こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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遅ればせながら、明けましておめでとうございます。

2014-01-19 23:52:35 | 訪問看護、緩和ケア
なかなか編集画面を開けずに、1月も半ばになってしまいました。
この間も、伝えたいこと、勉強したこと、腹が立ったこと、感動したこと、たくさんたくさんありました。
いくつも出会いと、悲しいお別れと、いろんなゴタゴタも山ほどありました。

でも、私のキャパはめいっぱいで、そこから先になかなか進めないでいます。

12月にはPIPCの勉強会もしたので、在宅緩和ケアではこんなこともできるよ!とお伝えしたかったのに、あっというまに時は過ぎ去り・・

 
                    

そうそう、これはDIBという会社の薬液持続注入ポンプです。

モルヒネなどの持続注入に使います。(皮下でも側管でも)
癌性の消化管閉塞などのひどい吐き気にサンドスタチンなんかも使えます。

モルヒネなどは、途中についている小さな袋(リザーバー)をピコっと押すだけで、安全にレスキューできるので、面倒な輸液ポンプでなくても、在宅でのモルヒネ管理ができます。

これを袋に入れて、首から下げていれば、移動も制限されないし、いろいろな使い道があります。

全身麻酔で開腹手術をした方などは、背中から管を入れて、術後に風船を首から下げていた経験を持っているのではないでしょうか。
あれは、硬膜外に管を留置して、こういうバルンをつけて、術後の痛みの緩和を図っているのです。
私も子宮筋腫で全摘したとき、これを数日首からぶら下げていました。

まあ、そんな感じでちょこちょこと勉強会もやっていて、先日は恒例の皮膚科の増田先生からのお誘いで、PAD(末梢動脈疾患)の勉強会にも行ってきました。

これは、かなり目からウロコで、しかも昨日の常識は今日の非常識的な話で、出席していた先生方も「ええー??」って感じでしたので、次回はぜひこのお話をしたいと思います。

ということで、夜中になったので、続きはまた今度です。

今年もよろしくお願い致します。


いろいろ書きたい。でも今日は酸素!

2013-12-09 00:14:17 | 訪問看護、緩和ケア
書きたいことはいっぱいあるんです。
しかし・・。
PCのここにたどり着く前に、気がつけばコタツで爆睡しちゃうんです。

で、今日はさっきまで眠り込んでいて、風呂に入ったら若干目が覚めたので、久しぶりに更新です。
明日は、おばあちゃんが退院なので、お休みを取ったから、少し朝が遅いのでチャンスです。

呼吸器の病気で、呼吸が大変になってくると、在宅でも酸素を使うことができます。

一般的には、酸素濃縮器で空気から酸素を濃縮して、必要な流量の酸素を作り出してくれます。
これは保険が適応になり、酸素屋さんが医師の指示で、機械ごと貸出してくれるので、昔みたいに酸素ボンベを買ってもすぐにカラになっちゃうなんてことはありません。

で、以前にもあったのですが、それがあるのに苦しくなると、市販の登山用の携帯用の酸素ボンベを吸うという方がいます。

(以前には、苦しくなったら携帯酸素ボンベがあるから、酸素濃縮器はいらないと断言された方がいました。)

通常はカニュラで3.5L~4L使用していて、入浴時は5Lにしますが、それでも入浴後はSPO2が60%を切ってしまうほど酸欠になります。
リカバリーがいいので、5分ほどで90代まで上がりますが、それでも介助する方はヒヤヒヤです。

その方は、普段ご家族と一緒の時には、労作時に呼吸が苦しくなると、カニュラをしていても、登山用の携帯酸素を使うそうです。

「楽になる。」のだそうですが、これってどれくらい効果があるのでしょうか・・。

最近は、高圧酸素カプセルとか、酸素を吸える喫茶店とか、スポーツ選手に使ったりもしていますよね。
スポーツ選手は、ちゃんとエビデンスがあるのでしょうが、なかには???と思うものもありますよね。

以前行ったマッサージ屋さんは、マッサージチェアの横にチューブが固定されていて、そこから酸素が吹流しで出ていました。

「これって、何リットルくらいですか?」とスタッフに聞いたら「え?よくわかりません。酸素です。」って言われました。
顔から30センチは離れたところに固定してある酸素の吹き出し口。
とても、効果があるとは思えない感じでしたが、どうなんでしょうか。

調べてみると、あまり詳しい情報はありませんでしたが、
特別レポート:「オシャレな酸素吸入」は、酸素信仰の復活か?
-市販携帯用酸素ボンベの現状
というページを見つけました。

でも、実際のところはどうなんでしょうか。

登山家なんかは、これで山を登るわけで、イモトアヤコがよく吸っているいるシーンがありますよね。
いいやつは、ちゃんと流量計がついているみたいですが、そのへんで売っている酸素缶って、低酸素にどのくらい効果があるのでしょうか?

100%に近い酸素が入っているらしいけれど、数秒プッシュして吸うわけですが、やはりそんなに効果があるとは思えないのですが・・

逆に、CO2の蓄積している人に、これを一気に吸わせたらどうなるのでしょうか??

在宅なので、患者さんがそれで効果があると感じているならば、それでもいいのでしょうが、実際のところはどうなのか、誰か教えていただけるとありがたいです。

(Yamamotoせんせ〜、気づいてください!)




選択

2013-11-08 20:00:55 | 訪問看護、緩和ケア
あっというまに、11月も半ばに・・・。

毎日時間に追われて、余裕のない暮らしは同様ですが、その中にあっても、たくさんの人と出会い、たくさんの人と別れて行かなくてはなりません。

そう、みなそれぞれの物語を自分で紡ぎ出すように、静かに完結させていくのです。

終末期のケアの話には、必ず「選択」という言葉が出てきます。

選択とは、自分で選ぶことですよね。
自分の最後を、自分で選ぶ。

それがどんなことなのか・・。
まだ自分自身のこととしては、とてもイメージできそうにありません。

それでも、私はその選択のお手伝いをしなくてはならないし、その選択をも守らねばなりません。


自宅では、医療機器も多くはありませんし、在宅で出来うる医療処置も、決して強制するものではありません。

病院であれば、点滴と酸素くらいは、最低でも行われるのでしょうが、それも選択できるのが在宅です。


全身の浮腫と、急激な病状の悪化のなか、薬で朦朧とする意識の中、下顎呼吸が始まったMさん。
ヘルパーさんの報告で駆けつけると、苦しそうな呼吸状態の中、彼は思いのほか穏やかな表情で目を閉じていました。

もう、残された時間が少ないことはひと目でわかりましたし、血中の酸素飽和度を測るパルスオキシメーターの値は、80%を切っていました。

そんな彼が、ふと目を開けました。
「Mさん、呼吸苦しくないですか?酸素入れることできますよ。酸素してもらいましょうか?」耳元で、そう声をかけると、彼はしっかりと首を横に振ったのです。

