邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「爆笑水戸黄門漫遊記」

2009年02月02日 | ★痛快!な映画
時代劇の
群像劇的ロードムービー&
ミュージカル・コメディの決定版。

ひょんなことからお上に追われるハメになり
偽の水戸黄門トリオとして旅に出た金兵衛(柳屋金語楼
助松(柳沢真一)、角造(南道郎
VS 由利徹、八波むと志、南利明のもうひとつの偽黄門一味
のドタバタ珍道中。

次から次へとお笑いの爆弾が炸裂!
絶妙な「間」でやり取りされる台詞が実に気持ちイイ。
いずれ劣らぬ芸達者だからあたり前か。

堺俊二が浪曲を歌うシーンがあり、
素晴らしくハリのある声で、
やっぱり堺正章って、
お父さんの血を受け継いだんだわねえ~~とナットク。

あごにホクロがある南道郎は、
悪役が多いと思っていたけど,コメディも実に上手い。
(と思ったら、実は俳優になる前は漫才師だったらしい!)
柳沢真一と抜群なコンビ芸を見せてくれる。

花菱アチャコの関西弁の妙、爆笑宴会芸、
上田吉二郎の大親分ぶりも傑作だが
一番すごい!と思ったのは
森川信の小物親分(笑)だ。
メリハリの利いた江戸っ子弁ギャグに思わず噴いてしまう。

ひとりひとりの見せ場の配分がちょうどいいバランス。
真面目な顔をしている暇が無い、ゴキゲン映画。
ウツな気分の時に見たらたちまち気分が晴れるでしょう。
この時期、斉藤寅次郎は絶好調で
大笑い江戸っ子祭(1959) 勢揃い江戸っ子長屋(1958) 「底抜け忍術合戦」なと
たてつづけにコメディ映画を撮っている。いつかまとめて観たいものだ。

他に益田キートン、トニー谷、清川虹子 
徳川夢声 佐藤允 夏木陽介、有島一郎など

1959年
監督 斉藤寅次郎
脚本 中田竜雄 淀橋太郎 蓮池義雄
撮影 岡崎宏三
音楽 中元清純
美術 内田昭一

★追記:由利徹は持ち芸の「東北弁」で通しているが
名古屋弁でブレイクした南利明はこの当時はまだ使ってなく、
標準語で喋っているので目立たないこと甚だしい。
名古屋弁デビューはいつだったのだろうか??

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「鴛鴦歌合戦」

2007年04月12日 | ★痛快!な映画
マキノ正博が
7日間(!)で撮ったという、時代劇ミュージカル映画。

「脳みそよとろけよ!」とばかり、
楽しい歌の応酬で物語が進行する。
貧乏長屋で暮らす
お春(市川春代)は同じく貧乏な浪人(片岡千恵蔵)に
惚れているが、殿様(ディック・ミネ)もまたお春に惚れている。

ストーリーは他愛の無いものです

タキシードにブランデーグラス、
ポマードで固めた白髪交じりのヘアじゃなきゃ
ディック・ミネだとわからない筆者は
この人誰?状態で最後まで観てしまった。
歌唱法も晩年のディック・ミネとはちょっと異なってるような。

片岡千恵蔵も「多羅尾伴内」をやったり、
「地雷也」ものをやったりと、
実にチャレンジ精神旺盛な方だとは思っていたが
ミュージカルにも出ていたとは知らなかった。
押し出しの利く立派な顔で「歌」。

また、ミスター「七人の侍」「生きる」の、
アカデミー賞主演男優(とってませんが)
志村喬がお春の父親役で登場。
傘を貼りながら、力が抜けた呑気な歌を披露しているのにも
正直言って開いた口がふさがらなかった!

時折めまいがしそうになるような
めくるめく
画面構成になるかと思ったらカメラが宮川一夫じゃないの。

どこか「歌謡ショー」を思わせる振り付け、
和音階が入ったジャズ風の音曲(?)といい
ユニークといっちゃあ、ユニーク。
ナンセンスといえばこれほどナンセンスな映画もそう無いだろう。

けっこう酩酊します

狸御殿シリーズはこの系譜を継ぐものだが、
これらは真面目に見ちゃだめ。
そのノリについていけるかどうかはあなた次第、
あなたの心身の状態次第と申しましょうか?

1939年
監督   マキノ正博
脚本   江戸川浩二
撮影   宮川一夫
オペレッタ構成・作詞   島田磬也
音楽指揮・作・編曲   大久保徳二郎

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「魔子恐るべし」

2007年04月10日 | ★痛快!な映画
非情都市」のような
都会的でハードボイルドタッチの映画が得意なのかなあと
勝手に思っていた鈴木英夫監督の東宝デビュー1作目が
こんなぶっ飛び怪作だったなんて!

