ゼロ番ホームで横手行き気動車のドアボタンを押し、前方のベンチシートに腰を落としました。
この列車もワンマンカーなので、前方に運賃表があります。
北上駅を出た列車は、14の駅を経て横手駅に到着するようです。
運賃表に一ノ関から気仙沼までの駅名も記されていました。
この車両は北上線と大船渡線で共有されているようです。
車内の掲示物が、北上駅、ほっとゆだ駅、横手駅以外は全て無人と告げています。
ほっとゆだ駅も、駅員の居ない時間帯があるようです。
気動車は定刻通りに北上駅を出発しました。
列車は緑の多い市街地を走り、柳原駅に停車しました。
この駅で、数多くの学生が乗車してきました。
ベンチシートに座った私は、気ままに振り返って外を眺めることができなくなりました。
運賃表の駅名も確認できません。
次の江釣子(えづりこ)駅では、カメラのシャッターを押すこともできませんでした。
しかし江釣子の駅名が気になったのでネット検索すると、
アィヌ語の「カムィ・ヘチリコ(神々の・遊び場の意)」が語源で、「ヘチリコ」が「えづりこ」になったようです。
次の藤根駅を過ぎても、車内の混雑は収まりませんでした。
列車は藤根駅に続き、立川目(たてかわめ)駅、その次に横川目(よこかわめ)駅に停車しました。
この名も大いに気になります。
しかし、その名の由来は単純でした。
立川目は川が縦に流れ、横川目は川が横に流れる場所を意味します。
この場合の「目」ですが、東北地方には「~目」という地名が多く、本来は「ベ」であったものが「メ」に転化したそうです。
つまり、立川目は立川辺と同義で「縦に川が流れる辺り」を意味します。
列車は横川目駅を出て岩沢駅、和賀仙人(わかせんにん)駅へと進んで行きました。
和賀仙人駅の住所は、北上市和賀町仙人で、仙人山(883m)が背後にひかえます。
アイヌ語で綺麗な水を「ワッカ」と呼ぶことが和賀の由来だそうです。
気動車が、ゆだ錦秋湖駅に停まると、錦秋湖が見えてきました。
錦秋湖は昭和39年(1964)に完成した湯田ダムが和賀川をせきとめた人造湖で、その名の通り、秋には紅葉が湖面を彩るそうです。
次に列車が停まった、ほっとゆだ駅は全国でも珍しい温泉付きの駅舎で有名ですが、残念なことに写真を撮りそこねました。
列車が岩手県内最後の、ゆだ高原駅を過ぎると、白いソバの花が車窓を飾り、
県境を越えて秋田に入った最初の黒沢駅では、尾花が西陽に揺れていました。
その後、気動車は標高を落としながら黒沢、小松川、相野々の駅を経て、定刻の18時03分に横手駅に終着しました。
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