東京新聞の報道によりますと、先日このブログでも取り上げさせていただいた、自民党がダーウィンの進化論を誤用する形で憲法改正を主張したことについて、「日本人間行動進化学会(会長・長谷川真理子総合研究大学院大学長)は「生物進化がどのように進むのかの事実から『人間社会も同様の進み方をするべきである』とする議論は間違いだ」と反対する声明を出した。 問題となったのは自民党広報がインターネットに投稿した4こま漫画。進化論では「生き残ることができるのは最も強い者でも最も賢い者でもなく、変化できる者だ」として、憲法改正を主張した。声明は「ダーウィンの進化論は思想家や為政者に誤用されてきた苦い歴史がある」とし、権力者らによって差別や抑圧に悪用されてきたことを紹介。科学者は警鐘を鳴らしてきたが、現代でも特定の政治的主張に権威を持たせるための誤用が後を絶たないと懸念を表明した」とのことです。迅速に専門学会が誤りを指摘したことはとても良かったと思いました。
記事のソースはこちらです。⇒ https://www.tokyo-np.co.jp/article/38517
実は自民党がこんなことを言い出したのは、今回が初めてではなく、2001年9月27日に衆院本会議での所信表明演説で当時の小泉純一郎元首相がダーウィンの言葉として演説の中で引用していたそうです。私も初めて知りました。
こちらが、そのソースです。⇒ https://www.businessinsider.jp/post-215141
自民党という政党は、よっぽど「獲得形質の遺伝」という概念がお好きらしいです。なぜなのでしょうか。ちょっと私も不思議に思ったので、Googleで「ダーウィン」という言葉と「名言」という言葉で検索してみました。そうしたら出てくるわ出てくるわ、件の言葉をダーウィンの「名言」として紹介するサイトが複数出てきたのです。例えばこちらです(上の写真もご参照ください)。⇒ https://meigen-ijin.com/charlesdarwin/
小泉元総理も、こういうサイトを参照して安心して引用したのかもしれませんが、6月24日の本ブログの記事に書きましたように間違っているのです。このような間違いがどこから来たのかといいますと、上記の"businessinsider"の記事では「英ケンブリッジ大学図書館と米社会学会が共同し、ケンブリッジ大学歴史科学哲学部に所属するダーウィンの書簡研究チーム「ダーウィン・コレスポンデンス・プロジェクト」によると、自民党広報が投稿した言葉は、ダーウィンによる言葉ではないとして紹介している。科学史家の松永俊男氏も、その著書『チャールズ・ダーウィンの生涯 進化論を生んだジェントルマンの社会』の中で、ダーウィンの著作物にこれらの言葉はないと指摘している」と紹介されています。(続きます)