こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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生活保護と自立の矛盾

2013-04-05 22:15:46 | 訪問看護、緩和ケア
生活保護の不正受給者があとを絶たない問題がクローズアップする反面、真面目にやっている人だってたくさんいます。

なんでこう不正受給者が多いかといえば、それは不正がまかり通っちゃう現状と、正直者はバカを見る的現状からなのだと思います。

生保は、所帯単位での収入で決まるので、家族の中の誰かが就労して、一定以上の収入を得れれば、当然打ち切りになります。

手取りで18万円もあれば、一家族で生活している人は山ほどいるわけで、サラリーマンの初任給や、事務職の初任給ではそんなにもらえなくても家庭を持って頑張っている人はたくさんいます。


親子三人の家族がいたとして、父は病気で要介護状態、母は軽度知的障害で家事能力がなく、息子はアルバイト程度の収入だったとして、生活保護の一部補助を受けて生計を立てていたとします。
当然医療費はかかりませんし、必要な介護保険サービスも受けられて、リハビリ効果がも上がってきたとします。
そして今までアルバイトだった息子さんが就労し、正規社員としてやっと採用になったとしたら、もちろん生保はうちきりになってしまいます。

でも・・どうなんでしょうか。


やっと手取りで十何万円かのお給料がもらえた青年が、その殆どを親の医療費と生活費に持って行かれてしまったら、彼が今後自立する道はあるのでしょうか?

働いても働いても全部生活に消えてしまうお金。もちろん貯金どころじゃありません。

当然のことですが、それまで保護の中でまかなわれていた医療費は全部彼の方にのしかかってくるのです。

はたして、彼の就労意欲は保てるのでしょうか?

上手な主婦ならうまくお金を振り分け、お料理も工夫して、もう少し節約出来るのかもしれませんが、この家族では困難です。

結果、息子さんは自立のための貯金もできず、就労意欲は失われ、下手をすると仕事を放棄してしまう可能性はないでしょうか?

同居する家族が、やっと仕事を持つことができたとき、親のために全額取り上げてしまうことで、結果3人の生活保護となるか、
もしくは、息子に近い将来自立の道を残すことで、結果一人は自立の道を歩かせるか。

どうするべきなのでしょうか?

こういうケースでは、もう少し細やかな介入をすることが必要だと思うのです。

生活の中で、誰にいくらのお金がかかり、どう振り分けるかを一緒に見てあげる人がいなければ、知的障害のあるご家族には、どうすることもできないのです。
障害はあっても健全に暮らされていた一家は、まずサービスをどんどん削るでしょうし、受診も控えるでしょうし、食費も更に減らすこととなります。

生保を受けていた頃よりも、ずっと低い生活水準となるわけです。

もともと、生保を受給されてるかたは、とても安定していて、医療も介護も安心して受けられる状況にありますから、最低年金やワーキングプアと呼ばれる人の場合よりも、ずっと良い生活をされています。

そうなると、国の言う生保の定義とは逆転してしまうわけです。

全部が全部お金を出すとか、すぐ中止するとかではない関わり方はないのでしょうか?

お役所方は、生保の受給者が多すぎて、とても個別な対応は難しいといいます。

ならば、そういう対応をできるようなセクションをつくるとか、民間会社に委託するとかで、詳しい調査をして必要なお金の支給を公正に判断することはできないのでしょうか。

少なくとも、働くことで苦しい生活が待っているなら、就労意欲は損なわれ、自立の道は放棄されてしまうと思うからです。

この矛盾を解決しなければ、日本の生活保護は決して減っていかないと思います。

こういう話をWeb上でするのは、すごくタブーな感じがしてなんだか気を使いますが、小野市の市長や橋本市長も公言していますよね。
小野市長の言う、賭け事禁止は当然のことだと思うし、片手落ちの人権理論を振り回している人たちは、現状を知らないだけなのだとも思います。
これからの医療や在宅介護を考えたときに、避けては通れない問題だと感じているので、あえて訴えたいのです。





ピンと来たら・・。

2013-04-04 23:36:48 | 訪問看護、緩和ケア
夕方、居宅の訪問を済ませ、車に乗り込む寸前に、私の携帯が鳴りました。

うちの専任ケアマネから「大至急帰ってきてください!すぐに一緒に訪問して欲しいんです。包括のKさんが、訪問先から連絡をくれました。すぐに入って欲しいって!」とのこと。

こういうことは時々あります。

今回、包括支援センターに介護申請をしに来たご家族の話を聞いて、包括のスタッフであるKさんは「直ぐに見に行かないと危険!」と感じたようです。
直後に実際患者さん宅を訪ね、状況を見て直ぐにうちのステーションに連絡をくれました。

