邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「四谷怪談」後半

2009年09月02日 | ★恐怖!な映画
薬を飲んだ後、
「ああ・・顔が 顔が熱い!!」
蚊帳の中でもだえ苦しむお岩さん。

後ろ向きでなかなか顔が見えない。

ええい!その蚊帳どけてくださ~い

岩の背後にカメラが回り、
「ひ、ひえ~~~!そ その顔は~~!」と驚く宅悦を映し出す。

じらしますなあ~~~

鏡を求めてさ迷う岩。
ようやく手にした鏡に映ったその顔は!!

変わり果てた姿になっても
「旦那様が帰ってくる。綺麗にしなければ」と
髪をすき
新調した着物を箪笥から引っ張り出し
着替えるところがなんとも哀れ。

この「四谷怪談」では
お岩は伊右衛門の悪い仲間に斬りつけられ
負傷し 刃物の上に倒れこんで絶命する。
小平も同じくその仲間たちによって斬殺される。

伊右衛門、
「ぼくなんにもしてないもんね~~」という空々しさなのだが、
そもそも、

友達は悪いわ、
その話を鵜呑みにして岩を憎むわ
お梅といちゃいちゃしていたわ
お梅ちゃんを岩と間違えて重傷を負わせたわ
醜くなって苦しむお岩を突き飛ばして死にいたらしめたわで
いいとこ無いと思われるのに
最後は 「おのれ、岩の仇!」と言い、(アンタのせいだろ?と)
派手な殺陣で悪者成敗モードに変換するところは
かなりの責任転嫁男である。

立ち回りの合間に斜め45度の角度で出てくる
お岩さんの亡霊はグロテスクと言うより、
ひたすら「哀れ」を誘った。

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「四谷怪談」五合目まで

2009年09月01日 | ★恐怖!な映画
今日、横断歩道ですれ違った若い母親が
幼稚園児の息子に向かって
自業自得って知ってる!!?」と、怒鳴っていた。
あの子は何をしでかしてどんな報いを受けたのだろうか??
人事ながら気になった。

それはそうと
録画してあった
四谷怪談」長谷川一夫版を半分だけ見た。

岩が薬を飲む寸前まで見て、
「ここはひとつ体調を整えて見よう!」と、
独り言を言いながらやめた。

要するに怖気づいたのですが
芝居、映画、
どんな「四谷怪談」も見るのには体力がいるのは確か。
気分が落ちているときや
頭痛がする、疲労している、おなかがはる・・
などの不快症状があるとき、見ると悪化します。
夏バテしている今の時期にはきつい作品ですが
やっぱり面白いわ~~

お岩さん役は中田康子
上背のあるすらりとした肢体にはっきりとした顔立ちで
多くの時代劇で活躍された方だ。
古式にのっとり、お歯黒、眉も落としている。
なまじお美しいだけにその変貌を想像すると恐ろしい。

監督は三隅研次。

伊右衛門をとりまく悪い旗本仲間、
直助(高松英郎)、按摩の宅悦、
下働きの小平など主要人物が揃い、粛々とドラマは進む。
その後の修羅場を引き立てる丁寧な作りに
ワクワクしてくる。

岩の献身的な立ち居振る舞いに見え隠れする
ちょっと粘着体質、ちょっと嫉妬深い、ところなどが微妙に
前フリされているところが興味深い。
粘っこくからみつくような喋り方も
その後の展開を思うとソクゾクものだ。

お梅が伊右衛門に気があることを一瞬ちらと
顔を見ただけで感じ取るところなどは
さすが
あれだけのお化けになるだけのことはあると思った。
業が深いというか、
おとなしいようで
キレたら最も怖い、とことんいっちゃうタイプなのだ。

長谷川一夫の伊右衛門は根っからのワルではなく、
長い貧乏暮らしで根性は曲がったけどプライドだけは高い、
「スキ有り」の侍だ。

ああまさに、
ジェットコースターのてっぺんで一時停止したみたいな気分。
これからノンストップで真っ逆さま!
と思うと
「もう一度水を飲んでから」・・とか、「トイレに行ってから・・」
「お祓いをしてから」
などと躊躇してしまいそうだ。

「お岩様、お怒り、ごもっとも! 」の展開は次ぎの機会に。
ワクワクドキドキ気分!

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「女吸血鬼」その2

2008年11月25日 | ★恐怖!な映画
前回
「早く女吸血鬼の変身も見たいぞ!」と
書きましたが、
結論から言いますと
女吸血鬼は変身しませんでした

変身するどころか登場しませんでした。

と言いますか、そもそも女吸血鬼とは
女を吸血する男吸血鬼」だったのである!
紛らわしいがそういうことだった。

池内淳子や三原葉子がすごいメイクで人に襲い掛かるのかもと
ワクワクしていた自分がバカみたいだが
滅法楽しい映画だったのでそれは良しとしたい。

筋立てはけっこう飛躍していて
いきなり戦国時代の長崎へ飛ぶ。

天草四郎の娘(三原葉子二役)を愛した小姓は
吸血鬼となって生き延び
姫の面影を求めて
次々と女を襲い誘拐、監禁していたのだ!
年を取らない奥様もその餌食だったのだ。

奥様を責め苛む、妙なプレイ?や
半裸の蝋人形コレクションのディスプレイにも思わず身を乗り出してしまう。
次々に登場する
不気味な小人、ちっとも怖くない大入道(海坊主?)、
そして新東宝のお婆さんスター五月藤江 が演じるおどろおどろしい婆さん、
(待ってました!ファンです!)など、
おぞましい家来たちも相当ナイス!である。
中でも
和久井勉 の小人男は凶暴邪悪で、恐(こわ)可笑しく
第二の主役と言える風格!

