地球は過去に何度も小惑星や彗星などの地球外天体の衝突による環境の激変や生物の大量絶滅を経験してきたことが分かっています。最も有名なものは白亜紀末期約6600万年前に、今日のメキシコ・ユカタン半島付近に落下した「チクシュルーブ隕石」で、広島型原爆の10億倍の爆発エネルギーを放出し恐竜を絶滅させたと考えられています。この隕石の大きさは直径10キロから15キロと推定されています。
最近では、2013年2月15日にロシアのチェリャビンスク州に落下した隕石の衝撃波で負傷者 1491人、4474棟の建造物が損壊し総額10億ルーブル(約30億円)の被害を出した事件が記憶に新しいところです。この隕石は直径10メートルから25メートルと推定されており、広島型原爆30倍のエネルギーを放出したと考えられています。一般的に隕石は直径30メートルより小さければ大気圏への突入時に消滅するとされますが、地球へ飛び込んでくる角度や速度によっては地上まで到達することもあるようです。
専門家の推定によりますと、地球には一日に数十億個、総量25トンにおよぶ地球外天体が降り注いでおり、そのほとんどは大気中で燃え尽きますが、毎日2~3個の大きな固まりが「隕石」となって地上に落下しているのだそうです。しかし、それらの多くは海上や人の少ない砂漠や山岳地帯などに落下しているため発見されることは少ないそうです。
1998年のアメリカ映画『アルマゲドン』(マイケル・ベイ監督)では直径1000キロ(テキサス州位の大きさと表現されていました)の小惑星が地球を直撃するかもしれないという設定でした。最初この映画を見た時は、その設定で「えーっ」と唸ってしまいました。なぜなら海王星軌道より内側の太陽系内には直径1000キロの小惑星は存在しないからです。最大の小惑星ケレス(2006年から準惑星に分類されるようになりました)でさえ直径は965キロです(2番目に大きいパラスで直径600キロ弱位)。ケレスは火星と木星の中間の軌道を安定して公転しているので地球に向かってくる心配はありません。もちろん2017年に発見された恒星間天体「オウムアムア」(棒のような形で長さ400mか800m位)のように太陽系の外から飛び込んでくる天体もないとはいえませんが、直径1000キロもある巨大な天体であれば、かなり早い段階で発見され対策も立てやすいと思われます。実際に直径が数キロ規模の小惑星は、その多くが位置が特定され監視もされていますが、大気圏で燃え尽ききれない規模の数百mから数十m規模の天体は、どこにあるか分かっていないものが多く心配されています。