睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

ヒト族の序列・海の静謐にすすむ蒼い馬と群青色・雨天の喫煙所は非常階段の踊り場

2019-07-07 19:42:26 | 散文うたかたの記


画像は南品川換気所。
目黒川と山手通りの下を通る首都高環状線の換気のために
造られた建物。体育館かと思ったら意外な施設だった。

昨日の土曜日はかかりつけ医に行く予定だったが、
予約の電話を掛けた時点で延期になった。
糖尿病専門医の幼馴染は出張のために不在、
よかったら漢方内科医が代診すると云われたけど、
ぼくのは風邪や腹痛じゃないからさ。

ヒト族の序列
あまりにきれいだとそっぽを向きたくなる、
実際に向いてしまう、
ちょうどよさげなほころびがないと、
遠い世界のヒト族にみえる。

では、ちょうどいいほころびとはなんだ?
と詰問されたら答えるけど
同じ穴のムジナの靴下の穴くらいかな
穴を指差して笑い合える虎の穴に育った。
そのヒトはもう霊族になっている。

卒業証書は宙に浮いたまま
ぼくのほうが先に貰うはずだったのに
十二階段までのぼったのに
ヒト族の序列はよくわからない。

雨の降る夜だった
黒く冷たく濡れたアスファルトに同化する
遠目に分かる青い影のもちぬし
車が猛スピードで踏みつぶしてゆく
影はすこし揺らいでもとに戻る
十年一日きみはそこにいる。

月夜のインクで手紙を書いた
Cタイプのペン先から濃淡のため息がもれた
また同じ幻影がうかぶ。

深い海の底の静謐に向かってすすむ蒼い馬
弁当屋のベンチでうたた寝をして
目覚めて白日夢の陽光に煌めく海の底の蒼い馬
あの日からずっと群青色を追いかけている。

午後から昼寝をした。
あまりに本格的に寝たもんだから、
目覚めて月曜日の午後だと勘違いした。
工事の日なのにどうしようとうろたえた小心者は
じっくり時計を眺めて安心した。

雨天時喫煙所に非常階段の踊り場がある。
屋根とオープン窓に囲まれた2畳くらいのスペースは
わが家のルーフバルコニーと繋がってはいるが、
鍵付き金属パンチングボードで厳重に仕切られている。

なので、ここまで階段を上がってくる人は清掃中の
管理員か施設メンテナンスに携わる人だけ。
南の風景を眺めながらゆうゆうと紫煙をくゆらす。

真下に見えるマンションの一室のベランダに満載の
荷物をあふれんばかりに詰め込んでいるお宅がある。
エアコンの室外機は荷物を置く棚になり、洗濯物を
干すスペースすらない。

まだ新しいマンションなのに、賃貸なら大家が、
分譲なら左右のお宅が気の毒だ。
集合住宅は周囲に目を配りよく気を付けねばと思った。

重いネットにイラつく夜は今日でおしまい。
明日9時~10時の間に工事に来るとSMSに入った。
早起きしてWelcome冷珈琲を作っておこう。




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2 コメント

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Unknown (Little harbor)
2019-07-07 21:16:30
月夜のインクで・・・
ロマンチックですね

出来る事なら、月夜のインクで恋文など書いてみたい
などと妄想にふけりました(笑)
さすが、お仕事で物書きをされていらっしゃる方なのでしょうね ?
素晴らしいと思いました



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因果な商売 (睡蓮)
2019-07-07 22:08:59
月夜(Tukiyo)のインクはPILOTの四季彩ですね。
嫋々たる余韻を文字に著し残すに重宝なインクです。

ぼくはロマンチックとはほど遠い無骨者なんですが、
脳みそのどこかにロマンが棲みついているみたいで、
ときにお恥ずかしいかぎりです(笑)

物書きはおのれをさらけ出してなんぼの因果な商売ですが、
それでも書きたいが勝るうちは続けますよ。
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