睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

アナログ婆さんの着物も濃むらさき~♬

2018-10-30 09:50:33 | ひびつれづれ



画像はベランダで育てているりんどうの小鉢。


「りんどう峠」の唄がアタマの中を流れたとき、

母の付き添いで行った茶会で見たアナログ婆さんの和服姿を
思いだした。アナログ婆さんの着物も濃むらさき~♬

遠目は無地に見える濃い紫色の三つ紋つき江戸小紋を着ていた。
その濃い紫色がなんともいえない渋い色で、黒と灰と紺を差して
調色したような、いかにもな和の伝統色は形容しがたい色。

20人足らずの茶会の席で婆さんの存在感はピカいちだった。
ウエーブがかったシルバーグレーの髪を上品にまとめ、
地味だが趣のある着物を身にまとい、茶会の上席に凛と座る。

目立たずほどよい金糸刺繍がある源氏香の白い半襟に見とれ、
くすんだ藤色の四分紐にガーネットをほどこした彫金加工の
帯留を見つめ、ためいきがでた...美しい。

あのときの婆さんは今より十数年若かったが、
白髪を振り乱して膝が痛いとわめく今のアナログ婆さんと
同一人物とはおもえないほど素敵だったのさ。

父の葬儀のときに書いた。
「会場に入ったときは足元もおぼつかず、頼りなげに見えた母が
髪を結い、喪服を着て帯を締めると見違えるようにシャンとした。
やはり母も戦前・戦中・戦後を生きた大正の人。」

お世話になっている(している)長老の方たちもこのたぐいで、
耄碌しているよに見えても、
いざとなったら「喝」と言えるこの年代の方たちは侮れない。

和服の趣味は祖父の代から受け継がれたもの。
母が亡くなる前に古い着物の多くは処分したが
まだ山の家のタンスに残っている。

そろそろ考えないと、
跡取りがいない家は負の遺産を残さない配慮をせねば、
でもめんどいから来年にしよ、
そうして今年をやりすごす、たぶん来年も。



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