座る者がいないベンチは静かに朽ちてゆく
大きな悔いとか痛みが胸にひっかかりどうしても眠れない夜
ひとさまからみたら些細なことが、わが胸をとらえて離さない
とめどなくあふれ
なにも文字にできないときがある
どこかのスヰッチがはいったようだ
じっとしている
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陽がさんさんとあたる病室で
末期の父の手をさすりながら
「兄さは満州へ行っただよ・・・」
唄う母がいた
声高に叫ばない反戦歌はもの哀しい
【もずが枯れ木で】
作詞:サトウ ハチロー 作曲:徳富 繁
もずが枯れ木で鳴いている
おいらは藁をたたいてる
綿びき車はおばあさん
コットン水車も回ってる
みんな去年と同じだよ
けれども足んねえものがある
兄さの薪割る音がねえ
バッサリ薪割る音がねえ
兄さは満州へ行っただよ
鉄砲が涙で光っただ
モズよ寒いと鳴くがいい
兄さはもっと寒いだろ
女学校の寄宿舎で読んだと云う母のおぼろな記憶から
昭和10年講談社『僕らの詩集』
「百舌よ泣くな」
はるかなる昭和のなかごろに
うたごえ喫茶で流れていた
【山のあなたを】
作詞::北原白秋 作曲:成田為三
山のあなたを見わたせば
あの山戀し里こひし
山のあなたの青空よ、
どうして入日が遠ござる
山のあなたのふるさとよ、
あの山戀し母こひし
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裏山で鳴くモズはキィィーー、ギィギイと甲高くせわしく鳴き
ほーほけきょの合唱で朝がはじまる
もうすぐ夜明け。
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