町に初めての映画館ができて、勇躍、毎週のように出撃した。
昭和30年代。いわゆる佳き時代。茨城県日立市水木町。週代わり3本立て。
東映、日活、松竹・東宝、大映のローテーションだったかな。遠い日のおぼろ気な記憶だが。
東映の週は父のお供で、橋蔵や錦之助のチャンバラに小さな胸を踊らせた。
千恵蔵、歌右衛門の両御大はともかく、当時の東映にはスターが、きら星の如く揃っていた。
舞を踊るような橋蔵の立ち回りの美しさ。足の運びの優美さ。
「新吾十番勝負」。恋か剣かと迷う横顔の切なさ。水もしたたるいい男の典型だった。
正反対にリアリズムの豪快な気っぷの良さが、爽やかな錦之助。
「宮本武蔵」の一乗寺下り松の決闘の、息のむ迫力。
森や田畑の俯瞰図からアップへ、泥が飛び汗が散り、臨場感たっぶりのカメラも見事だった。
「一心太助」では、江戸っ子太助と将軍を見事に演じ分けていた。
口をしっかりと開けた、独特の台詞回しが懐かしい「怪傑黒頭巾」大友柳太郎。新国劇の辰巳柳太郎の弟子だったとは、後年、池波さんのエッセイで知った。
生真面目な正統派。彼の存在自体が東映を影で支えていたような気がする。
後年のテレビドラマ「素浪人月影兵庫」のおから野郎をとても想像もできない、
「柳生武芸帳」近衛十四郎、重厚で豪快な太刀さばき。
今では大御所然としている里見浩太郎なんて、
ひょろひょろの、がきから見ても若造だったものだよ。
忘れてはいけない、極めつけ「水戸黄門」月形竜之介。伏見扇太郎なんてのもいたな。
まぁ、きりがない。ビデオやDVDで昔の映画がお手軽に再見できる、
便利な世の中になったものだ。
だからこそ、あの頃には確かにあった日本人の美意識を、
今一度取り戻さなくては、と、映画を観ては思うのである。
昭和30年代。いわゆる佳き時代。茨城県日立市水木町。週代わり3本立て。
東映、日活、松竹・東宝、大映のローテーションだったかな。遠い日のおぼろ気な記憶だが。
東映の週は父のお供で、橋蔵や錦之助のチャンバラに小さな胸を踊らせた。
千恵蔵、歌右衛門の両御大はともかく、当時の東映にはスターが、きら星の如く揃っていた。
舞を踊るような橋蔵の立ち回りの美しさ。足の運びの優美さ。
「新吾十番勝負」。恋か剣かと迷う横顔の切なさ。水もしたたるいい男の典型だった。
正反対にリアリズムの豪快な気っぷの良さが、爽やかな錦之助。
「宮本武蔵」の一乗寺下り松の決闘の、息のむ迫力。
森や田畑の俯瞰図からアップへ、泥が飛び汗が散り、臨場感たっぶりのカメラも見事だった。
「一心太助」では、江戸っ子太助と将軍を見事に演じ分けていた。
口をしっかりと開けた、独特の台詞回しが懐かしい「怪傑黒頭巾」大友柳太郎。新国劇の辰巳柳太郎の弟子だったとは、後年、池波さんのエッセイで知った。
生真面目な正統派。彼の存在自体が東映を影で支えていたような気がする。
後年のテレビドラマ「素浪人月影兵庫」のおから野郎をとても想像もできない、
「柳生武芸帳」近衛十四郎、重厚で豪快な太刀さばき。
今では大御所然としている里見浩太郎なんて、
ひょろひょろの、がきから見ても若造だったものだよ。
忘れてはいけない、極めつけ「水戸黄門」月形竜之介。伏見扇太郎なんてのもいたな。
まぁ、きりがない。ビデオやDVDで昔の映画がお手軽に再見できる、
便利な世の中になったものだ。
だからこそ、あの頃には確かにあった日本人の美意識を、
今一度取り戻さなくては、と、映画を観ては思うのである。