一旦ステーションに戻り、ケアマネちゃんを車に載せて、すぐに患者さん宅に向かいました。

とりあえず向かう前に、在宅往診医に受けてくれるかどうかを確認し、OKをもらいましたので、すぐに行動に移すことができました。

うちは医師会立ということもあり、実際の訪問看護に繋がらないかもしれないケースでも、しかるべき要請があれば一緒にどう対応したら良いかを確認に行きます。

今回もそのつもりで訪問すると、包括のKさんもまだいてくれました。

患者さんは、遠方にある某大学病院から、通院が困難になったということで、市内の某総合病院に紹介状を持って今日受診したそうです。

けれど、そこで「こんな状態では、うちでは診れない。ホスピスとかを捜しなさい。」と言われ紹介状ごと返されたのだそうです。
しかし、ご本人は重度のリンパ浮腫も伴い、前日からリンパ漏も発症し、歩けくなっていました。食事量も激減し、痛みも吐き気もあり、浮腫は全身に及んでいました。
また、すでに何日もマッサージチェアに座りっぱなしで昼夜を過ごしていたため、仙骨は褥瘡が出来始めていました。

こんな状態で受診したのに、そのまま返すなんてびっくりですが、病院には病院の事情があるのでしょうか・・。
困り果てた妻は、まず介護申請を勧められたことで、包括に相談に行ったのです。

ここで感の良い、動きの速い担当者に出会ったことがラッキーでした。
(ここが分かれ目ですね。ここでピンと来ないで、申請だけ受理して返しちゃう人、たくさんいますから。)

入ってすぐに状態を確認し、必要なサービスを説明しました。
まずは、ベットと高機能のマットを一時間後には入れることができました。
荷物の山の室内を、ケアマネちゃんが必死に片付け、そこに6時過ぎにはベットを導入しました。
その間、包括のKさんは新規申請を済ませ、ポータブルトイレを持って来てくれました。
私は、全身状態をチェックし、情報提供書や現在の処方などを持ち、往診のクリニックに持っていき、あすの訪問を入れました。

夕方4時過ぎに訪問し、18時20分にはほぼ外枠を固めることができました。
その後、往診医も急遽訪問し、レスキューなどの処方もしてくれることになりました。
あすは、今日できなかったケアや契約などをしに改めて訪問することとしました。


在宅の醍醐味は、こういうところにあるのだと思います。

ピンと来たら110番じゃなくて、とにかく確認、とにかく連携。
その連携の接続がうまくいくかどうかは、普段から地域の中で密接に関わっているかどうかによると思うのです。

そうして、短時間のうちに環境とサービスが整っていけば、あとは流れに任せて在宅サービスの歯車が回り始めるのです。

「ピンとくる。」人がいかに多いかどうかで、その地域のレベルが決まってくるのかもしれませんね。
このピンは、どこから始まってもいいと思います。
包括からでも、医師からでも、看護師からでも、となりの誰かさんからでも、ピン!からタイムリーにつながれる地域でありたいと思います。

空液アラーム

2013-04-03 23:25:17 | 訪問看護、緩和ケア
以前にも詳しく書いたことがありますが、在宅でのIVHは今ではごく一般的な治療となっています。

在宅でのIVHはHPN(Home Parenteral Nutrition )とも言われ、「H」は家(Home)で、「P」は腸をつかわない(Parenteral)、「N」は、栄養をする(Nutrition)という意味です。

IVHは、中心静脈栄養法という高カロリー輸液のことで、心臓に近い中心静脈までチューブを入れて、末梢の細い血管からでは入れられない高カロリーの点滴をして、生命維持を図るというものです。

これを在宅でも行う場合HPNと言われ、在宅用の自動輸液ポンプを装着して一定の速度で一定の量の輸液を確実に行います。
最近ではほとんどの場合、CVポートという装置を皮下に埋め込んで、そこに針を刺して使うことで、患者さんのADLも拡大するし、感染のリスクも減り、一定時間針を外してフリーになることもできるようになっています。

そういうわけで、消化管の疾患で経口摂取ができなくなると、ポートを造設してIVHをしながら退院してくる患者さんが増えています。

このポンプですが、多くはテルモのカフティポンプが使われていて、とても簡単に管理ができるようになっています。

通常針の挿し換とルート交換は週1回で、あいだは輸液剤だけご家族が毎日追加していくのです。

でも、私たちにとってはそれだけのことでも、一般のご家族にはとんでもなく不安で、ましてご高齢の介護者さんには、何が何やら「怖い」ことをやらされちゃう感でいっぱいになります。

病院でも、退院指導として何度もご家族に来てもらって練習するのですが、これがご家族にはかなり負担でもあります。

それでもなんでもやらないと帰れないので一生懸命習いますが、ご家族に言わせると「毎回教えてくれる看護師さんが違うから、教え方も違うし、どこまでやるかも違うのよね。色々言われるともうわからなくなっちゃう。」のだそうです。

