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時間旅行

2011-06-03 | 巨木
ある巨木を見に行った時、近くにお住まいらしい農作業姿の女性が不意に現れて
「この木はね、いろいろな人が見に来るのよ。
 去年も大勢来て、棒を立てて木を計ったりしてたのよ。」
そう言って、細い道を歩いて行ってしまいました。
その後姿を見ながら、私の今いるこの場所で、百年前や二百年前にも同じシチュエーションがあったかもしれないと、ふと思いました。
地域にあった小さな出来事を、こんな事があったと語り継ぐ暮らしがずっと昔からあったのかもしれないと。
そんな気持ちを抱く時、自分が今いる時間は溶け出してしまい、ずっと昔に暮らしていたはずの人々の、日々の感情を垣間見た気がします。

子供の頃、使っていた言葉とか、考えてた事で忘れてしまったことがいっぱいあって、でもその中に大切な何かがあったような気がして一所懸命思い出そうとしているけど思い出せません。
本を読んだらヒントになるかと、長いこと雑読し続けてるけれども今も分からない、そんな事がこの道の先にあるような、そんな不思議な気持ちになります。
 




巨木の花見

2011-05-06 | 巨木
二戸市は巨木が多く、花の咲く木も多いことから巨木花見が楽しめます。
どの木も素晴らしくて見ごたえのある木ばかりですが、個人的にこれはと思う巨木は、小中沢のキタコブシ、夏間木の大梅、奥山賽の神のエドヒガン。
今年は春の花の時期が遅くて、先日も空振りに終わってしまいましたが、やっと花と対面できました。
この季節は春の山野草の季節でもあって、カタクリの時期は過ぎてしまいましたが、ちょうどエンゴサクが見ごろになっていました。
春が遅いと、桜も梅もコブシまでもが同時に咲き出します。
こんな春もまた素敵です。





東北巨木調査研究会

2011-02-18 | 巨木
昨年から東北巨木調査研究会に参加して、青森県の巨木を見学させてもらっています。
イチョウから始まった私の巨木巡りは今、樹種を問わずに青森県内各地に広がっています。
青森県は環境省データに未登録の巨木の数が多いため、新たに発見される巨木も多く、そんな現場に立ち会えるのはこの会に参加しているからこそ味わえる楽しさです。
会員は随時募集していますので、興味のある方や巨木ツアーに参加希望の方にお勧めです。

東北巨木調査研究会



今までは個人的に巨木を訪ね歩いていましたが、そのときに活躍していたのが青森県農林水産部林政課発行の『青森県 里山の巨樹・古木マップ』と奥多摩町 日原森林館のホームページで管理している『環境省巨樹データベース』でした。
マップは青森県庁農林水産部へ問い合わせをすれば残部が有るかどうかの確認ができます。
巨木が好きなだけではなく、実は地図マニアでもあるので、遠出できない冬の間はマップを眺めているだけで楽しめる上に、春になったら行きたい場所のピックアップにも役立っています。







七戸 薬師堂の杉

2010-10-08 | 巨木
巨木を見る趣味を持ってから、近くに大きな木があると聞けばすぐに駆けつけるようになりました。
先日もブログ青森里山案内人のsanvongiさまから、七戸にある杉の巨木の事を聞き見学に行ってきました。

七戸スキー場に程近い薬師堂は、集落で祭る小さなお堂といった佇まいです。
杉の巨木は鳥居の左にありました。
落雷か強風によって上部が折れてはいますが、胸高の幹周りは堂々としたものです。
案内板には
「山屋の薬師堂は、もとは七戸町の西野地区にあったが、その地の神仏と折り合いが悪く、その場を去る途中、草の上でうたた寝していたら野火に気づき、逃げようとして「ところ」のツルに足を取られて倒れ、「ウド」で目をついてけがをしました。そのため目の治療に願を掛けた人は今でも「ところ」、「ウド」を禁食するといわれています。」
とあり、長い歴史が感じられます。
「ところ」はヤマイモに似た蔓性植物ですが、ヤマイモを指しているのでしょう。

