湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

牡丹のお寺 長浜・総持寺

2013年05月04日 | 詩歌・歳時記

白い指先で髪をすきながら、五月の薫風にほほえむ横顔が眼に浮かぶ。

それは庭に咲き誇る、赤や白の牡丹の花を見つめる、40年前の乙女のままの君の姿である。
        
          わが死せるのちも

          愛しき湖山は

          君をひとすじ永久に思わむ

今年も長浜・総持寺の境内に、牡丹の花が咲き競う、華麗な季節が訪れた。

それはまた、5月生まれの君だけを40年思い続けた、麗しくも切ない季節でもある。

        

 境内一面に植えられた牡丹は、100種類一千株。 冬の積雪に耐えて鮮やかに咲く花は

五月の初旬に見ごろを迎えるのだが、今日はまだ咲き始めである。 「入山料」200円也。

花の開花にしたがって、その値・・・300円、400円と上がっていくのでありまする。

          美しき夢に残していく恋と

          冷たく言いぬ

          年上のひと

長浜の下宿へ遊びにきたそのひとを、抱きしめて、ブラウスに手をかけた時、

「軽蔑するわ」 と、ボクの腕の下で言ったひと・・・・。

清らかなままで一年後に嫁いでいったそのひとは、伊吹山の麓の邑で安らかに暮らして

いることだろう。 

牡丹や石楠花のような、華やかなイメージではない、ひそやかな野の花のようなその人が、

風に吹かれているとふっとむかしのままに、涙のなかに立ち顕われてくる。

「五月のひと」 と名を呼んだ、はるかな恋物語が甦るのである。

         

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