睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

人の幸不幸は予想がつかない賽(さい)の目のようなモノ

2018-10-27 09:30:13 | ひびつれづれ



画像は隅田川の堤防に上がる階段、環七外側、志茂地区。
この古びて草むした階段がいい。


年寄り夫婦が経営してる古い酒屋のシャッターが閉まっている。

週に一度しか通らない道だからたまたまのことと思っていたが、
ここ1ヶ月常に閉まっているのが気にかかる。

古い軽トラは店の横のひさしの下にある。
紺色が褪せた日本酒のノボリは道路際に立ち、
店の前には空のビールケースが3段に積んである、
いつもと同じ昭和のたたずまい。

ガラス戸を開けて店に入ると「いらっしゃい」と声を掛ける
愛想のいい婆さんはレジがある正面のカウンターに座り、
その奥の小部屋に炬燵に入ってTVを見ている爺さんがいた。

両親が元気なころに何回か酒を買ったことがある。
父がお世話になった老人会のゲートボール場が酒屋の近くにあり、
年2回の試合のときは寸志の一升瓶を下げて見に行った。

たまにショートコースのゴルフに誘うと、ゴルフよりパチンコ、
ゲートボールと同じで遊び仲間がいると、けんもほろろに父に
断られたが、それを聞いて安心もした。

農村のひなびた田舎で年寄りが孤立すると生活が成り立たない。
父が他界したあとの母の一人暮らしを支えてくれたのは、
隣組の隣人や面倒見のいい婦人会や老人会の皆さんだった。
陽が昇って雨戸が開かないと様子を見に行ってくれる有り難さ。

煩わしい田舎コミュニティを嫌いマンション生活を選択した
ぼくたちにとって、皮肉にも、彼らが心の支えになった。
人の幸不幸は予想がつかない賽(さい)の目のようなモノ、
人間万事塞翁が馬を実感する。

 
対岸は川口市


隅田川の途中にある水門

(RX100M4で撮影)





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