水産生物部  [山形県立加茂水産高等学校]

水産生物部では様々な生物の
採集、観察、研究を行っています!

そんなめちゃめちゃたのしい活動の一部をご紹介!!

つづき  by顧問

2008年06月09日 08時13分21秒 | Weblog
 ウキゴリ類3種が捕獲される川は遊佐町「月光川」の支流。
 
 教えていただいた場所へ行き早速調査。
 
 カジカが多く棲息しており、水質が良い状態であることを思わせました。それもそのはず、この川は鳥海山の伏流水です。

 なかなかウキゴリ類が捕獲できない時間が経過し、ようやく一尾、二尾と採れ始めました。

 その都度「何ウキゴリ」か判定に走りました。

 最終的には、確かに3種捕獲できました。
 その比率は「スミウキゴリ」が圧倒的に多く、「シマウキゴリ」と「ウキゴリ」は僅かでした。

 「スミウキゴリ」が多く棲息していることは、比較的上流域で、「シマウキゴリ」が僅かながら捕獲されたことは、河口から調査地点までは堰堤等の障害物がないことが推測されました。
  
 また、「ウキゴリ」も僅かということで、本当の生息域でないこともわかりました。
 
 では、何処に多く棲息しているのか?
 当初の仮説が正しければ下流の流れが緩やかな深みであろうということで、下流に向かってみました。

 下流は確かに流れが緩やかでした。

 隠れ家となるアシなども多く茂っており、生息地としても、捕獲条件としても申し分ないところでした。

 部員が網を振るったところ、「?ウキゴリ?」

 判定に走った私。 「!!ウキゴリ!!」

 その後も捕獲されたウキゴリ類は全て「ウキゴリ」でした。

 仮説どおり「ウキゴリ」は、南庄内の急流河川には多く棲息できず、北庄内の平野を流れる緩やかな大河川の深みが本当の生息地であることが判りました。

 ただし、一度の調査で信憑性にまだ欠ける部分があり、あと数回予想調査を実施します。

 更に、「ウキゴリ」は湖沼からの捕獲も確認されています。流れのないところが好きな「ウキゴリ」の生息地としては理解できますが、これはふ化後、海に降る習性を持つと言われるウキゴリに、陸封型もいることも示唆されます。

 現在、「スミウキゴリ」と「シマウキゴリ」については、卵からふ化後、海水飼育を実施しています。

 スミウキゴリに関しては、一部仔魚を淡水で飼育していたところ全滅してしまいました。

 ウキゴリは来年卵を採取できた時、海水と淡水で飼育してどちらも成長した場合、陸封も存在することが伺われます。


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2 コメント

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ご講義ありがとうございます (MKT)
2008-06-09 23:55:39
こんばんは。
ネットで受講させていただいているMKTことマコトです(笑

ウキゴリは最上川本流にも居るようですから、
やはり、緩いながれを好むのかもしれませんね。

あと、大きめの水槽に3種を混合して飼育してみて、
各種の優位性なども長期観察しては?と思いました。

例の滝登り実験もウキゴリでどうなるか知りたいところです。

陸封説は、かなり慎重に考えては?と思いました。
他にタモロコ、オイカワ、ナマズ、ゲンゴロウブナなど南方系の魚が居た場合、
何かの放流に混ざったケースがありうるかもしれないからです。
つまり池の歴史も調べられれば、より確実性が増すものと思います。

淡水飼育の繁殖成功で陸封由来と考えるのは、
少し怖いところがありますが、
説を現実に結ぶ大きな架け橋となるものと思います。

最終的に色々考えて、
最後の最後は、川の個体との遺伝的な差異があるかが決め手ではないでしょうか。

・・・と、色々を書いてしまいましたが、
自分はウキゴリ、シマウキゴリを捕まえたことが無い門前の小僧ですので、この辺で。

なんとか門前から門の下あたりまで行けるように、
土曜あたり、晴れれば採集に行きたいと思います(笑
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ありがとうございます。 (顧問)
2008-06-10 09:08:06
 ウキゴリはようやく実験対象となりました。
 これまで同様似たもの同士の違いを探っていきます。
 
 個人的には進化(どのように分かれていったか)について知りたいところですが、その辺は空想に留めておきましょう。
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