睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

モウコハンの色

2009-11-03 11:34:10 | 本棚・思想・禅と仏教

写経会は日曜の朝8時から
初めて写経会行った時、定刻の10分前に着けばいいくらいの軽いノリで行ったら
とんでもないことでした。本堂横の二間続きの部屋に正座された先人たちは、
すでに墨も磨りおわり、写経用紙を整えられ、方丈さんの入場と同時に筆を持てる
準備をされていた。

踵を返して出直したい気持ちと戦いながら空いている席を見渡した。
方丈さんの机の前にひとつだけ空きがある、ここに座れということか...。
覚悟を決め、衆人環視のなか席に着いた。
あたふたと写経道具を整え、持参した小硯に非常用の墨液を流し込んだ。
「赤面」と「煩悩」の座布団に正座した2時間は足のしびれを忘れさせるほど
心をしびれさせてくれました。

筆を持つ前の、墨を磨る時間がどれほど大事なものか、書道をやる自分は
身にしみて知っているはずなのに、写経だからという甘えと奢りがあった。
1時間前に行けば良かった、先人に自分の座る場所や心得を聴いてから
臨むべきだった。ふだん野良仕事の天然に生きる爺ちゃん、婆ちゃんは
言葉に表わさない「作法」を教えてくれた。それも無意識の不立文字で。

ここに集まるのは60代から80代の達人の方ばかり、私は最年少の若輩者、
いつも、自分のモウコハンの色を確認しています。まだまだ、青いです。


人々ことごとく道器なり・・・伝光録 「道器」とは限りなく清浄な人生を求める
力の備わっている者をさし、人はだれでもそうした力をもっているのだから、
自覚し努力さえすれば、貴賎の別なくだれでもが仏になれるといっている。 
(曹洞宗太祖 瑩山禅師)





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