湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

映画 「あなたへ」

2012年09月04日 | 詩歌・歳時記

                   

1年ほど前、高倉健主演の、富山が舞台の映画が撮影中であると、何かで知りました。

25日に全国封切られましたが、2日待って27日の月曜日に、彦根のビバ・シティへ観にでかけ

た。4っつあるホールのうち、一番スクリーンが小さな 「シネマ2」だって。何でやネン。

 

その前に原作本を、半日かけて読みました。期待がいやがうえにも盛り上がるではありませんか。

降旗康男監督は、ヤクザ映画を多く撮ってきたひとで、ボクとはそもそもの感性が違いすぎるよう

だ。 前半はガックリの連続であった。 第一に、妻役の田中裕子の声が小さすぎて、例え病人を

意識したにせよ、そのセリフの半分も聞き取れない。

                         

最期の帰宅の折り、コンビニへ飲み物を買いに行く場面は、とても素晴らしかった。

溝川にホタルが飛び交い、妻の今後を暗示する詩情あふれて、痛々しくも印象的なシーンを

端折ってしまっている。 シナリオにしろ演出にしろ、まったく「詩情」のかけらもなかったね。

 

長崎を目指して旅に出るわけだが、この監督は徹底して「観光地巡り的・映像」を、拒否している

ようだ。富山の海で、流木を拾うシーンは、島尾キャンプ場のある、松ヶ枝海岸である。

何故、雨晴しを使わないのか? 義経と弁慶が雨宿りした岩穴が、今も残っているのだ。

映画を観ながら、あらゆるシーンに憤慨していた。

         

飛騨・高山の道の駅に、健さんの車が入っていく。 山田洋次監督なら、さりげなく「ドライブ

ステーション板蔵」 を暗示するショットを入れる筈だ。 琵琶湖の畔のキャンプ場でのシーンも

最悪だった。湖西の知内浜・・・・夜明けの美しさを映像で提供しよう! なんて意気込みはゼロさ。

湖面に靄がたゆたい、鳥たちの羽ばたきが始まり、そして今日の旅が静に始まる、のだが。

 

長崎まで、二通目の遺言状を受け取りに行って、「さようなら」一行だけは、ないっしょう。

原作では、やや長すぎる妻の最期の言葉が書かれている。ボクも読んでいて、鬱陶しいとは

思ったんだ。 散骨の夕陽の凪いだ海のシーンにかぶせて、半分に要約した二通目の遺言を

田中裕子の・・・・はっきりした声で・・・・読ませるべきではなかろうか。

          

セリフをすべて聞き取れたのは、綾瀬はるか、次に、余 貴美子・・・・それだけで、初めて観た

ふたりの女優さんへ次の期待がかかるのだ。 佐藤浩市の演技は、抑えたなかに燃え損ねた

情念を秘めやに宿し、見事であった。 草薙某の青年は、ひとり浮いていた。最悪!!。

大スクリーンでなら、モウ一度観てみたい。 でも、また血圧があがりましょうか。

 


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