EVDワクチンの治験が西アフリカ3国で始まっていますが、流行当初にみられたような、陰謀論や流言の壁にはばまれています。
- ワクチン治験が開始されているが、被験者となるボランティア集めに難渋している。
- その理由のひとつが、流行当初に見られていたような、エボラは外国が持ち込んだものだという陰謀論、流言。米国から(エボラが)持ち込まれたのだから、なんで治験を米国でやらないのかと。
- さらに困ったことに、最も重要なカウンターパートであるリベリア政府の姿勢も火に油を注いでいる。政府高官はワクチン接種を受けようとせず、新聞やラジオでは接種うけたらきっと死ぬ(death warrant)、。「我々は実験動物ではない(We are not animal)」という見出しが現地の新聞を連日かざったりしている。
- 昨年流行時にも当初、エボラは呪いのせいだ、外国人が持ち込んだという流言が広く流れて対策を大いに阻害したが、ボランティアが組織されて誤解を解いていった結果、感染者数の大幅な低下につながった。
- また、エボラで政府や関係者が不当な利益を得ているという疑惑も根強く広がっている。その対策として、ワクチンチームは目的地から離れたところで車を降り、バイクタクシーでアプローチするということもやっている。大きな車で乗り付ければ、”不当利益”疑惑に火に油を注いでしまう。
- 言葉づかいにも気を使っている。ワクチン「trial」という言葉を使わず「study」とするなど。
エボラに限らず、疫病が呪いだ陰謀だという考えは、伝統的文化に根差したものですから(=何十年何百年かけて形成されたものですから)、ウイルス性疾患だ、ワクチンで抗体をつくって防ぐのだという考え方は、頭ではわかってもストンと胸に落ちるものではありません。じっくり腰をすえて何十年何百年かけて刷り込んでゆかねばならない、本来、気が遠くなる作業でもあります。
とはいえ、目前の治験も回してゆかねばならないので、わざわざ車を遠くで降りたりの涙ぐましい努力が実行されているわけで、現場の努力に頭が下がるばかりです。