忘己利他

書道をやっています。大切な仲間に恵まれ、ふれあい、共に楽しむために・・・

第22回書展 グループ墨花 その7

2013-08-30 20:56:13 | 書展


「滔々」
鵬舟さんの作品です。
滲みを効かせた豊潤さが、水がよどみなく流れるようすを表して、素敵です。

滲みの出し方には、紙・墨・硯・そして筆の大きさ、筆に含ませる墨量・運筆の速度と
いろいろな要素により違った滲みがでます。
そして、もう一つ大事なのは、水です。
水は、水道水ではなく、できるだけ自然水に近いもの、水の成分の研究も必要です。

彼の滲みの出し方は、秘密なので、あまり詳しく知りませんが、
それらの要素全てに気を使っているようです。


私の臨書作品です。



「萊子侯刻石」この作品の解説はこちら

私は、隷書が大変苦手でして…
このグループ展の目的は、作品の発表というよりは、自らの研鑽の場と考えていますので、
あえて苦手なものを書いています。
そして下手くそでも、展示させていただいています

22年前、グループ展発足にあたって、
「勉強のためにする書展なので、一年間こつこつと臨書し、必ず臨書作品を1点出品する」
という約束をメンバー全員でしました。

その「一年間こつこつと」というのが、
ここ数年、書展間際になって慌てている状況でして…

猛省

来年こそは、一年間かけて、勉強するぞ
と、毎年この時期は、思っているのです 








第22回書展 グループ墨花 その6

2013-08-29 22:58:57 | 書展


鎌倉芸術館のシンボル、竹林の中庭です。
周りはガラス窓で囲まれているので、
撮影もガラス越しです。



「祈」
古い時代の文字を得意とする翡舟さんの作品です。

力が抜けた柔らかいタッチで書かれ、
さりげなく自然な感じが素敵です

これは「金文」という中国の殷・周の青銅器の表面に鋳込まれた、あるいは刻まれた文字。

「金文」を本格的に勉強すると、文字の起源、現代の文字になるまでの経緯を知り、
昔の人々の想いが感じられるのですが、
篆書隷書の苦手な私には勉強不足の分野です。






私の作品です。
多字数の作品を書くのは、久しぶり。
たまには書かないと書き方を忘れてしまいそうで…

ボウコ箋という安価な紙に書いたのですが、にじみはなく
墨の吸い込みが少ないので、かすれが出にくく、苦戦しました。


張継の七言絶句「楓橋夜泊」

月落ち烏啼いて霜天に満つ
江楓、漁火、愁眠に対す
姑蘇城外の寒山寺
夜半の鐘声 客船に至る

(現代語訳)
月は沈み、暗い夜空に烏が鳴き、そして霜の気は一面の空に満ちわたっている。
紅葉した川辺の楓、あかあかと輝く いさり火が、旅愁に眠りかねる目の前に、鮮やかに浮かぶ。
いにしえの姑蘇の町の郊外、寒山寺の、
夜半につき鳴らす 鐘の音が、旅を続けてきたこの船の中までも伝わってくる。


これは、麗川会のOさんのお気に入りの詩。

Oさんは楷書でこの詩を作品にしようと取り組まれていますが、
私は行草体にしてみました。








第22回書展 グループ墨花 その5

2013-08-28 11:13:00 | 言葉
この二日間、ゆっくり静養させていただきました。
お陰で体調もずいぶん良くなりました。
ご心配をおかけし、申し訳ありません 

よし、今日から頑張るぞ と、意気込みつつも、
ゆっくりのんびりと、たまった仕事に背を向けて、
パソコンに向かっています。

残念ながら、グループ墨花に行けなかったという
お声をいただくので、少しずつ作品紹介をしています。
お付き合いください。



グループ墨花の代表者、大城氏の作品です。
彼は県立高校で長いあいだ教鞭をとられ、定年後も再任で講師を続けられています。

彼を訪ねてくるお客様は、美しい女性が多く…
決して女性にモテるタイプではないのに(失礼)
どうしてと仲間内で謎となっています。

漢武帝 秋風辞

秋風起兮白雲飛         秋風起こりて 白雲飛び
草木黄落兮雁南歸       草木黄落して 雁南に帰る
蘭有秀兮菊有芳         蘭に秀有り 菊に芳有り
懷佳人兮不能忘         佳人を懐(おも)いて 忘るる能(あた)はず
泛樓船兮濟汾河         楼船を浮かべて 汾河(ふんが)を渡り
中流兮揚素波         中流に横たはりて 素波を揚ぐ
簫鼓鳴兮發棹歌         簫鼓鳴りて 棹歌を発す
歡樂極兮哀情多         歓楽極(きわま)りて 哀情多し
少壯幾時兮奈老何       少壮幾時ぞ 老いを奈何(いかん)せん