「酸素は、嫌ですか?」

彼は首を縦に振りました。

そのまま見開いた目を、「もう、目を閉じていいですよ。眠りましょう。」というと、彼はゆっくりと目を閉じて、深い眠りに入っていきました。

顎を上げて、喘ぐように呼吸をしている彼は、すごく苦しいのではないかと思ったのですが、はっきりと彼はそれを拒みました。
でも、その表情は、眉間にシワもなく、穏やかでした。

そうして、彼は点滴も酸素も希望することなく、家族の見守りの中静かに旅立っていきました。


小さなことの一つ一つが、叶えられればいいと思います。
全部が全部叶えられなくても、家だからこその選択が出来たらと思います。

家にいること。
家族と、一分一秒でもそばにいたいと願う人がいます。
多少のリスクは覚悟の上でも、1分でも早く家に帰して欲しいと懇願される方がいます。

そうであれば、その手配を病院とのあいだに立ってすることが私の仕事です。


半年前に、息子を亡くした母がいました。
母ひとり、子一人の親子でした。
母は、自分も末期のガンに犯されていました。
その母は、自宅で死ぬことを強く望み、自分のこれからのこと、自分が逝ったあとのことも、すべて考え、手配をしていました。

やがて、病気は進み、あと数日かもしれないというある日、担当の看護師がこう切り出しました。
「Aさん、こんなことを聞いてごめんなさい。でも、お別れのあと、Aさんの思わない形で勝手に事が進んだら、きっとすごく嫌だと思うから。教えてくださいね。」と。
お別れのあとのお手当を、彼女は看護師に委ねました。
「Aさん、何を着て行かれますか?」
「そのタンスを開いて頂戴。そこにあるワンピース。それを着せて欲しいの。」
「素敵ですね。」
「それね、息子の幼稚園の入園式の時に着たの。そのあと、中学も高校の入学式も、それを着ていったのよ。」笑顔でそう話してくれたそうです。

大切な時にだけ着た、思い出のいっぱい詰まったワンピースだったのでしょう。

「それなら、息子さんもすぐに見つけてくれますね。」

彼女は終始笑顔で、あれこれと思い出話をしてくれたそうです。


自分の死装束を選ぶ患者さんは少なくありません。

今までにも、そうしてご自分の選ばれた服や着物を着て、旅立たれたかたはたくさんいます。

「生きている時に、自分の死装束を選ばせるなんて、なんてこと。」
と思われるかもしれません。
けれど、その方の生き方を見せていただいているうちに、今この時なら、きっと普通に話ができるだろうと、私たちにはわかります。

いろんな背景があって、それぞれの生き方があるし、それぞれに自分の死の受け止め方があると思います。
その方のそばにいいることで、そのタイミングを逃さねいようにできれば、もっともっと本音で話ができるのかもしれません。

久しぶりにブログを確認

2013-10-26 01:18:02 | 訪問看護、緩和ケア
最後に更新してから4週間近くたっていることにびっくり。

いろんなことが同時進行していて、自分自身がいっぱいいっぱいで、ブログをお休み宣言していたことをいい事に、自分のブログを確認することさえしないでいました。

だから、久しぶりに開いて、まだ私のブログを訪れてくれる人がいることに、本当にびっくりしたし、すごく嬉しかった。

10月に入って、訪問リハビリも遅ればせながら開始して、その広報活動やら挨拶回りやらをやりつつ、日々の訪問もバタバタと激しく出入りして、毎日が飛ぶように過ぎていき・・。

反面、自分自身のプライベートでは、未だ混沌として落ち着かない中で、気持ちはどんどん沈んで行きました。
眠れない夜も増えて、だるくて何もかも嫌になることもあって、「もしかしてこれってやばいかな?」なんて自分の精神状態が不安になったりもしています。

でも、基本私はポジティブ人間のはずなので、きっとそのうち抜け出すとは思います。

そう、私はいま自分の人生の物語の中で「苦しみと波乱の章」にいるだけ。

きっと次の章に移れば、そこからはいだして、苦悩を踏み台にもっと前向きな人生を歩んでいるはずなのだから。

人の一生は「ナラティブ(物語)」

最近、医療や看護、心理学や社会学のなかで、ナラティブアプローチという心理的アプローチが注目されいます。

でも、私自身ずっと前から、自分の仕事は「患者さんひとりひとり、その人の人生の中では主人公」なのだと思っていたし、だからこそ病にあって、その物語の終焉に向けて、少しでも素敵な物語を完結できるような支援がしたいと思ってきました。

今は、自分の人生の谷間にいて、人の人生の終末をなんとかしようなんて、おこがましいのかもしれないけれど、やっぱり私の居場所はここなんだろうなぁと思ったりして。
でも、一方では隙あらば逃げ出したい思いもあったりして(^_^;)。

まだまだだなぁ・・。



先日、長いお付き合いの患者さんが亡くなりました。
患者さんというか、私の中ではとても大切な人でした。

私がこの職場に入植した時には、すでにうちの患者さんだった方です。
正確には、患者さんのお義母さんだったのですが、寄る年波で数年前からお義母さんにも訪問看護が開始されたというわけなのです。

もともと、私が訪問していた患者さんの介護者だったお義母さんは、体が不自由になった義理の息子のために、就労中の娘に変わって、数十年にわたって本当の息子のように介護をしてきた人です。

そして、彼女は私たち訪問看護師にとっても、大切な存在に変わっていきました。

元気な頃から、よく冗談を言ったり、時には心配してくれたり、叱ってくれたりしましたし、口癖は「もう、あなたたちは親戚のようなもの。」でした。

彼女の体調が悪くなってからは、訪問看護も始まりましたが、なかなかの頑固者で、人の世話になることをだれよりも美とせず、時々担当の看護師を困らせたりもしました。

それでも、彼女がそこにいることは当たり前で、母を亡くしてからの私にとっては、どこかで第2の母のような存在になっていたのです。
ただ、そこにいることが分かっているだけで、安心出来る人・・。

かれこれ15年の歳月のなかで、看護師としても大先輩であり、無償の愛を義理の息子に捧げた彼女は、女性としても尊敬に値する人でした。

それが、あっという間に逝ってしまったのです。

呼吸器の病気のを患っていましたが、いつも凛としている人でした。

たくさんの患者さんを見送ってきました。
みんな忘れえぬ人です。
けれど、その中で私自身の成長を見守ってくれてきた彼女は、やはり特別な存在でした。

彼女の訃報を聞いた私は言葉を失い、その日呆然とするしかありませんでした。

夕方、会いにいくと娘さんたちが待っていてくれました。

彼女は、美しくきりりとした眉と、透き通るような綺麗な肌をして、静かに眠っていました。

大切な人が、またひとり逝ってしまったのです。


私は、落ち着く場所のない不安定な心を抱えたままで、日々の仕事に追われ、それでも誰かの為に働き続けることで自分を保ち続けています。


今の通信大学をあと1年で卒業できて、認定心理士の資格をもらえたら、漠然とですがグリーフカウンセラーに挑戦するのもいいかな・・。
漠然とですが、そんなことを思うようになりました。

