蕎麦は信濃を以て第一と為す
江戸時代のグルメの書物といわれる「詩本草(柏木如亭著。岩波文庫)」
の蕎麦の項に次のような文があります。
(以下「詩本草」から)
《蕎麦》
蕎麦は信濃を以て第一と為す。その香味、他州の及ぶ可きに非ざるなり。
嘗て書を墨坂大夫の後園に読む。厨下頻頻としてこれを供す。因て「蕎麦
の歌」を作る。云はく、
江都は人世の極楽国
口腹何を求めてか得べからざらん、
時新の魚菜奢靡を尚び
燕席争ひ供して勅を奉ずるが如し
昇平の士女愁を知らず
食前方丈公侯に擬す
信山の蕎麦物の敵する無し
相魚駿茄遜ること百簿
○蕎麦以信濃為第一 『本朝食鑑』巻一・蕎麦に「野の下州佐野日光足利
等の処、武総常の地、これを出して佳なる多しと雖も、尚ほ信州の産に及
ばず」(原漢文)。
○墨坂 底本に「黒坂」とあるが、草稿「墨坂」、草稿傍注「スサカ」と
あるのに拠って、底本の「黒坂」は誤刻と判断し、「墨坂」に改めた。現、
長野県須坂市。千曲川沿いの堀氏一万石の城下町。
○大夫須坂藩家老駒沢清泉を指す。この年71歳。如亭は文化3年(1806)44
歳の秋、清泉のもとに寄寓した。
○後園 屋敷の建物の後ろにある庭。裏庭。○厨下 草稿傍注「台所」。
○頻頻 草稿傍注「タビヽ」。○江都 江戸。○口腹 口と腹、すなわち
飲食をいう。○時新魚菜 季節のはしりの魚や野菜。○奢靡 身分不相応
な贅沢。○燕席 宴席に同じ。○奉勅 天子の命をうけたまわる。○昇平
天下太平の世。○食前方丈 座の前にご馳走を一丈(約三メートル)四方
も並べること。甚だしい贅沢の比喩。○公侯 諸大名。○信山 信州の山
地。○相魚 相模の魚。ここは江戸で珍重された鎌倉沖の鰹を指す。○駿
茄 駿河名産の茄子。○遜百簿 遥かに劣る。大きく負ける。
信州そばについて、須坂で書が読まれたということは、そばの美味しく
ないところで書をしたためることは普通ありませんので、須坂が当時から
そばが美味しかったと推測されます。私は、そば、おやきが美味しい地域
でありますので、「信州須坂そばの郷」、「信州須坂おやきの郷」構想を
持っています。さらに、粉物が美味しい地域ですので、平成22年度は須高
3市町村及び3観光協会が連携して「北信州粉もん祭り」が開催されます。
北信州粉もん祭り
江戸時代のグルメの書物といわれる「詩本草(柏木如亭著。岩波文庫)」
の蕎麦の項に次のような文があります。
(以下「詩本草」から)
《蕎麦》
蕎麦は信濃を以て第一と為す。その香味、他州の及ぶ可きに非ざるなり。
嘗て書を墨坂大夫の後園に読む。厨下頻頻としてこれを供す。因て「蕎麦
の歌」を作る。云はく、
江都は人世の極楽国
口腹何を求めてか得べからざらん、
時新の魚菜奢靡を尚び
燕席争ひ供して勅を奉ずるが如し
昇平の士女愁を知らず
食前方丈公侯に擬す
信山の蕎麦物の敵する無し
相魚駿茄遜ること百簿
○蕎麦以信濃為第一 『本朝食鑑』巻一・蕎麦に「野の下州佐野日光足利
等の処、武総常の地、これを出して佳なる多しと雖も、尚ほ信州の産に及
ばず」(原漢文)。
○墨坂 底本に「黒坂」とあるが、草稿「墨坂」、草稿傍注「スサカ」と
あるのに拠って、底本の「黒坂」は誤刻と判断し、「墨坂」に改めた。現、
長野県須坂市。千曲川沿いの堀氏一万石の城下町。
○大夫須坂藩家老駒沢清泉を指す。この年71歳。如亭は文化3年(1806)44
歳の秋、清泉のもとに寄寓した。
○後園 屋敷の建物の後ろにある庭。裏庭。○厨下 草稿傍注「台所」。
○頻頻 草稿傍注「タビヽ」。○江都 江戸。○口腹 口と腹、すなわち
飲食をいう。○時新魚菜 季節のはしりの魚や野菜。○奢靡 身分不相応
な贅沢。○燕席 宴席に同じ。○奉勅 天子の命をうけたまわる。○昇平
天下太平の世。○食前方丈 座の前にご馳走を一丈(約三メートル)四方
も並べること。甚だしい贅沢の比喩。○公侯 諸大名。○信山 信州の山
地。○相魚 相模の魚。ここは江戸で珍重された鎌倉沖の鰹を指す。○駿
茄 駿河名産の茄子。○遜百簿 遥かに劣る。大きく負ける。
信州そばについて、須坂で書が読まれたということは、そばの美味しく
ないところで書をしたためることは普通ありませんので、須坂が当時から
そばが美味しかったと推測されます。私は、そば、おやきが美味しい地域
でありますので、「信州須坂そばの郷」、「信州須坂おやきの郷」構想を
持っています。さらに、粉物が美味しい地域ですので、平成22年度は須高
3市町村及び3観光協会が連携して「北信州粉もん祭り」が開催されます。
北信州粉もん祭り