博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

投票日

2016年07月10日 | 時事

 参院選の投票日となりました。私は昨日期日前投票をしてきました。

 さてオンラインニュースのBuzzFeed Newsに次のような記事が掲載されていました。都内でカメラマンとして働く26歳のN氏は、これまで一度も投票に行ったことがないそうで、「投票しても、俺の生活は何も変わらない。俺は俺でやるから」と語ったそうです。私はその潔さと独立自尊の覚悟に、正直なところ尊敬の念を覚えました。

 とはいうものの、実際にはN氏でも日本社会の中で生活している以上は、行政が造った国道県道などの公道や上下水道などを使っているわけで一人で生きているわけではないですね。政府が間違った政策を進めれば安全な水すら飲めなくなるかもしれません。南米のボリビアでは公共水道が民営化され、国民が水に不自由するようになった状況を描いた「水戦争(2009年/スペイン・フランス・メキシコ)」というドキュメンタリー映画があります。

 だから若い人たちも投票に行った方がいいと思います。好むと好まざるとにかかわらず日々の生活は政治の影響を受けるわけですから。

 ところで、ずいぶん前の話ですが、環境政策学者の故寄本勝美元早稲田大学教授から面白いお話を聞いたことがあります。寄本先生はアメリカのピッツバーグ大学で博士論文の研究をされていました。ピッツバーグは20世紀に鉄鋼業を中心に全米でも指折りの工業都市に発展し、現在230万(都市圏を含む)の大都市です。そんな大都市ですが、18世紀の初頭にたった一人の欧州からの入植者によって創建されたのだそうです。

 その入植者は自分で丸太小屋を建て、水を確保し、畑を耕し、家畜を飼い、狼を追い払い、病気なれば薬草を探して自分で治しという具合に生活のすべてを自分でまかなって一生を終えたそうです。政府だの行政だのの出番はなかったというのです。そしてアメリカを建国した人たちは多くが、こういう人たちであったそうです。

 こういう人たちは、自分のことはすべて自分でするから政府の世話にはならないし、その代り税金は一銭も払いたくないということになります。政府ってなんですか?それって美味しいの?という言葉が聞こえてきそうです。オバマ大統領が在任中ずっと社会保障政策導入への抵抗で苦しめられてきた事情も、こういう国民性を考えれば良く理解できます。こういう人たちは社会保障政策なんて必要ないのです。「福祉?年を取って動けなくなったら家族に看取られて、あの世にいくだけだよ」という訳です。

 そうはいっても、だんだん集落の人口が増えてきたら、やはり住民間の利害調整の必要から行政の必要性が出てくる訳ですが、その場合も、こういう住民の気質を反映して極力小さな政府(アダム・スミスの言った夜警国家ですね)を指向することになります。

 N氏の言葉が、ある程度意味を持つのは、こういうアメリカ社会のような場合だと思いますが、その場合も「小さな政府」の選択が、やはり投票で必要になるでしょう。やっぱり投票には行った方が良いと思います。


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