悲嘆も喪失も経験した私だから、もしかしたらそこに向かうことで、私自身も救われるかもしれないと思ったりもします。

どうなるかはわかりませんが、そんな目標があってもいいんじゃないかと、ちょっとだけ思いました。


久しぶりだというのに、なんでこんな陰気な文章書いているんだろうかと、嫌になりますが、それも今の私の本当の姿です。
時々、こんなことを書くことで、また頑張れるのです。

というわけで、また時間が出来たら書き込みますね。
それでは。









「あきらめさせないパーキンソン病治療」を聞いてきた!

2013-09-30 22:35:28 | 訪問看護、緩和ケア
先週、パーキンソン病の講演会に、スタッフ8人で行ってきました。

一般講演はとにかく、特別講演は本当に感動ものでした。

東海大学医学部 内科学系神経内科准教授
 高橋 裕秀先生「あきらめさせないパーキンソン病治療:その実践」

ちなみに、主催は大塚製薬で、パーキンソン病の新薬で24時間血中濃度を安定的に保つことで、パーキンソン病のスイッチのon/offの改善が画期的に改善されるという「ニュープロパッチ」の紹介から始まりました。

そうですよね。
パーキンソン病の患者さんは、スイッチのOFFが恐怖なのです。

本当にこれが効果的なら、うちの患者さんたちだって、すごく良くなるかも・・・。
今後の成果に期待しつつ、高橋先生の講演です。


高橋先生のお話では、現在特定疾患となっているパーキンソン病は、近い将来特定疾患から外される可能性が高いということでした。
パーキンソン病の患者数の増加で、国が負担する医療費をかなり圧迫していることに起因するらしく、もっと希少疾患を手厚くするためにも、検討されているらしいのです。

先生は言います。
「パーキンソン病は、どんどん進行して、10年後には歩けなくなる。と思っていませんか?
そんな説明をする医者がまだいるのが現状です。
でも、諦めてはいけない。病状に見合った治療をすれば、10年経っても社会参加をすることはできます。」と。

先生は、パーキンソン病の初診時の動画をずっと撮っています。
そして、治療の経過も撮影しています。

初診時、前傾姿勢で腕を振ることなく、小さく片腕を震わせながら、すり足歩行をする患者さんも、車椅子で連れてこられ、両脇を抱えられてやっと立ち上がる患者さんも、1ヶ月後の診察時の動画では、みなスタスタと歩いているのです。
そんな動画をなん例も示しながら、適量のLードパを中心に管理することで、社会復帰ができるのだと力説されていました。(それでも効果がなければ、DBSという脳刺激手術があります)
社会復帰まで行かなくても、日常の生活が普通に営めれば、必要以上に医療費や介護保険を使う必要もなくなり、国の負担をも減らすことができ、たとえ特定疾患から外されてもなんの問題もなくなるというわけです。

私たちには処方に関することはよくわかりませんが、Lードパがパーキンソンの薬だということは知っています。
けれど、日本で一般的に使用される容量よりも、かなり多い量のL-ドパを、1日数回に分け生活状況に合わせて量を変えて処方するそうです。
L-ドパは副作用の多い薬という認識は、全くナンセンスで一番安全な薬であり、ジスキネジアさえ注意して投与すれば、とても効果的であるとしています。

実際の動画を見て、感嘆の声が上がったのは言うまでもありません。

先生は、検査内容も病状から判断して、一般的によく行われているMRIなどの検査も、全く必要のない検査は最初からやらないと言っていました。

何を疑って、何を検査し、何を使うか。
シンプルで的確、これぞ名医って感じでした。

けれど、看護師の私たちが一番感動したのは、患者さんに対する先生の姿勢でした。

診察室に入ってくるときの足音、姿勢、ごくわずかな指の震に気づくのです。
そして、今までの先生がちゃんと聞いてくれなかった、患者さんの訴えにきちんと耳を貸し、そこから真実を見抜く力。
はっきり物を言うし、他の先生に対しても、「そこが違う!」と言っちゃう先生。
でも、患者さんに対して、「俺が治す!」という信念が感じられる素敵な先生でした。

現在横浜近辺では、パーキンソン治療の専門家を求めて、東京の大学病院などに通っている方が多いそうです。

でも、この地域の人の病気は、この地域の病院で治すべき、と先生は言います。

そのために、地域に分けて講演活動をされているそうですが、残念なことにこの日集まった医師は10名にも満たなかったと思います。

それも、神経内科の先生はほとんどいらしゃらなかったのではないでしょうか。

先生は、現在若くて意気込みのある医師を集めて、事例検討会を主催していると言います。
本当にこういう意気込みのある先生が、沢山育ってくれれば、今苦しんでいる人たちがどれほど救われるかと思うと、「先生たち、ちゃんと勉強してよ!」と思ってしまいます。

うちの患者さんの多くは、スイッチのオン・オフに苦しんでいたり、主治医の心無い言葉に怒ったりしています。
まずは、もっと患者さんの声を聞いて欲しい。
パソコンの画面ばかり見ていないで、患者さんに触れて欲しい。

先生が怖くて、何も言えない患者さん、たくさんいますから。
無神経内科なんて陰口、患者さんから叩かれたりする先生もいますし・・。


本当に偉いのと、偉そうなのとは、こんなに違うんだな〜。と思いました。


これでいいのかな?

