絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

筆を持たずに絵を描く2

2010-02-06 | 絵のこと
続きを書きます。

この話を聞いてみなさんは、思いだすことがありますか?

私は、野球の王選手の言葉を思い出しました。
王選手は、ピッチャーの投げた球が止まって見えたと言いました。
ボールの縫い目まで見えたと。

一瞬で、映像を把握して、それを明確に再現できるという10秒絵画の話と通じる話かなと思います。そんな馬鹿なと思いますが、そのくらい見るということで極めることができるのでしょうか。だから、ホームランがあんなにたくさん打てたのかな?と思いました。

また、速読の話も似ています。ぱっと一瞬見ただけで、そのページに書いてある内容を把握してしまうという本の読み方です。まるで、写真を撮るようにそのページにあることを頭に入れてしまうのだそうです。そんな馬鹿なと思いますよね。それができるというのです。
私は、今でも嘘だろうと思ってしまいますが、そういう人がいるそうです。

いま、やっているテレビドラマの「曲げられない女」でしたっけ?そういう能力を持った女性を菅野美穂がやっていますね。

ーーーー
いろいろ思いだすことがありますが、中島敦だったかな?名人伝とかいう話で、不射の射という話を思い出しました。弓の名人が見ることを極めて、段々弓の的がものすごい大きな的に見えて、百発百中という話です。しかも、最後は弓を持たずに撃ったふりをするだけで、飛ぶ鳥が落ちるという話じゃあなかったかなと。

これは、例え話なのだろうと思いましたが、筆を持たずに絵を描くという話や投げたボールが止まって見えるなどの話と通じる話かなと思いました。

いかがでしょうか?

ーーーー
私は、今、構図の研究をしていますが、これだけ研究したら、もう何も見なくても理想的な構図が作れそうな気がします。しかし、そう思いながらも、実際の物を見ると常に新たな発見があるのです。

だから、まだ修行が足りないのか、それともやはり現実の物の持つ実在感というものは、頭で想像する以上のものがあるのか、などと考えている今日この頃です。
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筆を持たずに絵を描く

2010-02-06 | 絵のこと
大学生の時、美術科の先輩が、こんなことを言っていました。

「目が見えない人でも絵を描くことはできる」と。
おかしなことを言うなあと思いながら、聞いていると、それは頭の中で絵を描くということでした。現実に筆を持って描くということではなかったのです。

しかし、それを聞くと思いだすことは、たくさんあります。

大学の先生がデッサンの勉強について話してくれました。
それは、電車に乗って眼の前に座っている人をじっと見つめて、その形を掴んだら直ぐに眼を閉じて、瞼の裏側に今見た映像を描いてみるということをやったそうです。

形を頭で把握して、それを実際に描くつもりで、瞼の裏側に再現してみるのだそうです。
それができると、クロッキーの力がつくという話でした。

それを聞いて、私もやってみました。結構難しいです。見ている時は、分かっていても、瞼を閉じると、把握できていないことに気づきます。もう一度見ないと描けません。
しかし、これができるようになると、訓練次第では、一度見ただけの物を記憶に基づいて、絵に描けるようになるかなあと思いました。特に、動いているものを描くときには、これが役立つのではないかと。

昔、写真がなかった時代に、走っている馬を描いた画家たちはどうやって描いたのかなあと思いますが、これをやればいいのかもしれません。

私の師匠の古川先生は、夕焼けの風景をじっと見つめていることがあったそうです。それは、見つめた風景を頭に入れて、自宅に帰ってから絵に描くのだと聞きました。
夕焼けは、時間と共にすぐに変わってしまいますから、絵に描いている時間がありません。

だから、それなら見つめることで、頭の中で絵を描くシミュレーションをするのです。

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奈良の全国大会に行った時、武蔵野美術大学の先生だったと思いますが、(日本画の先生でしたが名前は忘れました)このような話をしてくれました。10秒絵画の話です。

電車に乗っていて、見える風景をすばやく10秒で描くのだそうです。電車から見える風景は、1秒だって止まってくれません。だから、一瞬見えた風景を映像として頭にとらえて、それを10秒で再現するということなのです。

これも同じような話ですね。

要するに、筆を持つ前に、頭の中で絵を描いてしまうのです。

大学時代の先輩が、眼が見えなくても絵が描けると言ったことは、このような意味だったのでしょう。



 
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