列車は10時35分、旭川から約200㎞をはしり、幌延のホームに身を委ねました。
ここで21分停車するとのアナウンスがあり、改札を出て駅の周囲を散策することにしました。
幌延には車で何度も来ていますが、駅をまともに見るのは今回が初めてかもしれません。
町の様子は昔と大きくは変わらないように思えました。
そして空の青さが格別です。
実は、この町には、学生時代に所属していた自然を観察しながら山野を歩くクラブで一緒だった、一年後輩で動物写真家の富士元寿彦さんが暮らしています。
この記事の為に、幌延町の現状を確認しようと、ネットで幌延町で検索すると、ウィキペディアの「出身およびゆかりのある有名人」の欄に彼の名を見つけました。
そこで今度は「富士元寿彦」で検索すると、
サロベツ発 <富士元寿彦> というブログがヒットしました。
年月を数えれば、あれから約半世紀の歳月が流れています。
学生のクラブはワンダーフォーゲル部と生物部を合わせたような活動をしていました。
私は今もその頃と同じようなことをして遊んでいますが、富士元寿彦さんは卒業後も一貫して、幌延で自然を見続ける人生を過ごしてきたのです。
私は生きる糧を得ることを優先し、富士元さんのような生き方はできませんでした。
一度しかない人生に対する価値観、己の生き様に対する勇気、とでも表現すべきなのでしょうか。
ただただ脱帽なのです。
幌延駅のホームにコスモスが揺れていました。
稚内行き普通列車は定刻の10時56分に幌延を発車しました。
稚内まで残り約60㎞、宗谷線最後の旅が始まりました。
幌延駅を出るとすに見渡す限り、青と緑と白だけからなる単純で、おおらかで、強い者だけが生きてゆける景色が広がりました。
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