母の一念発起で墓を建てることになった訳だが、墓石に刻む文字で悩んでしまったのだ。
浄土真宗では、「南無阿弥陀仏」と 刻まなければいけないのだ。
「〇〇家の墓」「先祖代々の墓」と記された墓石に、僧侶が経を詠み、拝めるはずがないとか。
墓石は仏そのものであるとのことである。
湖北の墓石・ウオッチングの始まりだ。 だが、素敵な「南無阿弥陀佛」にはついぞ逢えなかった。
いっそ俺が書くか? と思い極めた頃、大阪の弟が親鸞聖人の真筆を見つけて持ってきた。
なんという優雅な、そして質素な「南無阿弥陀仏」の文字であろうことか。
米研ぐや寒九の水に耐へ耐へて
だが、あまりにも小さな文字である。 そこでさぁ、グラフッイク・デザイナとして、むかしとった杵柄
の血が騒ぎだしましたのさ。墓石の面積にぴったり合う、文字の大きさに拡大・・・・また拡大。
どこにもないであろう、墓石が出来上がったのである。
父の墓
建てたる母が背を伸ばす
ふたり静は山かげの花
2月7日は、母の一周忌である。 父のお側へ母のお骨を納めまする。