邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

華岡青洲の妻(5)”別離”

2005年02月26日 | ★TV番組
わああ~加恵の目が!

人体実験の結果、失明してしまった加恵を抱きしめ
泣いて詫びる青洲。

優しく世話を焼く息子の姿を見て
嫉妬する於継に、もはやつける薬はない。

戦意を喪失してしまっている嫁に対して
まだめらめら闘志を燃やし続ける姑の激しさを見よ!

K1、PRIDE、恐れるに足らず。
女の戦いの激しさと恐ろしさを見よ~!

ダメ押しの、
「跡取りを産んだことだけは私の勝ち」という
言葉におののく加恵だったが
そこで於継、ばたんと遂に倒れる!

華岡家で必死に居場所を作って城を築き上げた於継。
雲平さんだけが私の居場所だったと言い涙を流す。

「居場所・・」「雲平さんだけが・・・」
枯れ木のようになった於継に思わず同情!

その後の
「私が盲い(めしい)たかった。雲平のすべてを引き受けて死にたかった。」
という究極の言葉におののく私!

加恵は思わず於継の手を握り締めたが・・・
どうとっていいやらこの言葉!

加恵の出産シーンに重なる於継の臨終、雲平出産シーン独り語り。
ドラマチックな演出でしたね。
「黒い雨」に次ぐ田中好子の代表作になりうる演技だったと思う。
臨終シーンといえば「大奥第一章」の高島礼子の名演も思い出す。
どちらも見事な御最後で、胸を打たれました。

青洲の弟子の言葉、
“華岡家のような暖かい家を作りたかった、
ごっさんとおおごっさんは本当の親子のようにお互いを思いやっていた”
という言葉にとまどう加恵。
そんな言葉に加恵以上にとまどう我ら視聴者!
かすかな表情の動きで感情を表現する和久井映見が素晴らしい。

今週もまた、きめ細やかな演出に裏打ちされた
俳優さんたちの迫真の演技に堪能した45分でした。

来週は、とうとう最終回。

嫁ぐことも拒み華岡家のために働き続け、
母と兄嫁の戦いの歴史を全部見てきた青洲の妹小陸が病に?
美しい首になにやら恐ろしく大きく醜悪な塊が!
しかも大変な言葉を口走っているようで・・・衝撃!

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「侍」

2005年02月23日 | ★ぐっとくる時代劇
岡本喜八レトロスペクティブ/
勝手にひとりでやっています。

見るぞお!勝手にはりきっている。

雪の桜田門外で
井伊直弼(松本幸四郎)を待ち伏せする水戸天狗党。
美しい構図に目をみはる。大胆なカット割りにも。
画面に大きく「侍」の字、その横には三船敏郎の顔が。

う~んとうなるカッコ良さ!

岡本喜八監督プラス橋本忍脚本。

時の大老井伊直弼を狙う冷酷非情の親玉
星野監物に、怪優伊藤雄之助!
やはりすごい面構えだなあ。
あなたは伊藤雄之助が刀を持って
裏切り者にユラ~リ、ユラ~リと近づく場面を
果たして正視できるだろうか?

私は目をそらしました。

物凄い殺気、不気味さはへたなお化けより断然怖い!

新納(にいろ)鶴千代(三船敏郎)
狼のような浪人。ある事件をきっかけに真っ当な道からはずれてしまった、
動物のような男である。
幼少からの鶴千代を知る木曽屋政五郎(東野英次郎)は宿の女主人
お菊(新珠三千代)に鶴千代の身の上話をする。
数奇な運命にあやつられる男。

物語のはじめに
「二月も二十日となれば、春のよう・・ですな」という台詞がある・・
ちょうど今時分の出来事。

これは、「愛も無いのにゆきずりの女と戯れに関係し子供を作ると身を滅ぼす」
という戒めの話である。
というのは冗談として・・・

事情が事情とはいえ
鶴千代の行動は情けなく、哀しい。

いよいよ三月三日の決行の日。
激しい吹雪の中の死闘は・・・凄まじい。そして美しい。
息を呑む迫力である。
この場面は一度見たら一生忘れないだろう。

「わしが死ねば徳川はつぶれるだろう」と言っていた直弼。
激しい斬り合いの最中
籠の中で「馬鹿め!」「馬鹿!これで侍はいなくなるぞ!」
と、振り絞るように呻く。

手柄を取って、ひとかどの侍になりたいと願った鶴千代だったが
自分が手を染めたその事により、
侍の時代を終わらせることになってしまうとはなんたる皮肉!