2013-09-26 22:54:06 | 訪問看護、緩和ケア
どこのサービス事業所でも同じだけれど、人が変わるとその事業所の雰囲気や方向性も変わってしまいますね。
いい意味でも、悪い意味でも、「あれ??今までこんなことはなかったのにな・・。」なんてことがあって、よくよく考えるとトップが変わっていたり、担当者が変わっていたりします。

特に、連携のあり方などは、一番よく感じるところです。

「あ・うん」の呼吸で欲しい情報をお互いがやり取りできていたかと思えば、いくら伝えようとしても、何故かうまく伝わらなかったり、肩すかしをくらったり・・。

時には、すごく険悪な空気になってしまったりすることもあって、その間合いの詰め方に四苦八苦することもあります。


そういえば、電話の対応など、基本的な礼儀の部分でも、ちゃんとしているところと、驚くような対応をされるときがあります。
これは、個々の常識の問題かもしれないけれど、自分の事業所のスタッフが会話している時の話し方は、なんとなく聞こえてくるだろうに・・とか思います。

今日もうちの事務が憤慨していました。

「いつもお世話になっております。○○訪問看護ステーション事務のです。ケアマネの○○さんいらっしゃいますか?」
「いません!」
「え?いらっしゃらないのでしか?」
「いません!」
「もうお帰りになったのですか?」
「そうです!」

憮然とした声でそう言われたそうです。

「いません。」は、在籍していないのか、今たまたま席を外しているのか、もう帰ったのか。
この電話は、急を要するのか、あとでいいいのか。
かけ直せばいいのか、かかってくるのか。

全くわかりませんよね。

こんなのはもう論外ですが、いつもの連携先なのに、毎回毎回折り返しの電話をもらうのに、電話番号を聞かれるのもなんだなぁと思ったりします。

折り返し電話をするために、相手の電話番号を聞くというのは、一般的には常識ですが、同じ案件で何度もやり取りしていたり、まして日常的に連携関係にある相手に、電話番号を毎回聞くなんて、失礼な気がして私にはできません。
聞きなれた相手の事業所名ですし、すぐに一覧から探し出せばいいだけですから。


そんなことでいちいち腹を立ててもしょうがないとは思いますが、なんだかちょっと気持ちが凹んだりするのは私だけでしょうか??


そういえば先日、最近あまり関わりの少なくなった事業所の、よく知らないケアマネさんに、訪問看護のご依頼があったことを連絡しました。
ご家族からのご相談で、近所のクリニックが訪問診療を受けて、そこからの指示書で訪問が決まり、ご家族とも連絡を取って、医療保険での訪問看護で入ることになったのです。

電話をするとまず「え??訪問看護ですか??・・どこから指示書出たんですか?」という意外な言葉。

「あ、○○クリニックからですが・・。」
「え?僕は、そこじゃなくて△△クリニックを紹介したんですけど。」
「奥様が、ご自分で調べてこちらを選ばれたそうですが・・聞いていませんか?」
「あ、でもご家族が選ばれたのならいいんじゃないですか。」
「で、○日に初回訪問で入ります。医療保険での訪問看護になりますので、よろしくお願いします。」
「あ、そうですか。はい。」

そうして、そのケアマネさんからのご連絡は、その後一度もありません。
○○クリニックにも、そのケアマネさんからは、一度も連絡はないそうで、一体連携とかをどう考えているのかなぁ・・と首をかしげるばかりです。

(第一、どういう根拠で在宅の主治医を選んで紹介しているのか、まして受け入れの可否も確認して紹介しているのか、その後の経過も把握できていないのは変ですね)

普通はどこのケアマネさんでも、たとえ医療保険で入るにしても、必ず連携体制でお互い情報を交換しますし、多くの場合は医師や訪問看護の初回訪問に同席されるのが普通です。

そうでなければ、病状や今後の方針などを予測して計画するのは難しいのじゃないかと思うのですが・・。

いいのかな??
これから訪れるであろう、終末期のいろいろな変化を、もう把握しているのかな?
たくさんの不安を抱えている患者さんや奥様に、どうやって向き合っていくのかな??

時々、ありゃりゃと思うことがありますが、まあ色んな人がいるということですね。


今は、新患さんが立て込んで、勤務表とにらめっこの毎日ですが、お仕事いただけることは、ありがたいことなので、一生懸命頑張りたいと思っています。

嫌なことばかりじゃないし、昨日の夕方急遽入った95歳のおじいちゃまに、今日はとっても喜んでもらえて、「家族にも見せない笑顔を見せて、よっぽど気持ちよかったのね。毎日来てほしいって、言い出すんじゃないかしら。」と娘さんに言ってもらえました。
ずっと私の手を握って離さなかったおじいちゃんの顔を見て、嫌なことも吹っ飛びました。





地域のいろいろ

2013-09-19 23:32:32 | 訪問看護、緩和ケア
今日は一日、ばたばたとして過ごしました。
審査会に行って、新患さんの初回訪問に行って、お弁当を取りに行ってから、瀬谷区・西部病院訪問看護連絡会に滑りこみ、合間にみんなでお弁当を食べてから、ケアマネと訪問看護師の交流会まで、なんだかめまぐるしい一日でした。

本年度の瀬谷区訪問看護連絡会は、区の高齢障害課の働きかけもあり、「ALSの支援」をテーマに例年より拡大枠で行うことになっています。
連絡会は、有志の訪問看護ステーション管理者と区の高齢障害課、西部病院ホームケア、ケアマネットから3名、さらに今年は強い味方として、毎回横浜リハビリテーションセンターから3人の出席があります。

ALSに関しては、名前だけはかなり有名になって、時々メディアでも取り上げられます。
ルー・ゲーリック病なんて言われていたこともあるようです。
世界の頭脳ホーキンス先生や、日本では徳田虎雄さんなど、現在もこの病気と闘っています。

神経難病として、不治の病として、絶望的な宣告を受けた人々が、それでもなおその苦難と戦っているわけですが、その支援はといえば、苦難と向き合う人の前では、本当に無力感でいっぱいになります。

医療職ですら、手探りのような支援ですから、病気そのものを知らないケアマネジャーや介護スタッフは、一体どうすればいいのか、何がわからないのかもわからない状態だと思います。


私たちの地域にも10名以上の患者さんがいると言われており、今後高度医療の進む中、在宅に戻られる方はどんどん増えていくのだと思います。
そんなわけで、今年は区の依頼もあり、ALSに焦点が絞られたのです。

そして、プレゼンの順番は、一周回って、とうとう私に回ってきてしまいました。

なので、この連絡会が始まるまでに、毎回スライドの原案を作っていかなくてはならず、あれもこれも中途半端に手をつけている私の首は、どんどんしまっていくわけです。

今回は、その会議の終了後そのままケアマネと看護師との交流会に数メートルだけ移動して、グループでの話し合いが持たれました。

会場を見渡すと、なるほど知らないケアマネさん、やたらたくさんいます。

もちろんいつも見慣れたお顔もたくさんあって、ちょこちょこ情報交換などもしつつ、グループディスカションとなりました。

が、時間的にかなり少なくて、実際発表したグループは3箇所くらいでしたか、ちょっと物足りない感じが残りました。

もうちょっと地域で、関係性について話し合えればいいのにな・・なんてことを考える暇もなく終了しました。

地域の中で、これだけのケアマネさんのなかで、実際組んで仕事をするのは、本のひとにぎりですよね。

いい関係性で、あ・うんの呼吸でタッグを組めるケアマネさんがもっと増えたら嬉しいのだけれど。

より温かい地域になれますように。



在宅皮膚科勉強会

2013-09-17 23:26:17 | 訪問看護、緩和ケア
今年も、神奈川県の皮膚科学会主催の在宅皮膚科勉強会がありました。
去年の勉強会は「疥癬」で、とても面白くてこのブログにも報告させてもらいました。
けれど・・
残念ながら、今年は緊急当番で私は出席できず、参加した4人のスタッフからの伝達講習となりました。

