開き、
 周囲の人に認められる喜び、
 人が見ていてもいいし、
 見ていなくてもいい、
 私は精いっぱい生きるのだ

といった自分を花に置き換えた解釈でしょう。

 
元気のないあなた、
どうぞ貴方らしさを
取り戻してください。
あなたの情熱を
かき立ててください。

人に認めてもらえなくても、
 懸命に生きてさえいれば・・・

お天道様は
お見通しです。

美味でございまする~。

2017-04-29 22:23:56 | 書道
知人のSさんから、本日美味しいお菓子と地酒を送ってもらいました。



お菓子は、「天来最中」
長野県佐久市望月の喜月堂さんの商品。
佐久市出身の比田井天来ゆかりのお菓子です。

比田井天来は、書をやる人ならば誰でも知っている。
近代日本の書道界において、その活躍は目覚ましい。
特に古碑法帖の研究、古典臨書において
俯仰法の創案などがよく知られている。

ちょうど今、麗川会の教室で、
雁塔聖教序をやっていて、
俯仰法に苦戦しているところです




最中の皮と包み紙には、天来先生の印がデザインされています。
その印は、河井 荃廬が刻したもの。

(河井荃廬(かわい せんろ)は、近代日本の篆刻家。
中国に渡り呉昌碩に師事し、
金石学に基づく篆刻を日本に啓蒙しその発展に尽くした。)

最中のお味は、実にコクのある甘さ。
美味でございまする~

地酒は「牧水」
同じ佐久市の武重本家酒造の商品。
若山牧水にちなんでのネーミング。
牧水は、たびたび佐久市を訪れ、歌碑が残っている。



お酒はまだ飲んでいないけど、
明日あたり、一杯やりましょうか

残してくれたもの

2017-04-25 21:06:17 | 書道

安西冬衛の詩



ここ数日、北朝鮮の脅威に慄いています。
楽観視はできないのかもしれませんが、
命の奪い合いだけは、
避けてもらいたいと願うばかりです。


師匠が亡くなって、半月が経ちました。
思い出すと涙が頬を伝います。

告別式の日、棺にお花を入れる際、
悲しさが込み上げて、
抑えられず号泣でした。

これまで師匠には
たくさんのことを教わりました。

私が最も印象に残っている師匠の言葉は

「書を学ぶには、人との付き合いが大切なのだ
人と触れ合うことによって、人間磨かれて、
良い作品が書けるようになるのだ」

師匠が私に残してくれたものは、
筆でも墨でも紙でもなく、
師匠を通してご縁をいただいた人々との
ふれあいなのです。