昨日お葬式をしました。新興住宅の団地の中のお家で 普通のご家庭の普通のお葬式でした。お通夜、お葬式、初七日の法要も皆でお正信偈を声を出して読みました。全員で読経して 全員でお焼香して 皆の心がひとつになったとってもありがたいお葬式でした。80歳位のお祖父ちゃんが亡くなったのですが ご長男の喪主さんが私よりもお若く、お祖父ちゃんが二男で お葬式の経験がありませんでした。喪主さんの奥様も実家は新家でご両親はご健在でお仏壇は無い、とのことですから 奥さんもお葬式を出した経験がありませんでした。この地域では最大手の葬儀社さんにお願いしましたので 担当の方に任せていれば まあ 大丈夫なのですが なんとなく不安そうでした。
お葬式の翌日の今日 読経などの用事がある訳ではないのですが お家を訪問してみました。あるわ あるわ・・・ 質問攻めです。お仏壇の事、お墓の事、法要の事、お悔みのお返しの事・・・・。親戚のお年寄りの方が言った事、葬儀社の担当者が言った事が大変気になっている様子です。比較的お若いご夫婦ですので 周りの方がよかれと思って言った事がいっぱいあって 少し混乱している様にもみえました。
知らないだろうと思って周りの方々は 色々アドバイスをしますが かえって混乱させることにもなっているなぁ、と思いました。大変難しいです。
本日は 1時間半程お話しましたが どれくらい混乱が解けたか、安心なさったか、心配です。結婚式はずいぶん時間を掛けて計画を立てられます。お葬式は きわめて短時間に打ち合わせをして儀式を行います。本来 お坊さんは 事前に喪主さん達と充分打合せをしてどんなお葬式をしたいのか お聴きして 大切な部分については葬儀社の担当者に橋渡ししてあげるべきだろうと思いました。また お骨について お仏壇、お墓、仏事等についても 地域の習慣や一般論を紹介しながら 喪主さんのご意向をお聴きし 実現できるようお力添えするのもお坊さんの大切な仕事かも知れません。忘れてはならないのは お祖父さんを亡くしたご家族の心のケアです。今回のお祖父ちゃんは何年も前から体調が極めて悪かったとの事で ある程度の覚悟はできていたようです。これからの事に安心感を持っていただく事、お骨を粗末に扱わないようにする事等が 遺族に対しての一番の心のケアなのかもしれません。私は心理学者ではありませんが とにかく一生懸命お話をお聴きしようと思っております。お経を読むのだけがお坊さんの仕事ではないような気がします。