画像は隅田川の堤防に上がる階段、環七外側、志茂地区。
この古びて草むした階段がいい。
年寄り夫婦が経営してる古い酒屋のシャッターが閉まっている。
週に一度しか通らない道だからたまたまのことと思っていたが、
ここ1ヶ月常に閉まっているのが気にかかる。
古い軽トラは店の横のひさしの下にある。
紺色が褪せた日本酒のノボリは道路際に立ち、
店の前には空のビールケースが3段に積んである、
いつもと同じ昭和のたたずまい。
ガラス戸を開けて店に入ると「いらっしゃい」と声を掛ける
愛想のいい婆さんはレジがある正面のカウンターに座り、
その奥の小部屋に炬燵に入ってTVを見ている爺さんがいた。
両親が元気なころに何回か酒を買ったことがある。
父がお世話になった老人会のゲートボール場が酒屋の近くにあり、
年2回の試合のときは寸志の一升瓶を下げて見に行った。
たまにショートコースのゴルフに誘うと、ゴルフよりパチンコ、
ゲートボールと同じで遊び仲間がいると、けんもほろろに父に
断られたが、それを聞いて安心もした。
農村のひなびた田舎で年寄りが孤立すると生活が成り立たない。
父が他界したあとの母の一人暮らしを支えてくれたのは、
隣組の隣人や面倒見のいい婦人会や老人会の皆さんだった。
陽が昇って雨戸が開かないと様子を見に行ってくれる有り難さ。
煩わしい田舎コミュニティを嫌いマンション生活を選択した
ぼくたちにとって、皮肉にも、彼らが心の支えになった。
人の幸不幸は予想がつかない賽(さい)の目のようなモノ、
人間万事塞翁が馬を実感する。
対岸は川口市
隅田川の途中にある水門
(RX100M4で撮影)
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