
昨日イスラエル国内のハダシュ・イスラエル共産党による反戦平和運動についてご紹介しました。イスラエル国内の政治動向を調べていて不思議なことは、ネタニヤフ政権がイスラエル国会の中で盤石という訳でもないのです。オスロ合意を無視して「全方位戦争(あるいは多方面戦争)」(現在の戦争状態のイスラエル国内での呼称です)を行っている与党(ネタニヤフ首相のリクードや宗教右派)はイスラエル国会(HaKnesset クネセトと呼ばれています)の全120議席のうち64議席で、昨日ご紹介したハダシュや労働党などの左派政党、世俗政党が56議席と結構拮抗しているのです(2022年現在 注)。野党といえども今回のような戦時には与党に協力することになっているそうですが(もちろんハダシュは協力を拒否しています)、それでもこれほどの全面戦争を遂行できることに驚きます。暗澹たる気持ちになります。
ところで昨日の本ブログ記事でご紹介したハダシュやマキ、あるいはリクードといったイスラエルの政党の略称やガザ・レバノン情勢のニュースで出てくる政治団体・組織の略称が特に説明もなくマスメディアで報道されていますが、略称だけでは日本国内の視聴者・読者には、どういう組織・団体なのかよく分からないのではないかと思います。例えば昨日ご紹介したハダシュの正式名称はHaHazit HaDemokratit LeShalom VeLeShivion(これはヘブライ語のラテン文字表記です 上の図はハダシュのマークです)で、和訳すると「平和平等民主戦線」となります。こういう説明があれば、何となく左派系の政治団体なのだな―と日本の視聴者・読者にも理解されるでしょう。またネタニヤフ首相率いるリクードの英語表記はNational Liberal Movementで「国民自由運動」となります。一方、イスラエルと敵対している政治団体・組織はどうでしょうか。ガザ地区を実効統治しイスラエルと凄惨な戦闘を繰り広げている「ハマス」の正式名称はḤarakat al-Muqāwama al-Islāmīya, で和訳すると「イスラーム抵抗運動」ということになります。同様にレバノン国内でイスラエルと戦闘を行っている「ヒズボラ」はḤizb Allāhとラテン文字表記されます。アラビア語でḤizb は党、 Allāhはイスラム教の唯一神のアッラーです。なので和訳すると「アッラー(神)の党」となります。こうした和訳名が日本国内の報道のどこかにあれば、国内の視聴者・読者にも、こうした政治団体・組織について理解がしやすくなると思います。
(注)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%8D%E3%82%BB%E3%83%88#:~:text=%E3%82%AF%E3%83%8D%E3%82%BB%E3%83%88%EF%BC%88%E3%83%98%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A4%E8%AA%9E%3A%20%D7%9B%D7%A0%D7%A1%D7%AA%E2%80%8E,%E3%81%AE%E7%AB%8B%E6%B3%95%E5%BA%9C%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82