南部地方の伝承でスーパーヒーローと言えば八太郎。
北東北三県を股にかけ、十和田湖の主になったり八郎潟の主になったり田沢湖の女神と恋をしたり、とても人間的な神様の伝説です。
七戸薬師堂でも神様は、うたた寝をしたり転んだりの親しみある姿として語られています。
神様=自然として考えると、俗人的な神様は、人と自然が密接な関係を築いていた事の表れなのかもしれません。






朝もやの盆地 島守

2010-10-06 | 巨木
9月中旬に八戸市の島守盆地を歩くイベントに参加してきました。
車で出かけることはあっても歩いたことは無く、徒歩のスピードでしか見られない島守盆地を初めて見ました。

盆地は独特の景観を見せてくれます。山によって周囲から切り離された景色の中には遠景が無く、見渡してもビルや工場などはありません。
自然の地形によって純粋に農村風景だけを切り取った場所、島守盆地はそのような所です。
黄金色に輝きだした田んぼや木々の緑、所々に庚申塚や湧き水の水場があり、車であれば見過ごしてしまう田園風景は古い日本の農村風景をそのまま残しているように感じます。
あちこち眺めながらこの盆地を一周すると3時間程度の距離でした。

まだ南郷村だった頃、島守盆地には田園ミュージアム構想がありました。今の美しい風景はその成果なのかもしれません。
南郷朝もやの館には島守盆地のガイドマップが置かれています。


大倉かつらの井戸








巌鬼山神社

2010-09-22 | 巨木
パワースポットの条件が、歴史・水・岩・古木・宗教施設であるなら、その内4つをクリアしている場所の巌鬼山神社。

津軽三十三観音第五番札所の十腰内観音堂でもある巌鬼山神社は、明治時代の神仏分離令で現社名の神社になり、本尊の十一面観音を百沢寺(現岩木山神社)に移すも、その後取り戻しています。神仏分離令以降は全国的に神社と寺ははっきりと分けられていくにもかかわらず、青森県では元の信仰形態を保ち続ける寺社が多いのは、仏教・神道だけでなく山岳信仰やイタコ・ゴミソなどのシャーマニズムまでをも包括して祭る懐深さも関係しているのでしょうか。
現在の岩木山神社は、この巌鬼山神社が11世紀末に移った寺という記録が残っていて、中世の文化的中心地が西海岸から内陸部へと移り変わっていく歴史と連動しているとも感じられます。

境内には青森県内でも十指に入る二本の杉の巨木と、参道右手には竜神社と湧き水の池があります。
社伝には、「796年建立、807年に坂上田村麻呂が再建」となっていますが、坂上田村麻呂が青森県内まで来たという事実は歴史上無いと解釈されています。
しかし樹齢推定千年の杉の巨木は、この神社の歴史の長さをしっかりと証明しています。

津軽三十三観音マップ








巨木の杜 七崎神社

2010-09-09 | 巨木
巨木巡りをしていると、人間よりもはるかに永く生きている生き物の命の力を感じることがあります。
そんな巨木が何本もある場所は、何か特別なものがあるのではないかと思えてなりません。

八戸市の豊崎にある七崎(ならさき)神社は、明治時代の神仏分離令まで南部糠部三十三観音の第十五番札所だった神社で、現在でも元の観音堂が残っています。
南部糠部三十三観音では鳥居のある観音堂が多く、神も仏も民間信仰もすべて一緒に祭り受け入れてきたこの地方の精神性を感じるのですが、七崎神社だけは近くの寺に観音像を移していて、逆にその事がこの神社の何か他とは違う歴史を想像させます。

