睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

香り立つ蕎麦

2010-12-15 17:25:24 | ひびつれづれ

蕎麦が好き。
どこの土地に行ってもまずは蕎麦屋を探す。
とくに北国へ行ったときは、石臼曳きのなるべく本格的手打ち蕎麦の
看板を探してぞろりと巡る。

栃木の鹿沼周辺、長野の松本郊外、群馬県佐波郡に美味なる店を
見つけてある。栃木は益子の陶器市に年2.3回は欠かさず行くので
そのつど立ち寄って食べるお店ができた。

裾野から富士サファリパークに行く道の途中に、古い禅寺を改築した
「蕎山坊(キョウザンボウ)」という日本蕎麦屋がある。
夏の夕方の静岡帰り、芝生畑の片隅にひっそりと立つ看板を見ても
なにとは分からず、難解な名前にひかれ脇道を右折した。

ゆるい上り坂の雑木林を行くと、竹林に隠れる古びた蕎麦屋があった。
縦格子の引戸を開けると薄暗い土間がある。これは禅寺時代の本堂
通じる玄関だったのだろうか..。

土間の右手に暖簾がかかる帳場があり、その奥が厨房に続いている。
左側にある大きな木の下足入れに靴をしまい、正面の一段高いあがり
かまちをのぼると、民芸家具が置かれた板敷きの待合室に通される。

仲居さんの案内でよく磨かれた板敷きの廊下を行くと、以前は本堂と
思われる広々とした表座敷に通された。障子を開け放って涼しげな
畳敷きに、黒々と光る年代物の厚板の座卓に絣の座布団とうちわ。

ぐるり座敷を巡らす回り廊下の外は飄々とした竹林、
絹づれのような竹葉の風音の中に遠くひぐらしが鳴く。 

粗めのザルに盛られた蕎麦と一緒にきた酒はHEARTLAND-BEER
無骨な田舎蕎麦の色が緑のボトルにマッチする配色の妙に感心した。
香り立つ蕎麦の喉ごしのなめらかさが、少し甘めの汁によく馴染む。

最後に行ってからかなり立つので、ここに書いた環境がそのまま
あるとは限らないけど、HPがあるからのぞいてみるといい。
いつも、かのビールに誘われて行くから夏の時期ばかりだった。
今度は冬の時期に行ってみたい。

茅ケ崎には「吉野」があった。ここのザル蕎麦と蕎麦団子は絶品
だったが、何年か前に廃業した。成瀬の駅前の小さな店も...。
うまい手打ち蕎麦屋が姿を消してゆく。

相模原の東電裏の「八雲」も長年通っているが、何年か前に
改装してから足が遠のいた。
松田インター降りて、モスバーカーとボーリング場の間の道を
入ったところに釜飯屋がある。ここの焼き鳥と釜飯は美味。

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もう冬時間なんだ。
街頭スピーカーから流れる「♪カラスと一緒に・・・」が午後5時から
4時30分になった。曲が終わるまでワンコの遠吠えもつづく。
外を見ると昼間とはうって変わって厚い雲が空を覆っている。

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深夜に、
長い炎揺らめく和蝋燭がともる本堂に
座して釈迦の半眼を見つめているようだ
圧縮を解いてアンテナ感度をさげよう。

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手折たれた南天の実ぞこぼれ落つ

ときかぞふ隣人の声のなつかしき




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