もうひとつの皮肉とは・・

ラストに直弼の首を狂ったようにかかげる三船が傷ましい。
大きな力に利用されただけの鶴千代。
こんな怪物みたいな男を演じられるのは
今は・・・いないのではないか。

他に、大辻伺郎、中丸忠雄、志村喬、杉村春子、
小林桂樹、八千草薫、江原達怡 、黒沢年男、平田昭彦など

これもまた「独立愚連隊西へ」と共に、
あなたの街のビデオ屋さんの片隅にあったらラッキー!
借りてみて。
そしてぜひ感想をお聞かせ下さい。

1965年 岡本喜八監督作品 橋本忍脚本
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「独立愚連隊西へ」

2005年02月22日 | ★痛快!な映画
先日亡くなった岡本喜八監督の痛快戦争活劇。

面白い!

クレヨンしんちゃんグッズが中国で売れているとか。
そんな中国で戦時下、ぼろぼろの軍旗を中国軍と奪い合う、
加山雄三率いる左文字隊。

キャラが立っているというのはこういう映画をいうのだろう。

加山演じる左文字少尉はきりりとした美男子。
明るくタフで頼りになる。
農家の息子という設定が似合わなくて面白い。

真っ白な歯がまぶしい戸川軍曹(佐藤允)は
やんちゃ坊主がそのまま大きくなったようだ。
さばさばしていてすごく男っぽい!

そろばん占いで戦況を占う神谷一等兵(堺左千夫)、
アカチンのあだなの小峰衛生兵(江原達怡)、
ワイルドな謎の男早川(中谷一郎)。

怪しげな中国語に不思議な日本語。
くすぐった途端「ヤメテヨ」と言い、
日本語が喋れることがバレる中国人捕虜。

国境を越えた友情をかわす中国軍の梁隊長にフランキー堺。
中国軍のスパイ(中丸忠雄)もからんでスリルも満点。
いきなり現れるゲリラ隊の隊長が・・
出た~!怪人天本英世 !怖いけど可笑しい。

激しい戦闘地においても明るく能天気。
いいヤツばっかりの左文字隊。
だがそんな中でも「宇宙家族ロビンソン」(たとえが古すぎ?)の
ドクタースミスのように、いやな奴も当然いる。

ありえない設定でのありえない物語。
痛快な台詞がリズミカルにバンバン飛び交い、活気があるある。
なによりでっかい愛がある!

左文字隊、がんばれ!死ぬな!
大江大尉(平田昭彦)に軍旗奪還の報告をし、
ぼろキレのような軍旗をかかげて歩くラストが滑稽で、
戦争への痛烈な皮肉を感じた。

♪いーりゃんさんすう、いーりゃんさんすう!
どこだよ次は~ 西か東か南か北か
どこでもいいや、こんちきしょうめ!♪

挿入歌も最高にゴキゲン!おすすめ!

1960年 岡本喜八監督作品 脚本 関沢新一 岡本喜八

*岡本喜八監督のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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「遊侠五人男」

2005年02月20日 | ★ぐっとくる時代劇
合羽(かっぱ)からげて三度笠。

長谷川一夫(駒木野の源八)、
梅若正二(韮崎の佐吉)、黒川弥太郎(佐原の又四郎)、
勝新太郎(野州無宿の徳次郎) 市川雷蔵(妻木兵三郎)

・・・が五人男と思われる。

市川雷蔵は侠客ではないのだが・・
五大スター競演の股旅もの時代劇。

長谷川一夫はいいところ見せまくっています。

旅芸人お藤(木暮実千代)がやくざものに囲まれているところに現れ、
豪勢に小判をばらまいたり、大勢を相手に大立ち回りをしたり。
(もちろん負けない)

この源八、元はれっきとした旗本だと言うが、
立ち居振る舞い、喋り方など、どこからみてもバリバリの渡世人です。

カッコイイ長谷川一夫に、
不肖の子分である勝新太郎がコミカルに絡む。

こたえられません。

黒川弥太郎は出ているだけでその作品の格を上げる役者。
梅若正二の律儀な若親分ぶりもいいけど、
木暮実千代のキップのいい姐御ぶりはなにより必見である。
頼りがいがあり、粋で色っぽい。
姐さんはかくあるべきというお手本。
市川雷蔵はかつて源八と道場仲間だった役人を演じて華を添えている。

