博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

謎の氷火山の準惑星ケレスに人類の居住地を作る

2025年02月19日 | 宇宙開発・天文
 去る16日に本ブログでご紹介した謎の氷火山が存在する準惑星ケレスに、将来人類の居住地を作るという興味深いアイディアを展開している論文がありました(注)。フィンランド気象研究所のPekka Janhunen氏の提案によるものです。その提案によりますと、準惑星ケレスの軌道上にスペースコロニーを建設し、その内部を人類の居住地にするというものです。スペースコロニーはSFアニメなどで有名です。長さ30キロ、直径2キロ余りの中空の超大型シリンダーを地球のラグランジュポイントに建設し、その中を空気で満たしてシリンダーの内側に広大な生活圏を作ろうという壮大なプランです。シリンダーを自転させることで遠心力による疑似重力を発生させ地上と同様の生活環境を作るという構想です。プリンストン大学の故ジェラード・オニール教授が1969年に考案したものです。Pekka Janhunen氏は、このスペースコロニーを準惑星ケレスの軌道上に建設することを提案しています。 なぜ遠いケレスに?と誰でも疑問に思います。氏の構想の理由としては、コロニーの建設の材料や人類の生存に必要な水、酸素、窒素などの資源も容易にケレスから採取できることが挙げられています。ケレスが直径千キロに満たない小天体で低重力なため資源採取と運搬が楽だというのが利点のようです。逆にケレス本体は低重力のため人間の健康維持には不適当だそうです。人間の長期生存にとっては低重力環境は余りよろしくないので、月面や火星も恒久的居住地としては相応しくないという理由だそうです。それなら地球、月、火星の周囲にコロニーを作ってはと思うのですが、今度は物資の運搬が高コストになるということです。これは地球も火星も月もケレスより高重力なためです。また月は水がケレスほど豊富ではなく窒素もあまり無さそうという点が問題のようです。ケレスの問題点としては火星よりも遠方にあるため太陽から遠くなることですが、Pekka Janhunen氏は弱い太陽光を効率的に捉える二枚貝のような太陽光採集鏡でコロニーに必要な日射を送ることを提案しています(上の図です)。いろいろ考えられていて非常に興味深いアイディアだと思いました。
(注)Pekka Janhunen氏の論文はこちらです。上の図もこちらから引用させていただきました。 ⇒ https://arxiv.org/pdf/2011.07487

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