待ってました!
松橋登さま(”さま”を付けたくなるお方)の
「鬼首峠に棄てた鈴」は「峠シリーズ」のラストを飾るに
ふさわしい素晴らしい作品でした!
たった一度の恩を受けた親分の仇を討つために
ススキが生い茂る寂しい宿場町にたどり着いた銀次。
腰にはミスマッチな可愛らしい鈴を下げている。
生き別れた姉の形見~なのだ。
色っぽい女(蜷川幸雄夫人の真山知子)に好意を寄せられても、
「あっしのようなものが堅気のお方を好きになってみても
どうなるものでもござんせん」
と、しっかり身をわきまえている根っからの渡世人なのだ。
強敵に挑む銀次に
「おめえさん死ぬつもりかい?」と尋ねる相手への返事がしびれた。
「そんな覚悟をしているわけではござんせん」
「生きていて当たりめえ 死んでまたあたりめえ あっしみてえな一人旅の流れ渡世人は、
そんなものだと思っているだけでござんす」
かっこよすぎる・・・・・
台詞ひとつひとつがぐっとくる。松橋登だから染み込む。
身体のさばきも美しくすべて絵になるんですよねえ。
いい役者さんって 台詞が無い場面でも
物語を語れることがわかった。
ずっとずっと見ていたくなる役者さんです。
「俺が死ねば姉さんに一生会えなくなるぞ!」という相手を
「渡世人は親兄弟に縁はもたねえ!」と
バッサリ やってしまうハードさと裏腹に
幼い女の子との哀切極まりない絡みも泣かせる~~~
形見の鈴を渡した女の子は後に「高橋お伝」として有名になったとか・・・
渡世人のその後は誰も知らない・・・
堪能~~
男気って言葉を思い出しました。
珠玉のドラマをありがとうございました。