湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

彦根・埋木舎

2011年12月02日 | 詩歌・歳時記

 高校時代、朝は東海道線の醒ヶ井駅

から米原へ。近江鉄道に乗り換えて「彦根口」駅で下車し、すぐ間近の学校に登校したのだが、

下校時は、毎日芹川堤を歩き、彦根城内を巡り、あちこちと寄り道しながら彦根駅へ向かった。

                       

内堀に沿って、先年、映画「武士の一分」のロケ地ともなったのが、埋木舎(うもれぎのや)

である。 彦根藩井伊家では、やがて藩主となる世子以外は、養子に行くか、寺に入るのが

決まりであった。     

          石蕗の花むかし美し彦根かな

          大老の苦き若き日初時雨           

彦根藩主の14男として生まれた、井伊直弼が15年の長き間、住み暮らし、

「世の中を よそに見つつも うもれ木の 埋もれておらむ 心なき身は」と詠み、    

 一生を300俵の    

捨て扶持の部屋住みの身を、後に腹心となる長野主膳に国学を学び、禅、儒学、洋学、

さらに書、絵、和歌のほか、剣術、居合い、砲術、乗馬、茶の湯など多数の趣味に没頭し、

世捨て人の諦念を抱きつつも、苦悩と屈託の多い青春を送ったのである。

                           

          古きものゆかしく残る

          彦根の地

          千両の実の朱色愛しき

 

          許されて

          直弼公のお居間より眺める

          庭の石蕗の花