ご高齢の介護者さんでは、確かに混乱するだろうなと思います。

特に、通常の輸液交換まではなんとか出来ても、器械のアラームにはびっくりしてしまうようで、何度も習ってきていてもいざ一人で対応となると、パニックになってしまう方が少なくありません。

なので、最近では逆に色々言い過ぎないで、輸液剤の混和と交換だけを指導してもらうこともあります。


アラームでの緊急電話で一番多いのが「空液アラーム」です。

ポンプのセンサーに空気が通過しようとするとピーピーアラームがなりだし、液晶画面に「空液」文字が出てきます。

ここでポンプからカセットを取り出し、カセットをパチパチたたいて空気を散らし、元に戻せばいいのですが、この時カセットのストッパーをカチットスタンドというもので、解除しないと戻らないですが、ここまで出来る方はかなり少ないのが現状です。

「で、もう最初からそうなったら呼んでください。一緒に練習しましょう。」ということにしてしまいます。

先日から数回続けて夜に呼ばれたケースでは、キャリーバックに入れっぱなしで生活されていて、そのキャリーバックをつい忘れて横に倒していて、滴下確認のためのパーツからエアを送り込んでしまうようでした。
とにかく、キャリーは立てて置くか、吊るしておくこと。そして、滴下を確認できる三角のパーツに、規定より液を多めに満たすように説明して、落ち着きました。
また、輸液剤の混和に泡を立てすぎて、すぐに繋ぐと気泡が多くてセンサーに感知されてしまうこともあります。
気泡は温度差でもできやすいので、交換の30分くらい前には居室に持ってきて、早めに混和して吊るしておくのもコツといえばコツだと思います。


それにしてもやっぱり医療機器が家にあるというのは、なれるまでには時間がかかりますよね。
でも、ゆっくりやればいいんです。
分からなければすぐに電話をしちゃえばいいんですから。


さて、あすは今日と打って変わって20度をこす温かさだとか。
これで一気に花が咲きますね。
早く、暖かくなあれ。

4月のざわざわ

2013-04-02 23:21:47 | 訪問看護、緩和ケア
このところ急に忙しくなってきていて、患者さんの出入りも激しくて、なんだかバタバタしています。

でも、昨日から新しい仲間が増えて、新患さんもどんどん受けています。
新しい仲間は、今まで連携先だった病院の連携室にいたナースなので、あちこちで「引き抜いたの?!」って言われてしまいますが、そんなことする訳ありません。連携先なのに。(^_^;)

彼女は、病院という組織の中で、患者さんを地域に送る役割をしているうちに、自分の目で最後まで見届けたいし、自分の手で最後まで支援したいという思いが募っていったようです。
そんな中、もともと個人的にも知り合いだったことから、心機一転私たちのところに飛び込んできてくれました。

もともと病院で訪問看護もやっていたので、同行訪問をしつつ、患者さんを持ってもらおうと思っています。

実際飛び込んできて病院との違いに、ちょっとびっくりしていたようです。
一番の違いは「何でもやる。」ということでしょうか。

病院では医師の行う処置も、当たり前のように在宅では看護師や家族がします。
清潔の支援や一般状態の観察は当たり前で、看護の仕事プラス医師の仕事の一部、そしてMSWの仕事からケアマネの仕事内容までやらなければならないことがあります。

在宅療養の支援は、包括的な視点で行わなければできないことを、驚きつつも受け止めて、これから担って行ってほしいなと思います。

半年ほど前にうち来てくれたナースも、今ではこの地域の中で一生懸命頑張ってくれています。
同じく、最後まで寄り添ってみたいと考え、訪問看護のドアを叩いてくれた彼女。

思いの強さは、患者さんとの関わりで、そのまま心を揺さぶります。

今朝、その彼女の受け持ち患者さんが、静かに息を引き取りました。

昨日まで、毎日のように涙をためて向き合っていた彼女は、今日しっかりとその患者さんを見送って帰ってきました。

旅立った患者さんは、いくつかの望みを持って、最後まで『生きたい。』と願っていた方です。

同じ年代の同士としても、その望みを叶えたいと、スタッフも考えていました。

そして、亡くなる前日、長年生き別れだった肉親に合うことができたのです。

もうひとつの希望は、残念ながら叶うことはできませんでしたが、きっと今頃は会いたい人のことを、どこからか見守っているのだと思います。

そして、この二日間のあいだでも、新たな患者さんの依頼や、今いる患者さんのいろんな問題で、ステーション内はバタバタと活気づいています。

ちなみに、うちのステーションは、社団法人から一般社団法人となり、名前もメディカルセンター訪問看護ステーションから医師会訪問看護ステーションに変更になりました。

そう言う意味でも、25年度は時代の流れの中で、しっかりとその役割を果たさないといけないと思っています。

そうそう、25年度は時代のニーズに合わせ、訪問リハビリも始めたいと思っています。

PTさん、OTさん募集しています。
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私たと一緒に働いてくれる人、男性でも構いません。
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