(現代語訳)
秋風が吹いて白雲が飛び、草木は黄葉して落ち、雁は南に帰っていく。
蘭の花が咲き、菊が芳しい香りを放つこの季節、あの美しい人のことが思い起こされて忘れることができない。
楼船(二階建ての船)浮かべて汾河を渡れば、船は中流に横たわって白い波しぶきを上げている。
船内から笛や太鼓の音や舟歌が聞こえ、歓喜極まる中、何故か哀しい気持ちになる。
若くて元気な時は後どれくらい続くのだろうか?老いていく我が身をどうしようか、どうすることもできない。


「少壮幾時ぞ 老いを奈何(いかん)せん 」 私たちは、切実ですね~





私の作品です。
「飛」
「風の色」というテーマから、風に乗ってペガサスが大空に飛んでいく…
そんなファンタスティックな光景を想像してみました。

私は「夢見る少女」ならぬ「夢見るおばさん」でして・・・

最近生徒からは、「おばさん」ではない。「おばあさん」だよと

老いていく我が身、せめて気持ちだけでも、「夢見る少女」でいたいものです。










第22回書展 グループ墨花 その4

2013-08-27 11:53:57 | 書展
8月は、前半に現日書展、
半ばは今回のグループ展の作品制作に追われ、
学校の補習に、グループ墨花展と
息つく暇もなく過ごしてきました。

ことのほか暑かったこともあり、身体を酷使してきたようで、
少しバテ気味。
昨日今日と、溜まっている家事は見なかったことにして
ゆっくり静養に努めています。

「グループ墨花」は大学の同窓生6名の集まりですが、
その中で同期生の秀翠さんの作品です。
大学入学時からの大親友で、互いに励ましあいながら、
ここまで共にやってきました。
長女がおめでたで、もうすぐおばあちゃんになるそうです。
私たちも、そういう年齢になってしまったかと
感慨深いものがあります



鰯雲昼のままなる月夜かな(鈴木花蓑の句)

料紙の模様がちょうど鰯雲のようで、素敵です





私の作品です。
「天馬行空」

天馬が遮る物のない大空を勢いよく走る姿から、
自由奔放で伸び伸びしている様の意。

おおらかで明るい家庭を作ってもらいたいと、
若いご夫妻の家庭にプレゼントすることなりました







第22回書展 グループ墨花 その3

2013-08-26 18:37:27 | 書展


「風立ちぬ、いざ生きめやも」という有名な詩句は、
ポール・ヴァレリーの詩の一節を
堀 辰雄が訳しています。

「風が起る!… 生きてみなければならない!」
古語文法から考えると誤訳の節もあるようですが、
風が起こり、自然は常に動いている。我々人間も力強く生きなければならないと、
いう意味だと思います。

今、公開中のジブリ映画「風たちぬ」
私は見てはいないけれど、
ユーミンの「ひこうき雲」がテーマソングで
大空への憧れと一生懸命生きる人がテーマだろうと想像します。

先日ご紹介した、グループ墨花のメンバーで
現代根付師の湖蝶さんの
お父様は昨年2月に交通事故に遭われ、
頚椎を痛めらけました。
一時はベットから起き上がれないほどの大怪我で
何回も手術を受けられ
過酷なリハビリの毎日だったと伺っています。

しかし、今回グループ墨花展にお越しくださり、
「グループ墨花」に来ることを目標に
辛いリハビリも耐えてこられたとのことです 


東京都内にお住まいですが、
「グループ墨花」への外出が初めての遠出とのことで、
付き添われていたお母様共々、
涙を流され、お喜びでした。

周りで見ていた私たちも、
胸が熱くなりました 

自然は、過酷なものばかりではなく、
私たちを包んでくれるような優しく穏やかな風もあるわけで…

逆風を追い風に変えて
これから強く生きていかれるよう
お父様にエールを送りたいと思います