
パパちゃんが先日、1冊の本を持って帰りました。
図書館の読書感想文を作る仕事に携わっているそうなのですが、この 『“It(それ)” と呼ばれた子』 の読書感想文を書いている人が多かったそうで、それで興味を引き、買って帰ったのだそうです。
読み終わり、あとがきで実話と知り、とても驚いたと言っていました。
『“It(それ)” と呼ばれた子 <幼少期> 』 … デイヴ・ペルザー/著 田栗美奈子/訳 、青山出版社 、1998年4月発行
持ち帰った日の夜、さわりだけ少し読んでみようかな、と手に取り、結局最後まで読んでしまいました。
ちょっと… なんというか、現実に起こった事とはにわかには信じがたく、1度読んだだけでは自分の中にすんなりとはいってきませんでした。
またもう1度、最初から読み直したいと思いますが、皆さんにも是非読んで頂きたいと思い、ご紹介させて頂きます。
「なぜ、ぼくだけがこんな目に?」
母親に名前さえ呼んでもらえない。
“That Boy(あの子)”から、ついには“It(それ)”と呼ばれるようになる。
食べ物も与えられず、奴隷のように働かされる。
身の回りの世話はおろか、暴力をふるわれ、命の危険にさらされ、かばってくれた父親も姿を消してしまう…
児童虐待の体験者がその記憶をたどることは、きわめて苦痛と困難をともなうものだ。
本書は、米国カリフォルニア州史上最悪といわれた虐待を生き抜いた著者が、幼児期のトラウマを乗り越えて自らつづった、貴重な真実の記録である。
(背表紙 説明より)
5人兄弟の次男、デイビッドだけが実の母親から壮絶な虐待を受けていましたが、それは彼が生まれて間もなく始まった事ではなく、デイビッドが幼稚園の頃から小学校にかけて、徐々に始まった事のようです。
それまでの母親といえば、掃除も料理も完璧にこなし、子供達への愛情に満ちた、きらきらと輝くような理想の母親だったそうで、近所中の人達から羨ましがられていた程でした。
父親が仕事の時には子供達をいろんなわくわくするような場所に連れだし、ハロウィン、感謝祭、そしてクリスマスもどの家よりもすばらしく飾りつけ、何をするにも中と半端にする事はなく、幸せに満ちた極々普通の家庭でした。
そんな幸せな家庭が急激に変わり始めたのは、おそらくディビッドが4、5歳の頃だったのではないかと思います。
最初は子供部屋の隅に押し込まれたお仕置きが、鏡のお仕置き、そして殴られる事へとエスカレートしますが、まだそれは始まりに過ぎませんでした。
石鹸を口の奥に押し込まれ、それ以降命令されないとしゃべる事も、家族の顔を見る事も許されません。
母親は、ディビッドが泣き叫び、許しを乞うと満足して暴力をやめましたが、次第にその程度では満足できなくなり、ガスレンジでディビッドの腕を焼いたり、夕食を与えるのを毎日 「忘れる」 ようになったり…。
最初の頃は父親がこっそり食べ物を運んでくれたり、母親をなんとか説得しようと試みてくれましたが、そんな父親も次第に変わっていってしまいます。
何日も食べ物を口にしていないディビッドは、空腹のあまり、他の子供のお弁当を盗んだり、ゴミ箱の中をあさったりしてなんとか食べ物を得ようと試みますが、母親にみつかる度に、その罰も常識を逸したものへとエスカレートしていきます。
アンモニアを飲ませられた翌日、やけどした舌は皮が幾重にもべろんとはがれ、残った所も赤むけになっている… そんな舌を鏡でにらみながら、「こうして生きているなんて運がいい。」 と思う小学生 (おそらく2、3年生の頃) がいるでしょうか?
漂白剤や食器洗い用の洗剤を飲ませられたり、幼い弟の排泄物を食べさせられたり、本当に読むに耐えない事が切々と綴られているのですが、これは本当に彼が実際に体験した事なのです。
母親はいかに彼に痛みと苦痛を味わせてやろうかと考え実行し、そして母親が満足のいく反応をディビッドがするまでその行為を続け、それを何よりの喜びとしているようでした。
精神が病んでしまっていたのでしょうが、あのような状況が何年も続いていたにもかかわらず、ディビットの魂は強く、決して母親に心まで負けようとはしませんでした。
どうしてあんなに強かったのしょう。
どこの場面で命を落としていても不思議ではない程の事が続きますが、彼は生き抜き、そして救われます。
日本でも虐待で幼くして命を落とす子供が後を絶ちません。
でもそれは決して人事ではなく、みんなどこでスィッチが入ってしまうかわからない事なのかもしれません。
私自身もイライラして、つい感情で怒ってしまう事があります。
上手く言えませんが、もう1度この本を読み直して、自分自身の事も見つめ直してみたいと思います。
この本は全部で3部作になっていて、幼年期、少年期、青年期(?)と続いています。
幼年期をもう1度読み直し、少年期も読んでみようと思います。
<昨日の晩ご飯>
鶏肉の揚げニンニク味噌
海草サラダ
玉子豆腐
茹でとうもろこし
豆腐とワカメのお味噌汁