天知茂の吸血鬼は
節操もなく次から次へ女を襲いまくる。
若くて激痩せしている上、
(太った吸血鬼なんてサマになりませんしね)
個性的な容貌に特殊メイクが映えること!
「岸田森」「西村晃」と共に
日本三大怪奇俳優に入ると思う。

当時の技術を駆使したキッチュなセット、
過剰なお色気の三原葉子と
清楚な池内淳子の変な取り合わせ母娘、
月光によって変身する吸血鬼(ソレは狼男では?)等、
つっこみどころ、見所満載の
昭和ホラーです。

あ~楽しかった!

1959年
監督
中川信夫
製作 大蔵貢
原作 橘外男
脚色 中沢信 仲津勝義
撮影 平野好美  
音楽 井内久
美術 黒沢治安


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「女吸血鬼」

2008年11月23日 | ★恐怖!な映画
中川信夫監督の
「女吸血鬼」を途中まで見る。

ゴージャスな洋館の広間では
お嬢様・池内淳子の誕生日パーティの真っ最中!

お嬢様を囲んで
セレブな若者たちが
肩を組んで唄っているのは
「トロイカ」!!
こ、これは
噂に聞いた歌声喫茶ノリというのだろうか。
あからさまに健全なムードがこそばゆい。

だが、おめでたい場面で
お嬢様がナイフを入れ損なって
ケーキの上に「血」がしたたり落ちるわ(もったいな~い)、
突然停電するわ
「開かずの部屋」で何やら物音がするわと、
徐々に不穏な展開になってくる。

召使が部屋に駆けつけると
そこには20年前に失踪した「奥様」が当時の姿のままで
(三原葉子)しどけなく横たわっていた!

ざわざわゾクゾクする出だし!

奥様のワカメのような長すぎる髪の毛が気になる!

この後唐突に登場する
男吸血鬼天知茂
この上なく醜く、不気味な変身姿と
小人の子分との絶妙なやり取りが
傑作!な予感を駆り立て
さらにぐいぐいと見入ってしまったのだった!!

早く「女」吸血鬼の変身も見たいぞ!

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「怪談:乳房の呪い」(第12話)

2008年10月06日 | ★恐怖!な映画
キーワード

松月院の榎
高田の南蔵院・天井画

皆さんは
植物の茎を切った折
白い樹液がしたたり落ちてきて思わず
美味しそう!と思ったことは無いでしょうか?
もしかしたら、これで赤ん坊が育つかも?
思ったことは無いでしょうか?

ま、普通は無いと思いますけど(爆)
植物って不思議。
地下に根をはりめぐらせ
何千年も生きている古木は
我々にはわからないパワーを持っていそう。
そんな
植物の神秘的な伝説を怪談に絡めた
三遊亭円朝の「乳房榎」が原作。

植物を題材にしたホラーとして
西洋では
人間の形をした根を持ち、
引き抜くと恐ろしい悲鳴を上げると言われるマンドラゴラの伝説、
マッドサイエンティストが人間を改造する「悪魔の植物人間」、
吸血植物が出てくる「リトルショップホラーズ」とけっこうありますね。
日本では「マタンゴ」もありました。
言葉は発しないが人知が及ばない生態が
我々を魅了するのでしょうね。

江戸の絵師菱川重信(中山昭二)は腕は良かったが
女の気持ちがわからない堅物だった。

寺の天井画の仕事で家を空けることが多くても
留守宅で弟子・磯貝波江(入川保則)と若妻(馬淵晴子)が
ねんごろになっているなどとは
露とも考えずひたすら雄雌の龍を描くことに没頭していた。

あと龍の腕を一本書き上げれば絵が完成するという時、
波江と、脅しに負けた下男(美川陽一郎)に騙され、殺害される。

師を殺めた間男はまんまと家に入り込むが
女の乳房に原因不明の腫れ物が出来、子供に与える乳が出なくなる・・
そして絵師の幽霊が現れ・・・

亡霊になり下男の夢枕に立つときも重信は堅物だった・・・

「汝・・・改心し真与太郎を助け育てよ。
さすれば汝の命助けてつかわす。ゆめゆめ忘るるでないぞ、忘るるで無いぞ!」と
今昔物語から抜け出してきたようなガチガチの台詞を吐いて
馬鹿正直で小心ものの下男(美川陽一郎)を脅かし
復讐を遂げる。

美川陽一郎といえば「七人の刑事」でしたっけ?
いかにも誠実そうで適役だ。
重信は新東宝「憲兵シリーズ」でもお馴染み中山昭二。
取り付く島が無い真面目な幽霊を好演しております・・・

不義密通男女のけっこう際どいシーンもあり、
エロチックホラーといった風味も加えられている。
題名はすごいが内容はシンプルな怪談話。

教訓汝、ゆめゆめ女を寂しがらせることなかれ   

使える台詞:「ゆめゆめ忘るるで無いぞ!」
「努々」「努努」とも書くらしいが
相手にグウの音も出させない強い語気で、重々しく言ってみたい!

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