俳句の歳時記には 「虹」 は夏に分類されている。
陰暦と陽暦の違い、地方の南北の違い・・・・さまざまな矛盾をかかえた「歳時記」なのだが、
不思議なことに、ここ湖北では、虹は時雨時のものだ。
琵琶湖の北から南へ架かる、2連の虹の素晴らしさは、筆舌に尽くしがたいものだ。
あるいは、小谷山の麓から伊吹へ架かる、淡くはかなげな虹の愛しさ・・・・・
大いなる湖水のうねり
おのずから
群れ浮く鴨は波にしたがふ
秋から冬への湖北地方への、つかのまの豪華な、そしてつつましやかな天地の
賜物といえようか。 湖北に暮らし、詩歌を生きがいとする者にとって、
何よりの宝物ではある。
晩秋の
おどろき易き水鳥は
湖に潜きてあきることなし
初時雨
湖北の空のなほ北に
弧もたほやかに朝の虹たつ