博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

トリチウムが残存する原発処理水の海洋放出に反対します(再掲載です)

2023年08月24日 | 時事

 本日遂に、福島第1原発事故後の処理水の放出が強行されましたので、2021年4月17日に本ブログで公開した記事を以下に再掲載させていただきます。 

元記事のURLです。⇒ https://blog.goo.ne.jp/ss18m/e/62ae3dc08cceab3e50ec141b8246eb50

 福島第1原発事故後に増え続けている処理水の処分に関し、政府が海洋放出の方針を決めたことに、私は衝撃を受けました。福島県の漁業者などから強い反対が起こっています。私ももちろん大反対です。一昨年の11月11日に、一般社団法人 日本放射線影響学会(JRAS)放射線災害対応委員会が発表した「トリチウムによる健康影響」という報告書(上の図です)を発表しています。ネットからダウンロードして読めます(下記URLご参照)ので、ぜひ皆様にもご閲覧いただきたいのですが、同報告書はトリチウムの危険性について次のように記述しています。

 「・・・トリチウム水による被ばくの影響は、低線量・低線量率の放射線被ばくの影響なので、トリチウムの被ばく影響を評価するための高感度な実験システムが必要である。しかし、これまでの放射線影響研究は比較的高線量の被ばく影響を解析するものが多く、現時点で低線量・低線量率被ばくの健康影響を明確に評価できる実験システムは少ない。また、科学的根拠となるこれまでのトリチウムの生物影響に関する研究は、そのほとんどがモデル動物を用いて行われてきたものであり、私たちはこれらの科学的根拠がそのままヒトに当てはめられないことにも留意しなければならない。今後、ヒトでのトリチウムを含めた低線量・低線量率放射線による健康影響を解明するための科学的根拠の解明が継続して行われることを期待する」(同報告書本文16頁)

 つまりトリチウムの人体への危険性については、未解明の部分もあるので、引き続き調査研究が必要であると述べています。この報告は一昨年の11月に出ていますので、まだ1年半しかたっていません。トリチウムの安全性について結論を出すのは早すぎると言えます。これが、わが国の放射線医学の専門家集団の見解です。ここから分かることは政府の決定は拙速にすぎるということです。

  もう一点は、東京電力の「多核種除去設備 (略称:ALPS)」が、汚染水からトリチウム以外のストロンチウム、セシウム、プルトニウムなどの放射性の核種を除去していることを海洋放出の口実にしています。しかし、いかなるシステムも100%の効率は期待しがたいのが実際です。保存タンク1基ごとの処理水の核種除去状況の検査が必要ではないかと思います。福島県の漁業者の皆様の懸念もここにあるのではないかと考えます。いずれにせよ、震災以来、十年がかりで復興を進めてきた漁業者にとって余りにもひどすぎる仕打ちです。処理水の海洋放出は撤回すべきです。

 さらに、私の個人的な見解ですが、トリチウムそのものが、未来の貴重なエネルギー源になる可能性があり、海に捨ててしまうなど、とんでもないことだと思うのです。この点については改めて書かせていただきたいと思います。

資料出所:一般社団法人 日本放射線影響学会(JRAS)放射線災害対応委員会『トリチウムによる健康影響』2019年 https://jrrs.org/assets/file/tritium_20191212.pdf


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