隊長が読んだ「本と雑誌」を紹介するシリーズの第11回は、『佐藤優著 「知」の読書術』をお送りします。
作家で元外務省主任分析官の佐藤 優(まさる)氏の著書『「知」の読書術』を読了したのは、氏の『哲学塾公開講座』⇒ http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/959cf1917bae890de1150683b1b1bfb3 を聴講する前です。
この本で、佐藤氏は、真の教養を身につけるための読書術を講義してくれます。
著者のいう教養とは、「私たちが生きているこの時代のあり方を俯瞰して見る『視座』『枠組み』を提示してくれるような『知』のこと」だと。
本書の内容は;
第一部:「危機の時代」に備えよ
第一章:「世界大戦」は終わっていない
第二章: はたして「近代」は存在したのか
第三章:「動乱の時代」の必読書
第四章:「反知性主義」を超克せよ
第二部:「知のツール」の活用法
第五章: 私が電子書籍を使うわけ
第六章: 教養としてのインターネット
第七章:「知の英語」を身につけるには
第八章: 現代に求められる知性とは何か
です。
この本を執筆していた2014年7月は、ウクライナでマレーシア機が撃墜されるなど、ウクライナ問題を巡りロシアとアメリカ・EUの対立が最も深刻な事態を迎えていました。
第一部『「危機の時代」に備えよ』では、ウクライナ問題をはじめ、民族・宗教の対立がますます顕在化する危機の時代にあって、何よりも重要になってくるのは、広く「情報」を集めることではなく、「思想」や「考え方」といった知のフレームワークをしっかりと理解することにあると説きます。
このことは、先日の『哲学塾公開講座』でも、何度も語られていました。
第二部『「知のツール」の活用法 』では、深い教養と鋭い洞察に裏打ちされた「古典の名作」と、時間的・空間的なコストを大幅に軽減してくれる「電子書籍」を用いた、「真の教養」が身につく読書術を、多くの事例と共に講義してくれます。
本書の中で、特に印象に残ったのが、第四章の『「反知性主義」を超克せよ』です。「反知性主義」とは、実証性と客観性を軽視して、自分が理解したいように世界を解釈する態度のこと。
そのために、自分が不適切な発言をしたという自覚を持つことができず、海外からの批判を認識することができないと書かれています。まさに、現在の日本の一部政治エリートたちに「反知性主義」が広がっていると言えるでしょう。
この本を事前に読んで、『哲学塾公開講座』を聴講したので、講義の理解度が深まったと思います。
尚、『「知」の読書術』の発行は、集英社インターナショナル。定価は、1,000円(+税)です。
===「本と雑誌」バックナンバー ===
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/dc30502bb229b843454e38b8994f9be0
1冊 2012/2/12 『飯田哲也著 1億3000万人の自然エネルギー』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/e8836d81a3cd82d1bfc3892c5f9b36b7
2冊 2012/7/26 『きれいが目覚める ベリーダンス』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/7d54beca3506d54cf15d1145cf2f19c0
3冊 2012/9/12 『“正しい発音”で歌える! 韓流バラード』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/588b91c5c528b5587355dfe30cf0851c
4冊 2013/12/30『スイカに塩をかけるのって変ですか』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/8eb5f1282c10bfead720ac9f30f0e038
5冊 2014/2/23 『地球の歩き方 ブラジル』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/ca73b0782e432177cbe657f02ad4104c
6冊 2014/3/6 『玉露園のこんぶ茶アイデアレシピ』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/9159c5e76b3dd3cb64da7019499ee3d6
7冊 2014/11/15『日本のビール 面白ヒストリー』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/b9ef4596467913d15de6e62afa954110
8冊 2015/3/5 『オレとО・N』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/1e7ca0c0fdffac35a646534430a0abc4
9冊 2015/6/19 『日本の「仕事の鬼」と中国の<酒鬼>』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/ed3edee244cf65f41b5071bdc4bae8ea
10冊 2015/9/2 『島耕作の中国ビジネス最前線』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/6df82c2084a6ea9760a0a9c93eada5f1