母の命があと半年と宣告されてから、ひと月半経ちました。
元旦の夜明けに、看護婦が突然、あわただしく車椅子に乗せてくれたそうです。
南側の窓辺に連れて行かれて、丁度グッド・タイミング!! 山の端に初日の出を
見せてくださいました。 白内障のゆえか、真珠色に輝いた、そして、生まれて初めて見る
初日の出でもありました。 母のその折の感動はいかばかりか。
一句つぶやいていました。
わくら葉に ひとの情けの 初日の出
遠縁の娘が書道の講師をしていまして、彼女に短冊への揮毫をお願いしました。
そのやさしいナースへ贈ると、母が申します。 届いた短冊に添えて、母の手作りのポーチを
感謝の気持ちをこめて、貰っていただきました。
湖にふる
雪はむなしく水となる
孜々と重ねてひとの営み
桜の花の咲くころまで、生きていてくださるでしょうか。むくんだ足を擦るしかない私です。
湖の果て
雪嶺はありけぶるごとく
ついには行けぬ国を知らしめ
魚津・ミラージュ・ランド
死ぬるため生きるいのちよ
さわあれど
湖のほとりに母の名を呼ぶ