中島京子さん原作の「小さいおうち」。
山田洋次が映画化を熱望したというので
ちょっと気になっていた作品。
地上波で放送されたので見ました。
戦前の東京、山の手に建てられた
小さな赤い屋根の洋館に暮らす一家の日常が、
東北の雪深い村出身の女中の目を通し、丁寧に描かれております。
物語は二層式になっており、
舞台が変わった現代では
アパートで
ひとり暮らしの元女中(倍賞千恵子)の回想形式:自叙伝として語られます。
庭で女中が着物の伸子張りをしている様子や
松たか子が運針しているところなど
演出も細かくて面白かった。
自分もお裁縫をするのでこんなところを見てしまう。
運針はイマイチだったけど、
吉永小百合とか他の女優さんと違い、正面からトライしておられます。
(今まで見た映画の中では乙羽信子(香華)と
田中絹代の運針が上手かった!女学校でお裁縫が必修だったころの女優さんはすごいですわ)
それと倍賞千恵子の、
とんかつをあげる手つきや料理の盛り付けの
仕草が印象的でした。
微細なところまでの役作りがさすがです。
セットが作り物っぽい乙女チックな雰囲気で
物語もどこか大人のメルヘン風。
現代の作品の中の
昔を再現したセットは
絵に描いたようなステレオタイプで、いつも違和感を感じるのですが
思いっきり作り物っぽいので、すんなり受け入れられました。
久石譲の抒情的なメロディが繰り返される
序盤は、
私たちが思うような戦争前の陰鬱な雰囲気とは違い
平和でのんびりした市井の生活が描かれます。
向田邦子のエッセイにも
戦前の庶民の生活は穏やかだったと表現されていたのを思い出しました。
回想形式という点、ちょい色っぽさということも含め、全体に
ちょっと向田ドラマにも似た風情、
そしてそこここに
小津安二郎的趣も感じられます。
(もしかしてオマージュもある?)
徐々に戦争の色が濃くなってきて
人々の表情に影が出てくる。
世の中の情勢が変わっていくにつれ
暮らし向きも変わっていきます。
その中に織り込まれたひそやかな秘密。
奥様の不倫 に気付いた女中が思い悩んだ末、
ある行動に出るというものですが、
これが!!
筆者 一言言わせてもらうと
奥様のお相手
吉岡秀隆には
色気がない・・・ちゅうことです。
どうも「秘め事」の匂いがしなくて・・ほんとに二人は?と疑問に思ったくらい。
これが伊勢谷友介だったら、井浦新だったら?緊迫しただろうに!(爆)
思ってみましたが、
どうも、
山田洋次監督に原因があるのではないか?
ラブストーリーはムリだったのではないか??という結論に達しました。
色気が・・・・・・・・!足りない・・・・・・・・
松たか子は綺麗だけれど、奥様言葉もどこか空々しく、
吉岡を本気で愛している気持ちが伝わってこない。
重要な役柄の黒木華も、
たたずまいは女中だけど、
奥様や吉岡秀隆に対する
複雑な思いが
イマイチこちらに伝わってこなかったのは
演出のせいなのか役者のせいなのかわかりません。
片岡孝太郎、台詞棒読みです。
米倉斉加年はお年を召されて声が変わっていて
びっくり。この後 亡くなられたと聞いた・・・
色々ありましたが
みんな死んでしまって、
人々の悲しみも悩みも
みんな夢の中・・・という無常観と
さらりとした軽い後味が残りました。
おばあちゃん思いの妻夫木くんの現代的な明るさが
そうさせてくれたのかもしれまっしぇん。
私のキャスティングでは月丘夢路が奥様、
口うるさい奥様の姉は杉村春子かな。
相手役に伊勢谷友介・・・女中は・誰がいいっかな~~~?
時系列がめちゃくちゃでスミマセン!