海風を避けて、道路よりも低く建てられた民家の庭にコスモスが揺れています。
海面に荒立つ波が海底の昆布を巻き上げ、日高昆布が育つ恵みの海であることを告げていました。
南東へ向かう国道沿いに河岸段丘が続き、自転車の進行に抗う強さを増し始めた風が、交通安全の黄色い旗をはためかせていました。
打ち寄せる波が、白い泡を立て始めました。
磯で働く昆布取りが、波のリズムを計り、先端に鉤の付いた棒を操っていました。
きっと、芳醇なミネラルを含んだ黒潮がこの磯にぶつかり、猛々しい波が海にオゾンを溶け込ませるのでしょう。
荒々しい海であればこそ、豊かな恵みをもたらすのかもしれません。
厳しい海で働く人々の慎ましやかな姿が、コンクリートとガラスに囲まれた都会に暮らす日々で忘れたものを、想い出させてくれる気がします。
潮風荒く吹きつのる道で、生命力を感じさせるオオハンゴンソウの輝きが、風に逆らう力を与えてくれます。
通り過ぎる家々の庭に、コスモスが揺れていました。
容赦ない潮風の中で、花を絶やさぬ人々の暮らしに勇気づけられます。
河岸段丘の大地の先、緑の牧草地の広がりの果てに、遥かに連なる日高山脈が望めました。
三石海浜公園を越え、三石川を渡りました。
河岸段丘に沿って小さなアップダウンが繰り返され、向かい風の中で緩慢なペダリングを続けました。
向かい風の中であっても、苦しいとか、休みたいと思う気持ちとは無縁でした。
空腹を感じたら、峠の頂きなどで、大福餅や一口羊羹で糖分を補給すれば、10分も休まずに脚力が回復しました。
休憩後はギア2つ分も、脚力が回復したのが分かります。
これから100歳まで、後35年ほど使うつもりの、足の筋肉に負担を掛けないよう心がけ、小さな上り坂も小まめにギア比を調節し続けたのが良かったのかもしれません。
※ 他の記事へは 自転車でコスモスの島へ index をご利用下さい。
他の旅の記事は 旅の目次 をご利用下さい。