会社の労働組合主催で2年目社員を対象とした研修があり、面白い(けどあまり明るい気持ちになれない)講演をふたつ聴いた。
自分のための覚え書きをかねて、印象に残った言葉を紹介しよう。
「労働者の労働者による労働者のための経営戦略論があってもいいのではないか」(森田浩之氏:政治学者)
経営戦略とは通常トップダウン方式で個人の目標としてブレークダウンされて「降りてくる」ものだ。さて、企業が存続の危機に陥ったとき、経営者はしばしば、短期的に最も有効なコスト削減である人員削減を行う。しかしそれは経営陣にとって都合のいい戦略であり、首を切られる側はたまらない。ならば、そうさせないために労働者側からのボトムアップ方式で提示される経営戦略があっていいのではないか、ということ。
では労働者側から提示できる効果的な戦略とは何か。それは、
「効果的なコスト削減とは、自らの生産に直接関わらない部分のコストを削減すること」(同上)
至極当たり前のことだが、今の私に与えられた仕事が「自らの生産に直接関わる部分のコスト削減」であり、しかもそれがサービスの事実上のスペックダウンであることを考えたとき、この会社は大丈夫だろうかとうすら寒い気持ちになった。多分あまり大丈夫じゃないんだろう。先のことはいろいろと考えておく必要がありそうだ。
シニカルでユーモラスなトーンで、企業活動と経済の話を面白く聴かせてもらった。
参考:森田浩之のロンドン通信
もうひとかた。
「NTTの2010年問題における方向性は、二つの意見が真っ向から対立している。資本分割か、統合か、である」(鈴木寛氏:民主党参議院議員)
音声市場は縮小傾向、IP収入も頭打ち。情報通信企業は映像配信で稼がないと食っていけない。PCにおける映像配信においては諸事情により完全にチャンスを逸した。ならモバイルでの映像配信に賭けるしかない。上位レイヤ事業(C)とモバイル(D)のミックスで儲ける仕組みをつくろうとするときにこの資本分割の動きが足かせになる。さぁ困った。
「日本が光回線事業において国際的に最も競争力があるのは、ハードウェア、ソフトウェアの技術革新に加えてヒューマンウェア(=技術者たちの職人芸)を持ち合わせていたからである」(同上)
なるほど確かに、光ファイバーという繊細な素材をあまねく日本の地中に敷設する仕事は、手先の器用な日本人のいかにも得意そうなこと。それが競争力の源泉のひとつだというのは誇らしいことだろう。だからこそ、このヒューマンウェアが、いわゆる組織のたこつぼ化によって会社の中の特定の部署に集中してしまっている、もしくは社外に流出している(=現場力の低下)ことが問題視されているのだし、あらゆる業務がそれと同じ問題を抱えているという現状にスポットライトがあたることになったんだろう。
参考:すずきかん
Nグループの将来の展望を「4段階評価で2.8」とやや楽観的に見ている鈴木氏のお話を聞いたあとも、私はどうにも楽観的になれなかったな・・・。
自分のための覚え書きをかねて、印象に残った言葉を紹介しよう。
「労働者の労働者による労働者のための経営戦略論があってもいいのではないか」(森田浩之氏:政治学者)
経営戦略とは通常トップダウン方式で個人の目標としてブレークダウンされて「降りてくる」ものだ。さて、企業が存続の危機に陥ったとき、経営者はしばしば、短期的に最も有効なコスト削減である人員削減を行う。しかしそれは経営陣にとって都合のいい戦略であり、首を切られる側はたまらない。ならば、そうさせないために労働者側からのボトムアップ方式で提示される経営戦略があっていいのではないか、ということ。
では労働者側から提示できる効果的な戦略とは何か。それは、
「効果的なコスト削減とは、自らの生産に直接関わらない部分のコストを削減すること」(同上)
至極当たり前のことだが、今の私に与えられた仕事が「自らの生産に直接関わる部分のコスト削減」であり、しかもそれがサービスの事実上のスペックダウンであることを考えたとき、この会社は大丈夫だろうかとうすら寒い気持ちになった。多分あまり大丈夫じゃないんだろう。先のことはいろいろと考えておく必要がありそうだ。
シニカルでユーモラスなトーンで、企業活動と経済の話を面白く聴かせてもらった。
参考:森田浩之のロンドン通信
もうひとかた。
「NTTの2010年問題における方向性は、二つの意見が真っ向から対立している。資本分割か、統合か、である」(鈴木寛氏:民主党参議院議員)
音声市場は縮小傾向、IP収入も頭打ち。情報通信企業は映像配信で稼がないと食っていけない。PCにおける映像配信においては諸事情により完全にチャンスを逸した。ならモバイルでの映像配信に賭けるしかない。上位レイヤ事業(C)とモバイル(D)のミックスで儲ける仕組みをつくろうとするときにこの資本分割の動きが足かせになる。さぁ困った。
「日本が光回線事業において国際的に最も競争力があるのは、ハードウェア、ソフトウェアの技術革新に加えてヒューマンウェア(=技術者たちの職人芸)を持ち合わせていたからである」(同上)
なるほど確かに、光ファイバーという繊細な素材をあまねく日本の地中に敷設する仕事は、手先の器用な日本人のいかにも得意そうなこと。それが競争力の源泉のひとつだというのは誇らしいことだろう。だからこそ、このヒューマンウェアが、いわゆる組織のたこつぼ化によって会社の中の特定の部署に集中してしまっている、もしくは社外に流出している(=現場力の低下)ことが問題視されているのだし、あらゆる業務がそれと同じ問題を抱えているという現状にスポットライトがあたることになったんだろう。
参考:すずきかん
Nグループの将来の展望を「4段階評価で2.8」とやや楽観的に見ている鈴木氏のお話を聞いたあとも、私はどうにも楽観的になれなかったな・・・。