邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「杉村春子・芝居三連発」

2007年04月16日 | ★TV番組
杉村三連発見た。

結論からいうと、三本の中では
牡丹灯篭」が一番面白かった。

欲望という名の電車」は有名な作品だけど
杉村(69歳)と北村和夫の年齢がちょっと行き過ぎているためか
物語に素直に入り込めなかった。
杉村は同じ文学座の太地喜和子にブランチ役を
ゆずりたかったらしいが
例の事故で惜しくも亡くなってしまった。
「色っぽさ」もこの話には重要なファクターだと思うので
残念なことだった。

それよりも、入り込めなかったのは翻訳劇自体に違和感を感じてしまう、
私の偏りのせいかもしれない。
どうも外国名でお互いを呼び合う不自然さに居心地の悪さを覚えてしまうって
言ったら元も子もないか!

続二号
は黒柳徹子さんの「お勧め」のコメディだということだったが、
脚本に最後まで乗り切れず、
いい着物を何回か着替えて出てきた地唄舞の師匠役、
杉村春子の一挙一動ばかり見てしまった。
個人的には白茶の色留袖に垂涎。

ざあます言葉の荒木道子は良かったが、
八木昌子、稲野和子(プロポーションが抜群なんですね)、
台詞回しにクセがありまくりの江守徹など
上手い俳優さんが揃っているのにどうも物足りなかった。
笑いは難しい。笑わせようとしてるなと思うと笑えない。
思わず笑ってしまいたい。

出ずっぱりだった杉村春子の細かい動作、
座るときにちょっと着物をつまむとか
襟元を直す、帯に手をいれる仕草など、身についた美しい所作に惚れ惚れした。
着物を着るときは着るだけじゃなく
たたずまいが大事なのだなと
つくづく思ったことだった。
え それは芝居の感想ではない?・・そうですね!

長くなったので、
面白かった「牡丹灯篭」についてはあらためて書くことにします。

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「鴛鴦歌合戦」

2007年04月12日 | ★痛快!な映画
マキノ正博が
7日間(!)で撮ったという、時代劇ミュージカル映画。

「脳みそよとろけよ!」とばかり、
楽しい歌の応酬で物語が進行する。
貧乏長屋で暮らす
お春(市川春代)は同じく貧乏な浪人(片岡千恵蔵)に
惚れているが、殿様(ディック・ミネ)もまたお春に惚れている。

ストーリーは他愛の無いものです

タキシードにブランデーグラス、
ポマードで固めた白髪交じりのヘアじゃなきゃ
ディック・ミネだとわからない筆者は
この人誰?状態で最後まで観てしまった。
歌唱法も晩年のディック・ミネとはちょっと異なってるような。

片岡千恵蔵も「多羅尾伴内」をやったり、
「地雷也」ものをやったりと、
実にチャレンジ精神旺盛な方だとは思っていたが
ミュージカルにも出ていたとは知らなかった。
押し出しの利く立派な顔で「歌」。

また、ミスター「七人の侍」「生きる」の、
アカデミー賞主演男優(とってませんが)
志村喬がお春の父親役で登場。
傘を貼りながら、力が抜けた呑気な歌を披露しているのにも
正直言って開いた口がふさがらなかった!

時折めまいがしそうになるような
めくるめく
画面構成になるかと思ったらカメラが宮川一夫じゃないの。

どこか「歌謡ショー」を思わせる振り付け、
和音階が入ったジャズ風の音曲(?)といい
ユニークといっちゃあ、ユニーク。
ナンセンスといえばこれほどナンセンスな映画もそう無いだろう。

けっこう酩酊します

狸御殿シリーズはこの系譜を継ぐものだが、
これらは真面目に見ちゃだめ。
そのノリについていけるかどうかはあなた次第、
あなたの心身の状態次第と申しましょうか?

1939年
監督   マキノ正博
脚本   江戸川浩二
撮影   宮川一夫
オペレッタ構成・作詞   島田磬也
音楽指揮・作・編曲   大久保徳二郎

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「魔子恐るべし」

2007年04月10日 | ★痛快!な映画
非情都市」のような
都会的でハードボイルドタッチの映画が得意なのかなあと
勝手に思っていた鈴木英夫監督の東宝デビュー1作目が
こんなぶっ飛び怪作だったなんて!

根岸明美の抜群のプロポーションをあますところなく活かした
魔子ファッションはというと、
和服を太もものあたりでちょん切った女忍者のようないでたちだ。
脚線美はもちろん惜しげもなくフューチャーされている。

八ヶ岳の山奥から、「画家の福田」
という男を探して東京に出てきた純朴な魔子を
海千山千の男たちがつけ狙う。
「福田さんのところに連れてってやろう」
「ホイ!」(ほんとにこんな返事)
「ここで風呂に入って待ってな」
「ホイ!」
と言う具合に
ころりと騙されてしまう。
う~ん
和製「フォレスト・ガンプ」みたい?
ちょっと違うか。

女言葉を操るチンピラ(森繁久弥)は
騙すつもりが命を助けられて魔子の味方に!
ひねった役どころを
お洒落に演じていてさすがは森繁。

山猿のような風体の茂助(藤原釜足)は
魔子を陰ながら守る「目付け役」だ。
他に加東大介、藤木悠など。

ストリップ劇場では
日劇ダンシングチーム出身の根岸が悩殺の踊りを披露!

根岸明美を
一度銀座で見かけたことがあった。
やはり一般人とは異なる華やかさでまぶしかった。

太っ腹な姉御とか色っぽくてワイルドな姐さんのイメージがあったが
こんな素っ頓狂な役もこなしていたのか。
芝居が上手いのでついつい見とれてしまう。

色っぽい山娘役は「獣人雪男」でも見ることが出来る。
この後続く?ような終り方だが
シリーズになった話は聞かない。

●他の鈴木英夫作品
「悪の階段」

1954年
監督 鈴木英夫
原作 宮本幹也
脚色 梅田晴夫 (梅田望夫のお父さん!)
撮影 鈴木斌
音楽 松井八郎
美術 北猛夫 村木与四郎

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「クレージー作戦 くたばれ!無責任」

2007年04月08日 | ★痛快!な映画
植木等が
「やりたいことを~やろうじゃないか~~
責任もって~~♪
くたばれ 無責任!」と高らかに歌っていた。

「無責任」が流行り言葉になり
こりゃいかんと作ったのだろうか?

鶴亀製菓の無気力社員田中太郎が
ハッスルコーラを飲んだ途端、
がぜんやる気を起こして働きまくり
会社を盛り立てるという、サラリーマン応援コメディ。

クレージー「作戦」第二作目。
なんとか作戦って映画のタイトル、けっこうありますね。

山茶花究や浜美枝、淡路恵子らに混ざって
メガネにちょび髭の
上原謙がコメディに挑戦しているのが見もの。
ヴィンセント・プライスを胡散臭くしたような風情と申しましょうか、
妙な味わいをかもし出しております。

「ハッスルホイ」「オート三輪進軍ラッパ」
「ホンダラ行進曲」「くたばれ!無責任」が挿入されているが、
ミュージカル色は薄く、「スーダラ節」など
ゴールデンラインナップの「ニッポン無責任時代」に比べて
物足りない感は否めない。

ハッスルコーラの猛烈宣伝ぶりからも
高度成長期に向かう当時の勢いは大いに感じましたが。

1963年坪島孝

製作 渡辺晋 安達英三郎
脚本 田波靖男
撮影 遠藤精一
音楽 広瀬健次郎
美術 小川一男

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