ウボンからナコンパノムまでは269キロである。バスで4時間かかる。片道98バーツ。ウボンからナコンまでエアコンバスは1日2便、朝の6時半と午後の2時発である。予定表によれば1時間でアムナットチャオエンへ、さらに40分でロエンノクターに、そこから30分で元ラオスとの交易の町、ムクダハンに到着する。あと50分でタートパノム、そして目指すナコンパノムまではそこから1時間となる。
エアコンとはいえ午後の日差しをまともに受ければ温風ヒーターに当てられているように暑い。砂漠を走っているようだ。乗客はインテリ層、富裕層が多い様で本を読んでいる人、身なりを整えた人が目につく。ここで一瞬変な気にさせられた。バンコクというタイ最大のベクトルがあるにもかかわらず、地方から地方へ移動する人たち、つまり中心から正反対の方へ移動する人々、そのバス。かくなるグループ層の人々がなぜ乗り合わせ、どこへ行くのか、と。
相当眠りこけたのはもちろん緊張がなくなり安堵のせいでもあろうが風景のモノトナスの流れのせいでもあろう。荒れた疎林、赤い泥土の連続は空虚感を増す。沿道の湿地の水溜りに水牛がいて、その水牛の背に無表情にこどもが乗っている。おそらく何百年の繰り返しのイサーンの光景がまどろみの夢現に消えていく。巨大技術を駆使しつつも時間に管理され高僧ビルのはざまを無表情に生きている現在日本人の”無表情”とイサーンの人々の”無表情”との関連性はあるやなしや、など考えてみる。
3時半にはムクダハンに到着する。対岸はラオスの商都サバナケットである。しかしバスからは見えない。ここムクダハンは10年前にラオスとの交易が途絶えたけれども現在でも活気のある町のようにもみえる。メコン川だけが町のはずれに見えかくれする。ぜひ下りて見学してみたい町だが今はできない。
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