なので、伝達の伝達ということになります。

今回は、褥瘡についての最新の情報を聞かせていただくというとで、かなりワクワクしました。

基本的なことは置いといて、体位交換の時間についての検証結果は興味深いものでした。

褥瘡の予防のための体位交換ですが、ずっと昔から2時間おきと習ってきましたが・・・
なんとこれはかなり昔の、しかも動物実験の結果から導き出されたものだそうで、人間で検証したわけではないのだとか。
で、実際人間様で近年検証した結果、概ね4時間を超えなければ、問題ないことがわかったそうです。

しかも、今では競って褥瘡予防の耐圧分散マットの開発が進んでいます。

もともと、在宅では夜間の体位交換なんて「やらなくていいです。」と言っていた私たち。
やっぱりそれでいいという裏付けが出来たわけですね。

そうです。褥瘡は清潔なおむつと、清潔なリネン類、適切な耐圧分散マットと、確実な保清がなされれば、どんなに寝たきり高齢者でも、ほとんど出来ないのです。
一度出来てしまうと治すのに時間を要しますし、栄養状態にも左右されますから、とにかく作らない!のが一番の治療というわけです。

で、もし出来かけてしまったら何がいいのか。

私たちは、ちょっと赤くなっていたり、薄ーく皮がむけたりすると、アズノールとかアズノールボチとかを塗ったり、骨突起部や表皮剥離にフィルム材を貼ったりしています。

で、今回の先生曰く「ボチがいい。」とのこと。

ボチとは亜鉛華軟膏のことです。

白くてべっとりしていて、一件石膏のように見えますが、これはとてもすぐれもので、在宅でもいろんな使い方をしてきました。

うちの皮膚科往診医は、ステロイド剤の上にボチシートで重ね塗りをする処方を良くしますが、本当によく治ります。

で、今回の先生曰く、「ボチはべっとり分厚く塗る。そして、無理に落とそうとせず、そっと洗い重ね塗りをする。」ということでした。
確かに、ボチは油性なのでとにかく落ちにくので、オリーブオイルとかでそっと拭き取らないと取れません。
でも、これは無理に取らない。

そして、ポイントと思われるのが、おむつ交換の回数を、減らすということです。
尿の回数を、その人ごとにチェックして、可能な限りあいだを開ける。
(もちろん濡れて汚れれば変えるのは原則ですが。)
不要なおむつ交換をしないことで、おむつ交換をする際の連れや摩擦を避けるわけです。

今は、吸収量がよくて皮膚に優しいおむつもたくさんありますから、うちでは夜間のおむつ交換は、便が出ない限り無理に介護者が起きてしなくてもいいですよ(^-^)と言っていましたから、これも嬉しい報告です。

あとはポジショニングですね。
きちんと除圧をする。

モルテンから出ている「セロリ」という除圧クッションが、介護保険の適応になるし、おすすめとのことでした。

また、それでも出来てしまった褥瘡の処置に対して、私たちはモイスキンパットを使用していますが、この先生はモイスキンパットと同様の使い勝手で、もっと安価なものがるよと教えてくれたそうです。

それはスミス・アンド・ネフュー ウンド マネジメントのメロリンという衛生材料です。

先生曰くモイスキンパットよりかなり安くて、効果は同様とのことでしたので、探してみると、アスクルでも扱っているものでした。

構造的には似てはいましたが、写真で見る限りモイスキンパッドよりかなり厚いですね。
この厚さが、仙骨などでは逆に圧迫の原因になりそうで、ちょっと不安です。

中心部はコットンとポリエステルで、高分子吸収体は使っていないようで、その分厚みが出るし安くなるということなのでしょうか。

とにかく、褥瘡は廃液管理が重要で、ドライになりすぎず、ぐちゃぐちゃにもならないように管理することが大事ということです。

ちなみに、ガーゼは論外です。まず使いたくないですね。

で、価格を比べてみましたが、先生が言うほどそんなに大きな価格差は感じられませんでした。
これから、メーカーにも確認するつもりですが、厚さや使いかってを考慮して、それでも安さが勝つようなら、ウチでも取り入れてみたいと思っています。
というわけで、新しい情報はどんどん聞きたいし、取り入入れられるものならば、取り入れていきたいなと思っています。


呆然・・

2013-09-16 22:03:31 | 訪問看護、緩和ケア
ある日の緊急当番、初日から夜間の救急搬送から始まり、日中も救急搬送をし、翌日には夜間にカフティポンプのトラブルで緊急訪問、その翌日も日中の緊急訪問などで、ちょっと嫌な<憑き>を感じていました。

こういう時の週末は、予期しないことが起こるのです。

深夜1時半、緊急電話の賑やかな着信音に、あわてて飛び起きると、携帯からはYさんの息子さんの声がひどく慌てて飛び込んできました。

「今、母がベットから半分落ちていて、吐いていて・・。もうだめだと思うんです。もう、だめだと思うんです!どうしたら・・どうしたらいいか。病院に連絡どうすればいいのか・・。」

「落ち着いてね、私が病院に連絡するからあなたは救急車に電話して!」
「は、はい!わかりました。」

声は緊張と不安でパニック状態になっているのが分かりました。


あとは救急隊に任せるしかありません。


結局、その夜Yさんは、帰らぬ人となりました。

その夜、電話を切ってから私は呆然としていました。
眠気はどこかに行っていしまって、ただ「こんな最後を迎えさせたくはなかった。なんで、こんなことになったんだろうか・・」
そして、誰も頼る人もいない、あの息子さんは、今ひとりでどんな思いでいるのかと・・

どうにも収まらない動悸を、安定剤で押さえ込んで眠りにつきました。

本当に、ぎりぎりの線で頑張っていたのを知っています。
食事の支度から、インシュリンの調整、オムツ交換に通院の介助。

いろんな試練があって、いろんな問題を抱えて、それでも最後まで自分で看取ると言っていた息子さんです。

認知症もどんどん進み、病状もあまり芳しくはなかったけれど、それでも頑張っていた・・

10日ほどまえに、愛犬に逝かれてしまって、とても落ち込んでいた息子さんです。

往診医の話は何度も出ました。
でも、踏み切れなかったのには、きっと経済的なことも理由にあったかもしれません。

でも、もう少しあと押しすれば、せめて検屍などということにはならなかったのではないか・・。

あんなにひとりで頑張っていたのに・・。

担当の看護師に伝えました。
本当によく支えていましたから、その衝撃はかなり大きかったと思います。
随分と落ち込んでいました。

私たちの思いはいつも一緒です。

穏やかに、見送るご家族も納得できる最後を迎えられるようにするということ。

だから、往診医に移行するタイミングや、状況の変化に早く対応できるように、先回りして環境も調整していくのです、

でも、こんなふうに突発的に起こる出来事には、本当に無力です。
呆然としてしまいます。

せめて、残されたご家族の話を聞くことぐらいしかできないのです。

そして、一生懸命介護してきた息子さんが、自分を責めることのないように、それだけは伝えていかなければなりません。


思いゆえに重くなる。

2013-09-04 19:52:49 | 訪問看護、緩和ケア
うちのステーションの気風というか、そういう仲間が集まってしまったというか・・。
みんな自分の受け持ちの患者さんに、本当に真剣に向き合っていきます。

