睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

私の本棚:「日本語のカタログ」と「完全自殺マニュアル」

2010-11-08 06:36:28 | 本棚・思想・禅と仏教

一寸の虫にも五分の魂

是々非々を 世界に問えぬ カンとセン
海保の気骨に 五里霧中




日本語のカタログ」 著作:谷川俊太郎

ちっともおもしろくないし、わけのわからない本。
「詩人が選んだ日本語の、自分だけのイメージカタログ」、
だからこれでいいかもしれないと思いつつ最後まで読んだ。

そして分かった。
この本このまま一冊が谷川俊太郎の「詩」なんだと気がついた。
そう気づいて読み返せばなんとも味がある言葉がキラ星のように、
まったくお騒がせな人だ。

「詩」にカテゴリーがあるとすれば、谷川俊太郎氏の詩は
口語自由詩という範疇に入るのだろう。
「氏のありのままの生活」を韻に含む散文もそのままに
「谷川俊太郎の詩」といえる。

三好達治は「詩を理解する心情の本質というものは、
そのぎりぎりの点では、さほど年齢の支配を受ける
ものではあるまい」と書いている。

はたしていかに。
まだ若く傾倒しやすい危うい心情に激しく浸透するさまを見てみたいと思う。

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完全自殺マニュアル」  著者:鶴見済
ISBN4-87233-126-5


この本の出版元は自主規制として「18歳未満読むべからず」
の帯をつけ、かつ立ち読みができないようエロ本並みビニール
パックの包装で販売されている。

昨今の世間事情から有害図書の選定を受け流通ルートを
遮断されることを嫌い、自主規制をすることで販売確保を
図りたいということか。

どうして、これが有害図書と思うかなあ。
微に入り細にわたり自殺方法が克明に記されているが、
「はじめに」と「おわりに」に書かれている作者の姿勢に
共感を覚える人も多いと思う。

ま、自殺希望者のお守りみたいな本だと思えばいい。

死にたいやつは、何としてでも死ぬ
死にたくとも、死ねないひとがいる
死を決行して、生かされたヒトもいる

この本に触発されて本当に死ぬような人はそれまでの人間、
迷うやつは一生迷ってろ、さすれば死ぬ時までは生きられる。

世捨て人のように自死を選んだ老夫婦の自殺に哀悼を覚えても
10代の自殺には「なぜ?」の言葉しかでてこない。

死にたいと軽く口にする若者はリアルな「死」を知っているのか、
親しい人を亡くし、柩にすがりついて泣いたことがあるのか?
その胸元を掴んで問いただしたい。

外国人は死んだ肉体を「物」と扱うと云うが、儒教の教えが根底に
ある日本人は、たとえ死んだ肉体でも我が身内なのだ。
鼻をつく死臭をものともせず我が子を探し回ったという日航墜落時の
ルポを読むと身につまされる。

費用は政府負担で10代自殺志願者専用のアメリカ旅行パッケージ
ツアーはどうだろう。行き先はテネシー州「死体農場」で二泊三日の
サバイバル、目隠しを取った目の前は「羊たちの沈黙」状態とか。

若者の自殺が及ぼす影響は大きい
親・友人・学校・社会・おおきくは国・ひいては人類。

死んで花見が咲くものか生きとし生きて、
若者のその胸に常に希望があらんことを。





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