博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

ケシの花を平和の花に

2009年09月26日 | 時事
 新政権はアフガニスタン戦後方支援のためのインド洋洋上給油を2010年初めに停止する方針を固めています。代わりに何らかの平和的なアフガン支援策を実施することを米国に約束しています。2001年の9.11連続テロ事件直後の米・NATO諸国によるいわゆる「不朽の自由作戦」以降、既に8年にわたって米・NATO諸国によるアフガニスタンへの軍事介入が続けられています。しかし8年経ってもタリバン勢力の軍事的抵抗は止まず、オバマ政権発足後も戦闘部隊の増派は続けられ現在では6万を超える米・NATO軍(ISAF)がアフガニスタンで戦闘を行っています。それでも足りずさらに増派すべきという勧告が米軍首脳から出ているそうです。確実に判ることは、いくら軍事力を行使してもアフガン情勢は解決しないということです。既にかつての旧ソ連のアフガニスタン侵略のパターンに西側諸国は落ち込んでしまっています。もっといえばベトナム戦争のパターンに。既に米軍とISAFの戦傷者・戦死者数の合計は3000人近くに達しています。
 こういう状況下のアフガニスタンに対して日本は何が出来るでしょうか?かなり難しい問題です。こういう状況を分かっていながら陸上自衛隊を派遣しようなどという主張は(もうさすがにこういう主張は無くなったと思いますが)正気の沙汰ではありません。平和的な農業支援なども昨年の日本人ボランティア青年が殺害された事件からも分かるようにかなり困難な状況です。
 一つ考えられることがあります。アフガン現地の有力な換金作物は現在はケシから作られるアヘンなどの麻薬であるという事実があります。国連薬物犯罪事務所(UNODC)の調査によれば、2005年のアフガニスタンにおけるアヘン生産量は世界の8割以上を占めたそうです。悪いことに生産物の大半は麻薬密売ネットワークに流れているそうです。現在のアフガニスタン政府や米国は現地農民にケシ栽培を止めさせて、他の作物への転換を進めていますがなかなかうまくいきません。そこで日本政府がこれらのケシを買い取ってしまうのではどうでしょう。国際市場価格に5%程度上乗せをして買い取ります。多くのアフガン農民は喜んでケシを日本政府に売るでしょう。買い取ったケシは全て医薬品にします。こうすれば現地の農民も現金収入が得られるし、非合法な販売ルートを潰せます。正当な商取引ですから誰も文句は(表立っては)言えません。国際市場価格と日本政府の買取価格の差額が現地への直接援助になるわけです。
 こういうことを実施した場合、どういう問題が起こるでしょう。
 例えば既存の非合法麻薬組織はもっと高額で買取を図るかもしれません。その場合はさらに高額で日本政府が買い取るということになり「いたちごっこ」のような事態になるかもしれません。しかし現地の農民はケシの正当で正義に適った使用が期待できる日本政府への売却を選択するのではないかとも思います(これは全くの希望的観測ですが)。そうなると非合法麻薬組織による日本政府機関や現地農民への悪質ないやがらせや妨害行為が発生することも予測できます。その場合、正義の御旗は日本と現地農民側にあるのでそれこそ共闘する意味が初めて出てきます。その場合は現地での警察活動が必要になりますが、それはアフガニスタン現政権の役割です。それと現地のタリバン勢力も非合法麻薬組織と一線を画しているという立場なので(2001年以前のタリバン政権時代は麻薬組織を取り締まっていた)、日本を支持せざるを得ないことになるのですが、そううまくいくかどうかです。

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