難しい患者さんになればなるほど、皆真剣に悩むのです。

でも、それが時として大きな重さとなって、担当者自身にのしかかっていく事があります。

出口の見えない八方塞がりの受け持ち患者さんを、なんとかできない焦り。
どんなに自分が頑張っても、当の患者さんやご家族にわかってもらえない焦り。
一緒に支援する仲間との些細な言葉のやり取りで、思わず傷ついてしまう悲しみ。
それらすべてを、自分が抱えてしまうことの恐さと重さ。
そして、それを分かってもらえない孤独感。

ゴメンネ。
うまく声をかけてあげられなくて。
ちゃんとフォローしきれていないね。

時々噴出する、そんな苦しみを抱えたスタッフを、支えきれていない自分に私もまた焦りを感じてしまうのです。

でも、私は信じています。

絶対に、乗り越えられる。

もちろん、一緒に足並みを揃えて、一緒に考えていくから。
絶対に、ひとりで悩まないで。
できれば、声に出して私に伝えて欲しいけど、思わず流してしまう涙。
一人にしないように、支えていきたいと思っているから。

でも、でも、もしこの辛い状況を乗り越えて、最後までこの患者さんを見送ることができたら、きっとものすごく成長するのだろうと思います。

一緒に頑張るから、乗り越えて一回り懐の深い訪問看護師になって欲しい。
ていうか、きっとなれると信じているから。


「苦しんでいる人を支えるのは苦しい。誰かを支えようとする人こそ、一番支えを必要としています。」

これは、連携先のクリニックの院長のキャッチフレーズです。
昔、いのちの授業で講演をした先生に、講演を聞いた学生が感想文に書いた言葉だそうです。

本当にそう思います。

だからみんなで支えあわなければいけないのです。

みんなで分かり合って、みんなで支えあって、乗り越えていこうね。

どうか、曇り空に綺麗な晴れ間が見えますように。




プロの仕事だね!

2013-09-02 22:04:50 | 訪問看護、緩和ケア
毎日、心身ともにくたくたで、PCを開ける気力もない日が続いていましたが、今日はすごく嬉しい話を聞いて、ちょっと元気が出たし、久々に伝えたい!と思いました。

何気なくうちのヘルパーさんとケアマネの会話が聞こえてきました。

ヘルパーA「○×さん、最近お肌ピカピカになりましたよねー。やっぱりあれですね。お風呂。」
ケアマネ「そうそう、すごいよねー。16%から57%だものね。みんな頑張った!やっぱお風呂だよねー。」

「???なんのこと?誰のこと??」

改めて説明を聞いてものすごく嬉しくなりました。

実は、○×さんは介護拒否がとてもひどい方です。
その日のご機嫌しだいで、布団をかぶって返事もしません。
認知症はかなり進んでいて、感情失禁も激しく、かなり攻撃的な方です。
特に入浴拒否は激しくて、ヘルパーさんの声掛けにも、10回に1回か2回しか入ってもらえない状況が数年続いていました。

そのため、夏場は汗疹も悪化して、痒くて痒くて皮膚をバリバリとかきむしる状況でした。

そんななか、改善案を検討したそうです。

まず、時間は絶対に変動させないということです。
そして、訪問したヘルパーは「ご機嫌ノート」を必ずつけることとしました。
これは、認知症のご利用者様の訪問中の様子と、声掛けの内容などを書きながら、経時的な変化も簡単なグラフ化するものです。

ヘルパーさんが、入った時の様子、声かけ、その反応を大まかに記入します。

いつ、どのような状況で、どのようなアプローチをした時に、○×さんが入浴してくれるかを、そこから読み取ります。

すると、声掛けのタイミングと回数がとても重要だということがはっきりしました。

感情の激しい方で、ひどく拒否をされるとヘルパーさんもそれ以上おすすめできずに、ほかの活動に置き換えてしまいがちです。

でも、短期記憶がかなり短く、感情の変化も多いので、会話の中で頃合を見て再度おすすめすると、すんなりと入ってくれることが明確化されました。

活動に入っているヘルパーによって、その声掛けの回数やタイミング、上手に誘導する流れが違うことから、全員で声かけを増やし誘導方法を検討した結果、2回に一回以上の確率で入浴することができたのです。
その結果が、皮膚トラブルのないピカピカのお肌というわけです。

当然、声掛けが上手になれば、関係性も向上するわけですから、この歴然とした結果を聞いて、本当に嬉しくなりました。

こういうことって、言うは易しですが、実際活動するスタッフに徹底してもらうって、すごく大変なことだと思うのです。

プロとして、認知症を理解し、検証してアセスメントする。

今の介護職に、最も欠けているものではないかと思います。

ちなみに、このご機嫌ノートの活用は、うちのケアマネからの提案です。
でも、当のヘルパーさんの意識が低ければそれは実行にいたらなかったでしょう。

サービス責任者の統制力と、スタッフの意識改革のなせる技と、わたし的にはとても評価できるお仕事と思いました。

できれば、これをきちんとまとめ、症例報告をして欲しいとも思いましたし、うちのヘルパーをみんなにつかってもらいたいと強く思いました。


在宅の仕事は、まだまだグレーゾーンが多くて、無資格者だけでも成り立ってしまう場所があることはこの前も書きました。
しかし、こういう専門的な検証ができて、統計的なアセスメントができ、その結果を成果に結び付けられるということが、介護職の専門家だと思うのです。

今、在宅医療はかなり進歩してきています。
その進歩について行くために、訪問看護師も日々勉強をしなければなりません。
しかし、在宅はあくまでの生活の場ですから、きちんとした知識を持った介護職の育成が早急に望まれるのです。
そこがスキルアップしなければ、医療だけでは在宅を支えることはできません。

うちのヘルパーさん、ブラボーです。
そう拍手を送ると、すごく嬉しそうに「頑張ります!」笑顔で答えてくれました。
やっぱ。プロだねェ。

介護の現場

2013-08-24 23:06:19 | 訪問看護、緩和ケア
介護の現場といっても、施設系だったり在宅系だったり、在宅でも訪問だったり通所だったりいろいろです。