股旅ものの魅力に粋な台詞を聞く楽しみがある。

今はあまり聞かれない「さんぴん」
(≪一年間の扶持が三両一分であったところから≫
江戸時代、身分の低い武士を卑しんでいう語―大辞泉)
などという言葉も出ていた。

渡世人同士の立て板に水が流れるような掛け合い、
喧嘩の威勢のいい啖呵や毒づきなど、聞いていて楽しい。

「命を粗末にするねい、あばよ!」「こきゃあがったな!」
江戸吉原でとうとう憎い敵を見つけた際にも、
「花の吉原、血の雨降らすが本意じゃねえ。」
なんて、キザな台詞がさまになる長谷川一夫。

恋人役の勝新太郎中村玉緒
息ぴったりで、映画の中でも似合いのカップルです。

クライマックスは花の吉原での派手な斬り合い。
軽快な音楽が盛り上げる。
昔の映画館の中はこんな場面で喝采が巻き起こっていたのだろう。

長谷川一夫のこってりした声に、絶妙な間合いで絡む勝新の台詞。
鰻重に特大あんころ餅が付いているようなお得感がある映画である。

1958年 加戸敏 監督作品 八尋不二 脚色 川口松太郎原作

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華岡青洲の妻(4)”悲しみをこえて”

2005年02月19日 | ★TV番組
なんという展開!
まさに激辛ドラマ!
有吉ワールドを
今回も第3回と同じく森脇京子さんが脚色。

於継に張り合って麻酔薬の実験台になる加恵を
憎憎しげに見守る於継。
そしてまた於継も2度目の実験台に。
実験に夢中になっている加恵たちを
愛娘小弁の死が待ち受けているとは!
川に流された櫛を追いかけて・・
「おかはんの櫛、おかはんの櫛!」耳に残る。

しかし、最近の子役さんって上手いわ~

みんな肩幅が20センチくらいの幼い体なのに(そんなわけないか)
「義経」で牛若丸に扮した神木隆之介くんといい、
幼少の頼朝役の池松壮亮くんといい、
「大奥第一章」の竹千代、須賀健太くんといい、
大人顔負け、いや大人と同等に張り合う演技の巧みさに驚く。
逸材揃いである。

少ししか出番が無かったが、村崎真彩ちゃんもまた
小弁の利発さ、愛くるしさを表現していて秀逸だった。

そんな達者な演技ゆえ、
可愛い子供を亡くしてしまった加恵の悲しみが際立った。
葬儀のシーンの魂の抜けたような表情は
見ていられないほど痛ましかったですね。

そんな加恵を同じく子供を亡くした於継がいたわり、
せめて新しい着物をと、機を織るのだった。

・・・・・・・ここまでなら普通のドラマなのだがっ!

ここからが激辛炸裂!

加恵が2度目の実験に挑むと知るや、
於継はせっかく織り上げた反物を
炉にほおりこんでしまうじゃありませんか!
それを見ちゃった青洲の妹・小陸(小田茜)の驚きの表情。

きれいごとではすまされない人間の本性を表現。
野田雄介、中寺圭木、 勝田夏子の
非常に丁寧で細かい演出が、ドラマに一層の深みを与えている。

実験の時、足元が乱れぬように両足を縛って寝ていた加恵を
「さすが武士のおなごじゃ」と褒め称える青洲に
「やられた!」とばかりの於継の表情は
嫉妬丸出しで滑稽なほどだった。

実験から目覚めた加恵が差し出す手を、
とまどいの表情で握る於継。
また、台所でおかゆを作りながら泣く於継。

加恵の無事を喜ぶ涙のようだが実は、
疎外感と二人への嫉妬の涙だったという衝撃の事実!

そんな母をみつめる小陸のまなざし。

麻酔薬「通仙散」完成の喜びもつかの間、加恵の目が!!!
あまりにも大きな代償。

和久井映見の演技はますます冴え渡っている。
田中好子の表情の豊かさも面白い。
華岡青洲役の谷原章介は、
今の役者さんではこの人以外にないくらいに
ぴったりはまっていますね。

来週はどうなっていくのか。
絶対に見逃せない金曜時代劇である。

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