七崎神社には八戸市指定天然記念物の3本の杉の木がある他、サワラと思しき老木と今まで調べてもデータの出てこないモミまたはイチイらしき巨木があります。
そんな主だった樹木以外にも、充分大きく育っている大木が多いこの社は、樹木の生命力がみなぎる不思議な場所です。





本堂右奥にある巨木 樹種が特定できません。樹皮はモミのようで葉はイチイに見えます。





三戸城址の巨木

2010-09-04 | 巨木
三戸といえば三戸城址の桜が有名です。
復元された天守閣と桜の図はお約束になっていますね。

この天守閣の向かいには糠部神社があって、お社の前にはご神木となっている杉の巨木があります。
巨木の多い青森県ですが、杉の巨木はそれほど多くはなくサイズも10m越えはありません。調べてみるとこの三戸城址の『城山の杉』が青森県で主幹周の一番大きな杉でした。
あまり注目されることもありませんが、県内一の杉の巨木は確かに存在感があり、本来は谷間などの水分量の多い土地を好む杉が山の上にあるのも、鎌倉時代に南部氏がここに城を造営したのではないかという、まだ確証のない歴史を読み解く鍵になるかもしれません。

三戸城址は「城址」という言葉から連想するよりも急な山の上にあり、天守閣からの展望は盆地であるこの地域を広く見渡せます。天然の要塞として高く評価され、南部氏が盛岡に居城を移した後も大切にされていたというのも、ここに来て見るとよく分かります。


全国巨樹・巨木林巨樹データベースより検索

 






弘前市 桂の清水と燈明杉

2010-05-17 | 巨木
弘前市の桂清水は静かな山の中で滾々と湧き出るおいしい水です。
桂清水の名の通り、桂の木の根元から水が湧き出ています。
時折地元の方が水を汲みに来ていました。

この清水から歩いて5分ほどの場所には「燈明杉」と名のついた杉の巨木があります。
環境省データでは幹周690cmとされていますが、見た感じではもっとありそうに感じます。
新緑のまぶしい季節、鮮やかな明るい緑の下草に囲まれた燈明杉は、美しいコントラストの中にひときわ迫力ある存在感を現していました。

 




桂清水  弘前市大沢字堂ヶ平




巨木の宝庫 青森県

2010-03-18 | 巨木
巨木の豊富な青森県で、また新たに日本一の巨木が見つかりました。
見つかったという表現を名の知られているこの木に使うには変ですが、平成10年に環境庁生物多様性センターが発足し、翌年から自然環境保全基礎調査が開始されてネット上にデータをまとめるまでは、日本一の巨木が何処にあるどの木なのかの情報は正確には分からない状態でした。

市町村の教育委員会で行っていた調査から漏れてしまう木もあります。
2007年に日本一と認定された十和田市のブナを2008年に見に行ってきたのですが、新しく認定された木なのでかなりの健脚でないとたどり着けないほど山奥にあるのかと思っていたら、舗装された車道からわずか5分の場所にありました。
以前から山に入る人には知られていた木なのだそうです。
青森県の巨木を訪ね歩いていると、いたる所で名もない巨木に出会います。
国内有数の巨木はまだまだあるのでしょうし、胸高の主幹周3m以上の巨木の数もまた日本一なのかもしれません。
調査認定が進めば巨木の青い森の県と胸を張れるようになるはずです。

今回日本一と認定された「上村のカシワの木」は、県重宝 旧圓子家住宅の敷地内にあります。
全国的に巨樹の少ないカシワですが、東北町にある豊前の柏は根元近くで二股に別れていて、胸高での主幹周が3mに満たないために巨木認定がされない木です。
測定の基準から外れてはいますが充分に立派な木で、遠くない将来に巨樹の仲間入りをするのでしょう。

日本一幹回り5.4m 五戸「上村のカシワの木」
ダケカンバ 日本一の巨木
青森県十和田市で日本一のブナ(単幹)を確認 全国巨樹・巨木林の会