そんな中、介護の現場は日々変化しているようです。

今まで、ヘルパー2級とか1級とか言っていたものが、これからは「介護職員初任者研修受講者」に変わりました。
今までのヘルパー2級がそれと同等のものとして扱われ、さらに実務者研修を受けて介護福祉士の受験資格が得られるようです。

これからは、ますます専門性が問われる時代です。
介護といっても、医療の高度化についていかなくてはなりませんし、プロとしての視点で介護を実践していくことが求められます。

ちょっと前までは、隣のおばちゃん的なヘルパーさんが目立ちましたが、今は誇りを持って介護職についている方が増えてきたことは嬉しいことです。

そうは言っても、まだまだ介護職のスキルや知識の差は激しく、主婦の延長でできていた訪問ヘルパーにも、プロ意識にかける人が多いのは否めません。
出来る人とできない人の格差が大きいことが、最大の問題点なのではないでしょうか。

ところで、ホームヘルパーは全員ヘルパー2級以上(介護職員初任者研修終了者)ですが、グループホームの職員やデイサービスの職員は、無資格者でもいいことをつい最近知りました。

管理者も資格は問わないようで、サービス管理責任者がケアマネということのようです。
デイサービスも資格をとwないということなのですが、一体これはなんででしょう??

一生懸命研修やらなんやらで介護力を上げる努力をする一方で、現場は無資格者でもOKというのは、もう本当にびっくりしました。

昨日までウェイトレスだった人も、コンビニ店員だった人も、そこに就職したらいきなり認知老人や病気を抱えた老人のお世話をするわけですよね。

これはもう驚き以外の何者でもなく、スタッフ全員が無資格者のこともあるようなので、一体この国の基準は何なんだろうかと首をかしげるばかりです。

求人などの内容を見ていたら、仕事をしながら基礎を学んで、それから資格を摂ればいい・・なんてことが書いてあったりしましたが、逆じゃないかと思うのです。
きちんとした基礎を学ばないで、そこのやり方が基礎だと思ったら、大きな間違いが生じますよね。

うーん、これじゃあまだまだ介護職の地位向上は難しいですね。

現在の有資格者は、もっと自分たちの足元を固めなくてはダメだと思うし、誇りある介護を提供できるようなシステムを、自分たちで声を上げていかないと、一向に報酬も上がらないし、地位も認めてもらえないと思うのです。

看護師は、同じく長く低い位置にいましたが、現在では准看護師を廃止し、政界にも進出してさらなる地位の確立を目指しています。

介護の現場で、ちゃんとしたプロの介護職が主導権を握って、学んだことを生かしていけるような時代を作っていってほしいなと思います。


認知症の周辺症状もわからず、老人にたいする尊厳もないような人が、認知老人を相手に、世話の焼ける幼児に接するような対応をしているのを見たり聞いたりします。

清潔と不滅の基本的な操作もわからないで、しわくちゃのシーツの上で、言われるままに褥瘡のガーゼ交換をしているところもあるようです。

今、ひとつの街にいくつものグループホームがあります。

でも、そのトップに立つ人の考えかた次第で、その内容は天と地ほども違うのがグループホームのようです。

最近は訪問看護ステーションも乱立していて、内容の伴わないところもあるということなのですが、ダメなところは淘汰されるような社会であって欲しいですね。



ケアマネの仕事、どこまでやるの?

2013-08-21 20:17:04 | 訪問看護、緩和ケア
すっかり介護保険が定着して、病院などにもケアマネの存在が、良くも悪くも周知されてきたような気がします。

老人が入退院するにあたっては、病院側も「ケアマネさんはどの誰?」と確認を取るようになりましたし、病院連携室でも、あちこちのケアマネさんの特徴をなんとなく把握していたり、連携の場には必須の職種という理解が出来上がりました。

そんな大活躍のケアマネさんですが、実はお仕事の内容がすごくグレーな部分があったりします。

介護保険そのものが、あちこち穴だらけで、実際の現場の問題点から目をそらしている部分があるなかで、その中心にいるケアマネさんのお仕事が、その「ざる」からこぼれた部分に翻弄されていることを、お上の方々は知っているのでしょうか・・。

独居高齢者に、老老介護、認認介護はもちろん、家族が精神疾患だったり人格障害者だったりで、生活の支援がご家族に望めないケースが山のようにあります。
しかも、経済的な困窮などの背景があると、思うようには介護保険に乗れないことがたくさんあるわけです。

ずっと思っていた事の中に、受診の同行があります。

原則、定期の通院の同行は、ご家族がされるべきです。
ご本人の病状を伝え、それに対する説明を聞き、提示された治療方法を選択したり、同意したりして、これからの療養に反映しなければならないからです。

でも、遠方だったり、近親者がいなかったりしたときは、介護保険サービスに則って、通院支援を受けるわけです。
この通院支援も、誰でもついてくれるわけではなくて、一定の条件が必要になるのですが・・。
そのなかで、患者さんの状況把握と情報交換を行い、プランに反映するために、受診に同行することは、ケアマネの業務としては問題ありません。
でも、足がないから、誰もいないからといって毎回ケアマネが一緒に通院するというのは違うのです。
実際には、マイカーで受診に連れて行っているケアマネさんだっているのですが、これは断固ケアマネがやるべきことではないと思います。

特に、ご家族がいるのに、忙しいとか面倒くさいという理由で見て見ぬふりをされている場合は、ますます介護からご家族を遠ざけてしまうとこに繋がるからです。


ただ、急に病状が悪化して緊急受診や救急搬送などの時には、一番生活を把握しているケアマネが同行するしかない場合があります。

病院も「誰か、状況の分かる人が付いてきてください!」とかいうので、とりあえず同行して状況を伝えると、「検査が終わるまでいてください。」と、延々と待たされたりすることがあります。
その間、家族に何度も連絡を取り、半日過ぎてやっと解放されることもあるのです。

ケアマネの利用料はご利用者さんからは徴収しません。
一律の給付を介護保険から受けるだけです。
ケアマネは数十名の利用者を持っていますから、そうしているあいだにも、次々に連絡の電話が入ってきますし、サービスの立会や、利用表の配布などに駆け回ります。
早く帰らなければ・・と思いながら、なかなか来ないご家族を待たなくてはなりません。


独居で病気を持ち、寄る辺のないさみしさの中で、療養生活全般のコーディネートをしてくれるケアマネは、本当に頼りになるし、時として身内のように錯覚することもあると思います。
でも、家族の代わりはできないのです。
そのラインはとてもグレーで、「こんなに頼っているのだから、やってあげたい。」思いと、「それはケアマネとしてやってはいけない。」思いの狭間で大きく揺れ動いてしまうのです。

