
本ブログでもたびたび取り上げさせていただいた、ドイツの哲学者ハンナ・アーレントの代表的著作『全体主義の起源(1~3)』(みすず書房 初版1972年 ISBN-13: 978-4622020189)を読み進めており、第1巻(反ユダヤ主義)を読了しました。実はこの3巻本を購入したのは1990年で実に30年前でした。第3巻のみところどころ読んだだけで、1巻と2巻は積読状態でした。どうも現下の世相に突き動かされるようにきちんと1巻から読み進め始めた次第です。すると第1巻がいきなり衝撃的でした。以下は本書の出版社による紹介文です。
・・・1930年代半ばのドイツにあって、ハナ・アーレントは未だかつてない歴史的転換の訪れを意識した。ナツィズムとボルシェヴィズムの〈集団化〉のなかで〈専制〉という以上の意味をもつものが生まれるのを見たのである。彼女は外的世界の経験と内的世界の思索との深い結合の十数年の成果として、この悲劇の証言としての歴史記述を著わした。これは現代の政治哲学の達成を示す記念碑的著作である。・・・第一巻は、19世紀のヨーロッパの政治的意味をもった世界観運動としての反ユダヤ主義の形成に始まる。ドレフュス事件は〈われらの時代に行なわれた犯罪のための舞台稽古〉であった。それは大衆操作の道具としての、すなわち政治的武器としてのマス・ヒステリーの現代的利用という特徴を端的に示し、全体主義の前史としての予感に満ちていたのである。20世紀の病理に対する記念碑的著作。