
(昨日の続きです)さて、アレクセイ・ナワリヌイ氏が悲劇的な死を迎えたロシア連邦のヤマロ・ネネツ自治管区(上のロシアの地図の赤く塗られた箇所です)ですが、その地名を初めて耳にしたという方は、日本には多いのではないでしょうか。しかし、実は同管区は日本と深い関わりのある地域なのです。同管区はロシアの天然ガスの8割を産出する地域なのです(注1)。ロシアの対外輸出の半分を石油と天然ガスが占めていることは有名です。宇宙ステーション・ミールを1986年から2001年まで単独で運用する能力を持つロシアが対外輸出では石油と天然ガスという、発展途上国のような一次産品に依存する歪な構造をしているのです。そしてわが日本は国内需要の天然ガスの1割をロシアからの輸入に依存しているのだそうです。これは日本国内の電力供給の約3%に相当するそうです。ロシアのウクライナへの侵略でG7は対ロ経済制裁を強めていますが、そのような中でも、日本はこれだけの天然ガスをロシアから輸入しており、その多くはヤマロ・ネネツ自治管区で産出していることを考えますと同管区は日本のエネルギー需要の生命線と言えるのではないかと思います。実際にシンクタンク日本総研の栂野 裕貴研究員は、もし日露関係がさらに悪化し天然ガスの輸入が完全に途絶えた場合、製造業を中心に国内生産が年間2兆円失われ、国内民生用電力供給の逼迫が起こると警告しています(注2)。同管区は私たち日本人にとっても無関係の地域ではないのです。
(注1)https://kyokuchi.or.jp/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E5%8C%97%E6%A5%B5%E5%9F%9F%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%99%BA%E5%B1%95%E3%82%92%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B
(注2)https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=105192