身寄りがなく、生活が成り立たなくなりそうであれば、後見人制度なども視野にい入れ、考えていかなくてはなりません。

ただ、ケアマネそれぞれが、意識的に動くことが必要だし、ただ何でも屋にならないような支援方法を、考えていかなくてはならないのだと思います。

地域でも、考えていかないと。そんな風に思っています。

老人の臍ヘルニア

2013-08-15 22:46:42 | 訪問看護、緩和ケア
先日、訪問から帰ったスタッフが、相談に来ました。
「○○さん、今日突然お腹が膨らんでしまったんです。もともとお腹はぼわんとしているのですが、お臍を中心に固くぼっこり突出していて、痛みを訴えています。
お臍の部分は広がって、うっすらと紫色になっています。今までないものが、はっきりと触知できます。」とのこと。
「臍ヘルニアかもしれないね。嵌頓しちゃうと大変だから、すぐ受診させないとね。」
「そう思って、受診を勧めたんですが、かかりつけの先生じゃないと、どうしても嫌って言うんです・・。でも、その先生お盆休みで今日はいらっしゃらなくて。けあまねさんにも伝えましたが、ご本人は痛みも軽くなったから、明日まで様子を見させて欲しいって・・。」

うーん、困りました。

この方は、ご高齢であるうえ独居なので、お一人で受診させるのも心配です。

しかも、かかりつけの開業医さんをとても信頼していて、その先生でなければ緊張してしまって、かえって具合が悪くなるから、様子を見させてくれと懇願されたとか・・。

とりあえず、一旦戻り報告をしに来たのです。

そう、この年代の皆様は、とても頑固なのです。
嫌と言ったら絶対嫌。

でも、このまま放っておくわけにはいきません。

午後もう一度様子を見に行った担当ナースから電話が入りました。

「やっぱりまずいです。さっきよりお腹全体が膨隆してきています。お粥を二口食べたそうですが、それ以上は食べれないとのことです。お腹の音は弱いですし、ガスも見られません。金属音はありません。見に来てもらいますか?」とのこと。

すぐに私も訪問しました。

笑顔で可愛い小柄なおばあちゃまですが、上腹部だけが妊婦さんみたいにポンと張っています。
お臍を中心に直径15センチくらいに固く飛び出した腸があり、おへその色もかなり悪い状態でした。
痛みはそれほどひどくなく、「明日まで待てるのだけれど・・」と言っています。

「○○さん、これは待たない方がいいですよ。夜中にお腹がすごく痛くなったら、お一人だから大変です。これは、すぐに外科の先生見せて、お腹の中にしまってもらわないと。病院に行ってもらっていいですか?」

こんな時に管理者という役職名が功を奏します。
「偉い人がわざわざ来てくれたんだから、きっとそうなのね。分かりました、病院に行きます。」と言ってくれました。

別に偉くもなんでもないのですが、スタッフの「うちの大ボスです。」と紹介するものだから、すっかり恐縮されてしまいました。

でもおかげで、了解していただきました。

こちらで指示書を頂いている病院に連絡し、状況を説明して救急外来の受け入れを要請できました。
その間に、スタッフがケアマネに連絡し、ご家族が来るまで受診に付き添ってくれる手はずが整っていました。

30分後には、○○さんは急外を受診することが出来ました。

翌日、結果を聞いたところやはり「臍ヘルニア」でした。

「とっても危なかったね。このままだったら腸がねじれて緊急手術だったよ。早く受診してくれてよかった。」と先生に言われたとか。

炎症反応がなかったので、とりあえずは徒手的に還納してもらったそうですが、やはり手術が必要になる可能性が大きいようでした。


実は、こういう話はよくあることで、受診を渋る患者さんをなんとか受診させるための、あの手この手がなかなか大変なのです。

今回のように、結果「受診してよかった。」時ばかりじゃなくて、「何しに来たの?」なんて言われちゃうことだってあるので、動くのが億劫な患者さんを、万が一を想定して受診まで手はずを整えながら、うまく誘導しないと、あとあと不信感を残すことになってしまいますから。

そうして、普段からお体をよく観察していた結果が、こんなふうに異常を察知できるということなのです。

こんなふうに訪問看護は、異常を早期発見して早期に医療機関につなげる役割があることを、もっとみんなにしってもらいたいと思っています。

八月は大忙し

2013-08-08 21:56:10 | 訪問看護、緩和ケア
毎年、8月はスタッフがかわりばんこに休暇を取るので、ただでさえごちゃごちゃするのですが、今年は7月後半から急激に患者さんが増えて、かなりアップアップになってきています。

その原因の一つが、ご夫婦での訪問看護です。

当初どちらかの訪問予定が、なんだかんだで、その配偶者も一緒に訪問することになってしまうのです。

なので、二人の新患さんがいきなり4人になってしまったのです。
しかも、まもなく3組目のご夫婦の訪問も控えていて、その合間にも新患さんが数人増え、初回待ちの方も数人いらっしゃいます。

これはかなりきつい状況・・。

でも、こういう流れを断ってしまうと、今度はぷっつり切れてしまうので、とにかく担当スタッフが決まるまでは、私が頑張るしかありません。

かわりばんこに、ほかのスタッフも頑張ってくれています。

ステーション乱立で、依頼がこずに困っているステーションもある中、贅沢な悩みですね。

真夏の盛りで、体調を壊す患者さんも少なくありません。

その最初のご夫婦は、契約した3日後には、妻が転倒し肋骨骨折なんてアクシデントもあり、実際入ってみると内服状況もぐちゃぐちゃと、導入時点でやることも山積みでした。

初回契約からびっくりな背景を知り、そこからケアマネと共にしばらく翻弄されることもしばしばです。

特にキーパーソンのいらっしゃらない場合や、遠方にいらっしゃる場合は、環境調整から服薬管理、病状観察にケアなど、情報収集と軌道修正にかなりのエネルギーを費やすこととなるのです。

そんなわけで、暑い中頑張って訪問をしてくれるスタッフのために、時間を縫ってそうめんのつゆを作りました。

ステーションの夏の恒例「ナスとしめじの温かいつゆ」をつけて食べる薬味たっぷりの特性そうめんです。

昼の直前に、事務の二人が小豆島のそうめんをたっぷりゆでてくれました。
薬味はみょうがとおくらです。

三々五々戻ってくる、スタッフの喜ぶ顔が一番です。


毎日、いろんなことで腹を立てたり笑ったりしながら、みんなでそうめんを食べました。

そんな中、ブログネタは山ほど転がっているのに、相変わらず家に帰るといつの間にかうたた寝していたりして、あまり進歩がありません。

さて、あすも飛び入りの新患さんがあります。

暑さにめげずに頑張りましょう。