睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

備忘録:YouTube「人を恋うる歌(歌詞1~16)」 「籠の鳥」 「ああ玉杯に花受けて」

2019-08-23 18:43:38 | 唄は世につれ風まかせ

ごく最近手に入れた歌集の古本2冊



564頁と522頁の本は分厚くて重い。
いまのところは書庫に入りきれない憂鬱よりも、
手に入れた喜びのほうが勝る。

明治・大正・昭和初期の漢詩調の歌詞は見るだけで
わくわくする。五言・七言絶句や漢詩の類は書道で
慣れているが、書体を重んじても中身まで味わう
ことは少ない。漢詩調歌詞は独特の風情がある。

詩吟と同じで歌詞に曲をつけるとリズムが生まれる。
これが心地よい。 いい歌詞が、いい曲に出逢い、
上手い歌い手の口に乗れば、
これはもう一度聞いただけでぼくの想い出になる。


たいくつ
いちにちがながい
おもてにいきたい


籠の鳥 ちあき なおみ



人を恋うる歌

作詞:与謝野鉄幹  作曲:不詳

1.妻をめとらば  才たけて
 みめ美わしく 情けある
 友を選ばば 書を読みて
 六分(りくぶ)の侠気 四分の熱

2.恋の命を たずぬれば
 名を惜しむかな 男(おのこ)ゆえ
 友の情けを たずぬれば
 義のあるところ 火をも踏む

3.汲めや美酒(うまざけ) うたひめに
 乙女の知らぬ 意気地あり
 簿記の筆とる 若者に
 まことの男 君を見る

4.ああ われダンテの 奇才なく
 バイロン ハイネの熱なきも
 石を抱(いだ)きて 野にうたう
 芭蕉のさびを よろこばず

5.人やわらわん 業平(なりひら)が
 小野の山ざと 雪をわけ
 夢かと泣きて 歯がみせし
 むかしを慕う むら心

6.見よ西北に バルカンの
 それにも似たる 国のさま
 あやうからずや 雲裂けて
 天火(てんか)一度(ひとたび) 降らんとき

7.妻子を忘れ 家を捨て
 義のため恥を 忍ぶとや
 遠くのがれて 腕を摩(ま)す
 ガリバルディや 今いかに

8.玉をかざれる 大官は
 みな北道の 訛音(なまり)あり
 慷慨(こうがい)よく飲む 三南(さんなん)の
 健児は散じて 影もなし

9.四度(よたび)玄海の 波を越え
 韓(から)の都に 来てみれば
 秋の日かなし 王城や
 昔に変る 雲の色

10.ああわれ如何(いか)に ふところの
  剣(つるぎ)は鳴りを ひそむとも
  咽(むせ)ぶ涙を 手に受けて
 かなしき歌の 無からめや

11.わが歌声の 高ければ
  酒に狂うと 人のいう
  われに過ぎたる のぞみをば
  君ならではた 誰か知る

12.あやまらずやは 真ごころを
  君が詩いたく あらわなる
  無念なるかな 燃ゆる血の
  価(あたい)少なき 末の世や

13.おのずからなる 天地(あめつち)を
  恋うる情けは 洩らすとも
  人をののしり 世をいかる
  はげしき歌を ひめよかし

14.口をひらけば 嫉(ねた)みあり
  筆を握れば 譏(そし)りあり
  友を諌(いさ)めて 泣かせても
  猶(なお)ゆくべきや 絞首台

15.おなじ憂いの 世に住めば
  千里のそらも 一つ家
  己(おの)が袂(たもと)と いうなかれ
  やがて二人の 涙ぞや

16.はるばる寄せし ますらおの
  うれしき文(ふみ)を 袖にして
  きょう北漢(ほくかん)の 山のうえ
  駒立て見る日の 出(い)づる方(かた)




嗚呼玉杯に花受けて

一高第12回記念祭寮歌
作詞:矢野勘治 作曲子:楠正一

嗚呼(ああ)玉杯に花うけて
緑酒(りょくしゅ)に月の影宿(やど)し
治安の夢に耽(ふけ)りたる
栄華(えいが)の巷(ちまた)低く見て
向ケ岡(むこうがおか)にそそり立つ
五寮の健児(けんじ)意気高し

芙蓉(ふよう)の雪の精をとり
芳野(よしの)の花の華(か)を奪い
清き心の益良雄(ますらお)が
剣(つるぎ)と筆とをとり持ちて
一たび起たば何事か
人世の偉業成らざらん

濁れる海に漂(ただよ)える
我国民(わがくにたみ)を救わんと
逆巻く浪をかきわけて
自治の大船勇ましく
尚武の風を帆にはらみ
船出せしより十二年

花咲き花はうつろいて
露おき露のひるがごと
星霜移り人は去り
舵とる舟師(かこ)は変るとも
我(わが)のる船は常(とこし)えに
理想の自治に進むなり

行途(ゆくて)を拒むものあらば
斬りて捨つるに何かある
破邪の剣を抜き持ちて
舳(へさき)に立ちて我呼べば
魑魅魍魎(ちみもうりょう)も影ひそめ
金波銀波の海静か



寮歌より動画に価値あり。
「嗚呼玉杯に花うけて」旧制一高第三部 「本郷から駒場へ」




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