階段を下る途中で、緑色っぽい岩が露出していました。
仏ヶ浦の岩石は、海底火山の噴出物が海底に堆積し、熱変質で緑色・灰緑色を呈しますが、それらが隆起し、長い年月を経て、雨や波の浸食を受け、現在の仏ヶ浦の景観が形成されたのです。
海岸に木道が整備されていました。
海に桟橋を見かけました。
4月末から10月末まで、佐井港や脇野沢港から観光船が通い、仏ヶ浦を訪ねる時は、観光船を利用するのが一般的なのだそうです。
桟橋の北に、五百羅漢と呼ばれる、白い岩の崖が見えます。
ゴロンとした形の「帆掛岩」や、矢尻形の奇岩「一ツ仏」等を眺め歩きました。
しかし、私の旅の主目的は植物です。
浜に咲くハマエンドウや岸壁に咲くアサツキなどを撮影し記録します。
東京はこの日、34度を超えたそうですが、そんなこととは露知らず、私は爽やかな海風を受ける仏ヶ浦で花を探し、眺め歩きました。
ミヤコグサ フタリシズカ
仏ヶ浦の散策を終えると、今度は、あの長い木の階段を上らねばなりません。
しかし幸いなことに、森の中の階段は梢が日差しを遮り、潮騒の音を聞きながら上りましたが、汗をかくことはありませんでした。
20分弱で階段上りを終え、傾斜の緩い散策路を歩き始めると、路傍の下草に、特徴的な葉形を見せる植物に気づきました。
そして直ぐに「ハクサンカメバヒキオコシ」と判断しました。
実は私は、4、5日に一度の頻度で小石川植物園に通い、行けば必ず温室の全植物に目を通し、個々の植物の季節変化を写真に記録し続けています。
以下の、小石川植物園の「ハクサンカメバヒキオコシ」の写真をご覧下さい。
この特異的な形の葉は、
① 葉の先端部が主脈近くまで深く切れ込みます。
② 葉の両側から切れ込みが入ることで、葉の先端部が分離しますが(頂羽
片ないし頂裂片)、その頂羽片の縁にギザギザ(鋸歯)があります。
③ 茎から延びる、緑色の長い葉柄の先に、①②の特徴を持つ葉が付きま
す。
小石川植物園の「ハクサンカメバヒキオコシ」
そんな特徴を持つ「ハクサンカメバヒキオコシ」の葉を、私は仏ヶ浦で目撃したのです。
しかしその時私は、「下北半島にも育つか」程度の認識でした。
そして旅が終わり「ハクサンカメバヒキオコシ」をネット検索すると、分布域は長野県西北部から滋賀県東北部にかけての一部地域だけらしいのです。
「隔離分布」の可能性も・・・
もしかしたら、事件かもしれません!
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好奇心の植物観察
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