長年見たかった作品を
ついに
2015年見ることが出来、感涙。
たいへんな衝撃作でした。
田村高広扮する夫に対する
ものすごい愛情と執着は、
「妻は告白する」(61年)で、
ずぶ濡れで
川口浩の職場へ行って迫るシーンを彷彿とさせる、
いやそれ以上の迫力。
捨て身、忘我、滅私の権化と言えるでしょう。
美しく色っぽいおかねは
(言っときますが、ものすご~~~く綺麗です!)
貧しさゆえ
年寄りの(殿山泰司)妾をしていましたが、
殿山のダンナは風呂上りに倒れ、あっけなく昇天。
厄介払いの手切れ金をもらって、
実家がある貧村に戻るのですが
村人に
妾をしていたあばずれ女と蔑まれ、村八分に合うのでした。
閉鎖的な村社会がえぐいまでに描かれ
文子ちゃんの孤独が浮き彫りになります。
そこへ村一番の優等青年である清作(田村高広)が戦争から帰ってきます。
日清日露の時代、
兵隊に志願する若者はこの時代、村の誉れとしてもてはやされておりました。
二人は出会い、離れられない関係になって
周囲の反対を押し切り結婚するのでした。
生まれて初めて掴んだ幸せを
絶対に逃したくないおかねは、 狂おしいまでに激しく夫を愛します。
(激しすぎて、見てるほうも何か起きそうな不穏な予感が・・・・)
だけど、悪い予感が当たり・・・そんな幸せも長くは続きませんでした。
再び召集令状が!!!
愛する夫が死ぬかもしれない!!!そうしたらまたひとりぼっちになる!
おかねは
苦しんで苦しんで苦しみぬきます。
見てるほうも息が詰まるぅ~~~!
思いつめた人間というのは恐ろしい。
そして見送りの儀式の日、
清作の妻は
誰もが予想だにしない、行動に出るのです!!!
このくだりがサスペンスタッチでハラハラドキドキ・・・
若尾文子は美しいだけではなく
すごい表現力をもった女優さんだ!と今更ながら感嘆しました。
リンチシーンあり。思い切った演出。
増村保造、我らが文子様になんということをさせるのでしょうか!
増村監督らしく
不幸・・不幸 ↗ 天国 ↘ 不幸 ↗
メリハリはっきりしてます
ラストも予想だにしない展開で、
これまたお見事!
絶対に幸せを逃すまいとする若尾チャンの
アカデミー級の名演に目が覚めた新年でした!
夫役が名優の田村高広なのも大成功。
しつこさ、いやらしさというものが全くなく、
あっと驚く結末に説得力があり、余韻が残りました。
増村保造監督 1965年