根岸明美の抜群のプロポーションをあますところなく活かした
魔子ファッションはというと、
和服を太もものあたりでちょん切った女忍者のようないでたちだ。
脚線美はもちろん惜しげもなくフューチャーされている。

八ヶ岳の山奥から、「画家の福田」
という男を探して東京に出てきた純朴な魔子を
海千山千の男たちがつけ狙う。
「福田さんのところに連れてってやろう」
「ホイ!」(ほんとにこんな返事)
「ここで風呂に入って待ってな」
「ホイ!」
と言う具合に
ころりと騙されてしまう。
う~ん
和製「フォレスト・ガンプ」みたい?
ちょっと違うか。

女言葉を操るチンピラ(森繁久弥)は
騙すつもりが命を助けられて魔子の味方に!
ひねった役どころを
お洒落に演じていてさすがは森繁。

山猿のような風体の茂助(藤原釜足)は
魔子を陰ながら守る「目付け役」だ。
他に加東大介、藤木悠など。

ストリップ劇場では
日劇ダンシングチーム出身の根岸が悩殺の踊りを披露!

根岸明美を
一度銀座で見かけたことがあった。
やはり一般人とは異なる華やかさでまぶしかった。

太っ腹な姉御とか色っぽくてワイルドな姐さんのイメージがあったが
こんな素っ頓狂な役もこなしていたのか。
芝居が上手いのでついつい見とれてしまう。

色っぽい山娘役は「獣人雪男」でも見ることが出来る。
この後続く?ような終り方だが
シリーズになった話は聞かない。

●他の鈴木英夫作品
「悪の階段」

1954年
監督 鈴木英夫
原作 宮本幹也
脚色 梅田晴夫 (梅田望夫のお父さん!)
撮影 鈴木斌
音楽 松井八郎
美術 北猛夫 村木与四郎

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「クレージー作戦 くたばれ!無責任」

2007年04月08日 | ★痛快!な映画
植木等が
「やりたいことを~やろうじゃないか~~
責任もって~~♪
くたばれ 無責任!」と高らかに歌っていた。

「無責任」が流行り言葉になり
こりゃいかんと作ったのだろうか?

鶴亀製菓の無気力社員田中太郎が
ハッスルコーラを飲んだ途端、
がぜんやる気を起こして働きまくり
会社を盛り立てるという、サラリーマン応援コメディ。

クレージー「作戦」第二作目。
なんとか作戦って映画のタイトル、けっこうありますね。

山茶花究や浜美枝、淡路恵子らに混ざって
メガネにちょび髭の
上原謙がコメディに挑戦しているのが見もの。
ヴィンセント・プライスを胡散臭くしたような風情と申しましょうか、
妙な味わいをかもし出しております。

「ハッスルホイ」「オート三輪進軍ラッパ」
「ホンダラ行進曲」「くたばれ!無責任」が挿入されているが、
ミュージカル色は薄く、「スーダラ節」など
ゴールデンラインナップの「ニッポン無責任時代」に比べて
物足りない感は否めない。

ハッスルコーラの猛烈宣伝ぶりからも
高度成長期に向かう当時の勢いは大いに感じましたが。

1963年坪島孝

製作 渡辺晋 安達英三郎
脚本 田波靖男
撮影 遠藤精一
音楽 広瀬健次郎
美術 小川一男

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「スタジオはてんやわんや」

2007年03月05日 | ★痛快!な映画
1956年大映。総天然色(!)

看板スター長谷川一夫をはじめ、
京マチ子 菅原謙二 根上淳 若尾文子 山本富士子
市川雷蔵 勝新太郎 船越英二 林成年
川口浩 品川隆二 高松英郎 川崎敬三、
木暮実千代 三益愛子
など、
当時の大映スターが勢ぞろいした宣伝映画。

大映東京、京都撮影所の中をカメラがスイスイ入っていき
きらびやかな銀幕の世界の裏側を
ちょこっとのぞくことが出来るという
ファンにとっては楽しいサービスだ。

面白かったのは
船越英二と先ごろ亡くなられた高松英郎さんの漫才。
真面目なイメージの高松さんのヒョウキンな一面が覗けて貴重。

貴重といえば、当時大映がアメリカから輸入した日本初の
ビスタビジョンカメラのお披露目も!
大映のやる気を感じさせる、活気あふれるプロモーション映画であった。

スターたちは歌も上手い。
紅白歌合戦のようなコーナーが楽しかった!

黒川弥太郎、品川隆一などは本職の歌謡歌手のようだし、
三益愛子の達者な歌、
市川雷蔵 勝新太郎、林成年による舞踊、
川崎敬三のドラム、川口浩の真剣なマリンバ演奏も聴ける。
総スパンコールのドレス姿の山本富士子は歌も抜群だった。

みんな生え抜きの映画俳優だから、
ポーズ、目線もきっちりきまっているし
「歌手」の役をカンペキに演じているようにも見える。

最後にレビューよろしく、長谷川一夫先生を筆頭に
全員がステージに続々と登場して勢ぞろいする。

京マチ子は存在自体が派手!誰よりも堂々としている。
若尾文子は可愛いけどまだ蕾の風情で、
この後凄絶な色香が加わったのだろうと思うと大変感慨深い。

いたずら坊主のような勝新太郎は
市川雷蔵を押しのけて真ん中に立つなど
茶目っ気いっぱいだし。

華やかなステージに揃った顔の中には、馴染みの無いお顔もちらほら。
同じスタート位置に立ちながら、消えていった人たちもいる。
そんな方々の人生ドラマにもちょっと興味が湧いてしまったなァ。

監督 浜野信彦
構成 棟明郎
撮影 本間成幹
音楽  大久保徳二郎
美術 山口照

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